阪神8000系|編成別写真集

8000系

8000系は、1984年に登場した急行用車両である。阪神初の6両固定編成とし、他車と併結しないことから新機軸を多数取り入れることが可能になった。

【車体・主要機器】
 12年に亘って増備された急行車の最大勢力であるが、増備途上での変更も多かった。第1編成の車体は前面窓上に前照灯、貫通扉上に方向幕を設け、側面は2段窓と従来車並みであったが、第2編成以降は前面窓を上方に拡大、方向幕は種別と行先に分け設置し、貫通扉上に前照灯を配したほか、側窓は一段下降窓とされた。その後1986年に製造されたグループ以降は側窓間の柱を細くし連窓風にしている。なお車体は鋼製、塗装は赤胴車伝統のクリームと橙のツートン、3扉で窓は扉間3枚・車端2枚である点は共通である。
 主要機器も従来車から一新されたが、最大の特徴は他車と併結することが無いことから電気指令式ブレーキが採用されたことである。制御装置は界磁チョッパ式で、電動車は出力110kWの複巻電動機を1両に4基装備する。8201形[Tc]-8001形[M']-8101形[M]の3両ユニットを背中合わせに連結した形で、Mには を、M'にはSIVを装備する。
 冷房装置は当初従来車並みの分散式を1両に6~7台搭載していたが、1986年製造のグループ以降は1両4台の集約分散式に変更している。なお形態が多岐に亘る本形式は、前述のような車体形状や冷房装置など外観の相違から便宜的に1編成目を「タイプI」、内外装を大きく変更したグループを「タイプII」、冷房が変更されたグループを「タイプIII」、側窓が連続窓風になったグループを「タイプIV」と呼ぶことが多く、当サイトでもそれに準拠する。なお車内は全車ロングシートであったが、座席袖仕切や化粧板、天井周りの造作がタイプごとに異なっており、タイプIVでは扉上にLED式の情報案内装置が設置されている。

【リニューアル】

 登場後20年が経とうとする2002年から、リニューアル改造を開始した。前年登場の9300系と仕様を合わせるように、車体塗装の変更や中間車の転換クロスシート設置、ロングシートの取替え、タイプIV以外へのLED式情報案内装置の設置などが行われた。このうちクロスシートの設置は、直通特急運用で長時間乗車する乗客に配慮したものである。当初は9300系と同様に中間車4両に設置していたクロスシートであるが、混雑緩和のため3編成目から3・4号車の2両のみとなった。改造工事は2007年まで毎年1~2編成に行っていたが、阪神なんば線開業の準備を行うためか暫く中断、2009年に再開された。
 2011年の8231FでタイプI~タイプIIIのリニューアルが完了したが、この編成から行先表示機が1000系同様のLED式に、尾灯・標識灯も一体型に変更されたため前面の印象が変化した。翌年からはタイプIVへのリニューアルが開始されたが、クロスシートの設置は取り止められた。2015年の8239Fを以てリニューアルは完了し、クリームと橙のツートンカラーを保つ赤胴車は本線から消滅した。
 

【車両の動きと運用】
 当初は特急など優等種別を中心に運用されていたが、数を増やすにつれ運用範囲が拡大。第1編成は武庫川線延伸に伴う増備車であったが、以後はタイプIIが3561形や3301形など初期の赤胴車を、タイプIIIが3501形を、タイプIVにかけ7801形を相次いで置き換えた。計画の編成が揃った暁にはデータイムの特急・快速急行を本形式で統一することも検討されていたようだが、1995年1月の阪神・淡路大震災では石屋川車庫の崩壊などもあって6編成の計15両が被災し廃車された。廃車が発生した6編成の残存車で編成を組めるよう組替が行われ、不足分(3両)は新造して6連4編成を組成した。なお新造車は廃車発生品を極力再活用しているほか、車体は組成されるユニットの外観に合わせた設計である。車番は組成されるユニットに元々組み込まれていた車両に300を足した車番が付けられているほか、第1編成は3両が廃車されたが、このうち8201は組替の関係から梅田方先頭から神戸方先頭に方向転換を行い、併せて機器配置を変更したため+301した8502を名乗った。

 1998年2月には山陽電鉄との直通区間が姫路まで延伸され、改造の上9000系と共に梅田~姫路間の直通特急に充当されることとなったが、8502を含む編成は運転台配置の相違からか従来通り須磨浦公園までの乗り入れとされている。

 現在は6連19編成が梅田発着の優等各種別に充当されており、8502を含む8523Fを除いて山陽電鉄の姫路まで乗り入れている。2007年には急行車として近鉄のほか山陽への直通にも対応する1000系が登場したが、同形式は主に近鉄直通列車に充当されるため、阪神車が充当される直通特急を中心に梅田発着の優等各種別は相変わらず本形式が主力となっている。

 

タイプI(1984年製造)

阪神大震災で8202(元町方先頭)と8001-8101(梅田方電動車ユニット)が廃車
残存車は8523Fに組み込み

8201F

タイプII(1985年製造)

8211

8211F

8213
・元町方4両は8217Fから

8213F・8217F→
8213F

8215

8215F

タイプIII(1986年~1990年製造)

阪神大震災で8217(大阪方先頭)と8017(梅田方M')が廃車
残存車は8213Fに組み込み

8217F

8219

8219F

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・元町方先頭車は8213Fから転用

8221F

85238523_8501

8201F・8223F
8523F

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8225F

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8227F

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タイプIV(1991年~1995年製造)

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神戸方2両は震災廃車、代替新造

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