9000系は、1995年に登場した急行用車両である。阪神大震災で廃車となった33両の急行用車両を補充するために急きょ製造された影響で、前後の阪神の「標準」とは異なる部分が複数ある。
大震災で被災した車両は出来る限り復旧したが、台枠に影響が出た車両などは廃車となった。固定編成の8000系は複数編成を組み合わせたものも登場したが数が合わず、流用できるものは流用して3両を新造した。しかし廃車になった30両という数は小さくない数で、支線運用に回されていたり予備に回っていた7800系を6両にして使わざるを得なくなった。この状況を解消する為に9000系は製造された。但し、元から計画していたジェットカー5500系を震災の影響で前倒しして武庫川車両工業に発注しており同社では手に負えないことから、川崎重工業に発注することとなった。更に短期間で30両を製造する為ステンレス車体を採用した。これはJR東日本の209系をはじめとするグループと同じ車体構造である。
車体はステンレス製となったが、窓や扉の配置、座席形状などは8000系第3グループなどに出来る限り近づけてある。機器配置もTc-M1-M2が背中合わせで繋がれるという構成で変わっていない。ステンレス車体ではあるがジェットシルバーとは異なり帯が入れられた。上が「オータムレッド」(赤)下が「オフィスグレー」(白)であり、色調こそ異なるものの「急行用=赤色」を守っている。前面は炭素素材を用いており、8000系などをベースにしつつも一味違った仕上がりになっている。
機器類は基本的に5500系と同一としているが、台車はヨーダンパ付き、制御装置も高速運転寄りに変更してある。制御装置は三菱製のGTO-VVVFである。
1996年春のダイヤ改正と共に本線に投入、特急から準急まで幅広く運用された。1998年の改正で山陽電鉄への直通が始まった際、9000系も8000系と同様「直通特急」で乗り入れることとなり、一部に改造が施された。その後大きな動きは暫く無かったが、2009年の阪神なんば線開業時に近鉄乗り入れ列車に加わることとなった為改造が行われた。
最大10連で運用されるので、増結編成(1000系2連)との併結に対応するため大阪方の先頭車には貫通幌と電連が設けられた。近鉄直通の為に近鉄ATSが追設されたほか、連結器の交換や運転台も改造されている。そして最大の変更点は塗装の変更である。従来の赤帯部分を1000系と同じオレンジ色(ヴィヴァーチェオレンジ)にしたほか、前面の塗装の変更や行先表示機のLED化なども行われた。
2009年3月からは主に阪神なんば線~近鉄奈良線を中心とした運用に変更された。梅田への乗り入れが消滅したわけではなく、山陽直通運用も数は少ないが存在する。
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↑現在の姿 ↓改造前 |
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