21000系は、1988年に登場した名阪ノンストップ特急「アーバンライナー」用の車両である。従来の近鉄特急とは大幅に異なる外装・内装で登場し話題となった。電算略号(編成番号)はUL**。
【車体と車内】
車体と車内は近鉄と製造会社の近畿車輛のほか、外部からデザイン顧問を招き開発を進めた。また、市場調査の結果から「2階建て車は連結しない」「座席横幅を広げた車両を連結する」ことが決まった。完成した車両は白い車体にオレンジの帯、前面は流線型の非貫通で前面窓は曲面ガラスを使用、側窓は連続窓と従来の近鉄特急車とは大きく異なるものとなった。また車内も2+2配置の「レギュラーシート」が4両と2+1配置の「デラックスシート」2両で近鉄特急としては約30年ぶりに2クラス制となった。一方6両編成で両先頭は非貫通ながらも2両ユニット×3の構成で各ユニットの端には運転台があり、特に中間になるユニットは本線用の運転台が設けられた。
【主要機器】
機器類は名阪間を2時間で結ぶ為に最高速度を120㎞/hに向上することとなったため、従来の特急車に比べ増強された。従来の特急車は概ねMT比が1:1であったが、全電動車に増強。主電動機は1両あたり125kW×4。制御装置は、通勤車ではVVVFインバーターの採用が始まっていた時期であるが、当時の段階では特急車に使用するには課題があったので従来の特急車と同じ抵抗制御としている。制動装置はHSC-Dだが、120㎞/hでの運転に対応したものとなった。台車はシュリーレン式のKD-97だが、軸距が2100mmに短縮された。
【増備と変遷】
3編成が1988年3月の改正でデビュー、名阪ノンストップ特急の内6往復に使用された。最高速度の向上は21000系を使わない車両でも実施されたため、12200系以降の各形式もブレーキなどの改造を行った。21000系は乗客に好評で、利用者も増えたため1988年末~1989年春に4編成、同年末には更に4編成が増備され、1990年春のダイヤ改正で名阪ノンストップ特急は全て「アーバンライナー」となった。増備車は利用が増えたことから中央のユニットに設けられていた本線用運転台を廃止、座席を増やした。デラックスシート車の床にカーペットを敷く、レギュラーシート車に中央肘掛を設置するなどの改良が行われた。これらの改良は最初に登場した3編成にも行われ、中央2両のユニットに関しては4編成目以降と同じ仕様の車両を新造、本線運転台付きの中間車は多客時の増結用となった。
【更新】
その後もアーバンライナーとして名阪ノンストップ特急で使用されていたが、登場から15年ほどが経過した2003年から更新工事を行うこととなった。工事期間中の車両不足に備え、改良型の「アーバンライナーnext」21020系を2編成導入。同車は利用動向を反映してデラックスシートは1両のみとした他、車内は全席禁煙として喫煙ルームを設けるなどの改良が行われている。また塗装も21000系をベースとしつつも車体裾部にベージュの帯が入るなど変化している。21000系はこの21020系と同等の使用とする工事が2003年秋から2005年にかけて施工され、改造が終了した車両から「アーバンライナーplus」の名称で復帰した。
現在は21020系と共に名阪ノンストップ特急(甲特急)の全列車に充当されるほか、21020系導入以降は編成数に余裕があるため名阪間の主要駅に停車する特急(乙特急)にも一部で使用されている。また名古屋と伊勢方面を結ぶ特急としての運転もある。かつては京都と奈良、大阪と奈良、大阪と伊勢方面を結ぶ特急に使用されることもあったが、現在は消滅している。なお大阪線東青山~西青山間の上りでは130km/hでの運転が実施されている。
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