6500系は、1984年に登場した通勤車である。4両編成の6000系の後継形式という位置づけで、旅客サービスの向上と省エネルギー化の推進を図っている。なお形式が6500系とされたのは7500系同様に回生制動を使用できるためとされ、6000~6300を使う6000系と6600・6700を使った6600系の間に押し込む格好となったため、豊橋方が6400番台ながら6500系を名乗ることとなった。
【車体・車内】
6000系と同じく鋼製であるが、前面は100系近似の装飾を施した「鉄仮面」と呼ばれる非貫通スタイルに変更、また側面は3扉だが先頭車と中間車で異なっていた扉位置を統一したため6000系(8次車まで)とは配置が異なる。客用扉は3扉車であることを示すため上半分を灰色に塗装していた。車内では6000系で不評だった固定クロスシートを大型化、肘掛が付いたほかシートピッチも拡大された。また側面配置の変更で座席配置にも変化が生じ、扉間はクロスシート3脚と3人掛けロングシート、車端部は5人掛けロングシートとなった。妻面などには国鉄117系を意識したのか木目調が用いられている。なお車内の詳細はこちらを参照願いたい。
【主要機器】
制御装置が1C8Mの界磁チョッパ式、主電動機は複巻電動機、制動方式は電磁直通ブレーキ(HSC-R)で、回生制動を使用可能だが閑散線区で使用できない場合は発電制動に切り替わる。最高速度は6000系が100km/hまでしか出せなかったのに対し、110km/h対応としてSR車並みとした。補助電源装置には名鉄初のGTOインバーターを採用している。編成は←豊橋ク6400[Tc1]-モ6450[M2]-モ6550[M1]-ク6500[Tc2]で、パンタグラフは電動車2両に、補機類はク6400とモ6550に搭載している。台車は6000系をベースとしているが、電動車は別形式となった。冷房装置は6000系中期車と同様に1両に2基搭載でロスナイを設置していたが、5次車以降は1両3基搭載に戻している。
【増備と変遷】
1984年の1次車(4編成)に続き、1985年の2次車(5編成)では標識灯をLED式に変更、1987年の4次車(2編成)では側面に方向幕を設置、5次車(2編成)では乗務員室直後の2人掛け席部分に小窓を設置したほか前述の通り冷房を1両3基搭載に戻している。1989年の6次車(3編成)からはスタイルを一新、前面は曲面ガラスを用いて天地寸法も大型化した「金魚鉢」と呼ばれるスタイルに変更、側面は配置こそ同一であるが一部窓を下降窓としたほか、各窓間の柱を細くし黒く塗って連続窓風の仕上げとした。車内はクロスシートを更に大型化したほか、ロングシートの袖仕切は5700系並みとなった<詳細はこちら>。最終増備となった1992年の8次車(2編成)では車内をオールロングシート化している<詳細はこちら>。
【改造】
1995年から翌年にかけ1次車~5次車の5編成がロングシート化された(下表の編成番号斜字)ほか、21世紀に入ってから扉の灰色塗装の取り止め、1次車の標識灯の交換(3300系の廃車発生品を流用)、冷房2基搭載車の冷房交換による能力向上などが行われている。また2011年には1次車1編成に化粧板・床敷物の張り替え、吊革の交換、扉開閉チャイムの設置などの特別整備を施工した。
2021年度からは7次車に対し3500系と同様の内装更新・ワンマン化準備工事を実施(下表の編成番号緑地)。内容は6000系中期車並みの車内更新ならびに車内照明LED化、方向幕のLED化、扉開閉チャイムの設置などである。<車内の詳細はこちら>自動放送装置やホーム検知装置等は内装更新と同時に設置した編成と、後日別途設置した編成がある。2023年までに6・7次車全編成に施工され、後述の通り廃車も発生しているため本形式のクロスシート車は1~4次車の10編成まで減少した。
【運用】
本線や亜幹線の急行系・普通を中心に、2019年からは廃車が進行した5300・5700系に代わって平日日中の河和線特急(全車一般車)の一部にも充当されるなど、専用車両が用意されていない路線の多くで運用されている。前述のワンマン化改造車は2023年3月のダイヤ改正に合わせ三河線でワンマン運転を開始、6000系初期車の置き換えを開始している(同時期にワンマン運転を開始した各務原線・知多新線では運用されない)。一方で同年からは新型車の投入に伴う廃車も発生(下表の編成番号黒地)したほか、将来のホームドア設置を想定してか上昇窓を備える編成に対して側窓に保護棒を設置する工事を実施している。
最終更新:2023/12/23