7000系は、1961年から1975年まで14年間に渡り製造が行われた、SR(スーパーロマンスカー)の一員である。運転席を2階に上げ、車体最前部まで座席とする斬新な設計が評価されブルーリボン賞を受賞している。
1959年登場の5500系がベースであるため、2扉・転換クロスシートの基本構成や冷房の搭載はこの形式に始まったことでは無いが、そのころ始まったモータリゼーションへの対策として、インパクトを与える車両として企画された。その象徴が運転台を2階に上げた前面展望構造と真っ赤な車体、それにミュージックホーンである。前面の設計はイタリアの前面展望車を参考にしているが、乗務員室への出入りは車外の階段を用いて車内の眺望を確保。前面窓は平面ガラスを組み合わせ、その上下に灯具を2個ずつ計4個配している。窓の下の灯具は前照灯・尾灯兼用で、その外側には踏切事故対策としてオイルダンパを設置した。このオイルダンパは1961年11月に木曽川堤駅で発生したダンプカーとの衝突事故の際、ダンプカーを跳ね飛ばしその効果が実証された。窓下の灯具の間には「Phoenix」のエンブレムを設置、行先表示の類いは設置しなかった。側窓は5500系とは異なり全て固定式とし、車体色はスカーレット1色を新規採用、後に名鉄の全車両がこの塗装に塗られることとなる。ミュージックホーンは従来の空気笛とは別に設けられた電子式の補助警報で、メロディは以降の特急用車両にも引き継がれている。車掌室は先頭車の連結面側に設置されたが、仕切りもなく(特急整備車は後に取り付け)使用していない場合に利用できる補助座席が設けられている。
革新的な車体に対して足回りは5500系とほとんど同じで制御方式は抵抗制御で主電動機出力は75kW、全電動車としている。機器構成が全く同じであるため事故などの際には先頭車を5500系と取り換えて運転することもあった。台車は名鉄初の空気バネ台車を採用している。
1961年に6連3編成が登場、当初は本線特急のみで使用された。翌年には6連4編成が登場したが、スカートの形状が変更されたほか前面のエンブレムの位置に逆富士型の行先表示を設置、また車内には乗客用の速度計が設置された。3次車は1967年に登場、支線直通を考慮した4両編成で、冷房装置が変更されたほか死角を減らすフロントアイ(凸レンズ)を設置し、停止位置に正確に停まれるようにした。4次車は先頭車のみ2編成分、5次車は4連2本、6次車は先頭車のみ3編成分と変則的な増備が続いているが、これは同時に定速制御が可能で7000系より高性能な7500系が製造されていたことによる。先頭車のみ増備の4次車と6次車は、6連の1次車や2次車の中間2両を組み込み4連で使用された。7次車は4連3編成で、冷房装置が再び変更された。
1967年の3次車から7次車まで毎年製造されていたが、8次車は3年開いて1974年に登場。座席特急用として6連2編成が製造された。9次車は両開き扉の採用、クロスシートのシートピッチ切り詰めとロングシート部拡大などラッシュ対策を行った7100形で、中間車ばかり12両が製造された。9次車で7000系の増備は終了、24編成116両が製造された。
4連が多い7000系は1972年から他編成との併結に対応する工事を実施、同形式だけでなく5000番台のSR車とも併結して使用された。更に1977年には作業の効率化の為に自動解結装置も設置している。1982年からは国鉄の117系投入に対抗して一部の4連が特急専用車に改装された。1986年には特急専用車のグレードアップが実施されている。それとは別に1983年からは特別整備が1・2次車に実施された。
廃車は1984年と87年に「パノラマDX」8800系に機器を譲るため中間車8両が廃車となったのが最初だが、これは例外的なもので編成単位の廃車は1998年から始まった。特急運用廃止後~2006年までは「P4(解結可能4連)」、「P6(解結不可6連)」「SR6(解結可6連、5700系6連と共通運用)」となっていたが、晩年は4連か6連かで運用が分かれていた。6連の車両は亜幹線の急行から普通列車まで幅広く運用が、4連の方は主に普通列車で運用されているが、朝には4連を2本連結して運転される列車もある。
2008年6月29日のダイヤ改正を前に多くの編成が運用を離脱、4連3編成が運用を続けるという発表であったが実際には4連4編成(7001F・7011F・7041F・7043F)に6連1編成(7007F)も残存した。しかし6連の7007Fに定期運用は無く、9月にさよなら運転を行い廃車。また4連の7001Fはモ7001に保存を前提とした復元改造を実施、11月にさよなら運転を行い廃車となったほか、元白帯車の7011Fは10月に白帯を復活させている。2008年12月27日に再びダイヤ改正が実施されることとなったが、パノラマカーはこの改正の前日に営業運転から撤退。7011Fがイベント用として残存したが、これも翌年8月30日にさよなら運転を行い引退した。
現在7027Fの3両が中京競馬場に、また7001Fの両先頭車が舞木検査場に保存されている。