東海道新幹線の保線車両 |
【ロングレール輸送車】200メートルのロングレールを、浜松のレールセンターから東海道新幹線全線に運びます。200メートルのロングレール+両先頭車などを合わせると全長は300メートル弱、プッシュプル形態の編成です。昼間の留置は普段使わない線路がある駅や大きな保線基地で行います。 現在の動力車はLRA-9200形。車体は後述のLRA-9100形がベースになっていますが、機器配置が変更されたのか、側面の構成が異なっています。LRA-9100形と比べると静かな印象です。 1994年から2010年にかけ活躍したLRA-9100形。運転台は最近の電車や気動車と何ら変わらない本格的なものです。製造は日本車両×東芝ですが、これはLRA-9200形も同じです。 続いて貨車を見てみます。左側は機関車の次位に連結されるLRB-9100、右側はその次に連結されるLRC-9100です。写真は東京側の車両ですが、大阪側も同じような順番で連結されています。 中間の大多数を占めるであろうLRE-9100です。単なる貨車です。 レール搭載部の様子。 |
【レール探傷車】レール探傷車は、30㎞/h~40㎞/hの速度で走行しながらレール内部の傷や摩耗、凹凸を発見することができます。集められたデータは、レール交換や削正の計画を立てるために使用されます。 写真の車両はRD-103。付番から見ると3両はあるのでしょうか。全線を年2回点検します。なお、在来線にも同機能の車両があり、こちらは流線型の特徴的な車体をしています。 |
【レール削正車】レール削正車は、列車走行音の低減や線路の軋み割れを防止するために導入された車両です。全線で年に1回レールを削正します。日本では同車両を製造した企業「スペノ」の名前で呼ばれることも多いです。 |
【軌道工事】軌道工事にはマルチプルタイタンパー(マルタイ)・道床整理車・道床安定作業車が活躍します。 マルチプルタイタンパーです。まずは比較的古いタイプ、MT-876です。右側は見づらいですが諸元表です。全長24.61m、重量88100kg、最小通過半径が80メートルとのこと。 続いて新しめのタイプ、MT-884。全長26.24m、重量97320kg、最小通過半径が80メートルとのこと。またこちらには100km/hとありますが、恐らくこれが最高速度でしょう。 新旧タイプが並んだ様子。新しい方の色が綺麗なのはともかく、可動部分が黄色に塗られているので大変目立ちます。 道床整理車(通称KBP)は、マルタイの作業によって乱れた砂利を整える車両です。写真はBR-313、比較的新しめのようです。 道床安定作業車(通称DTS)は、線路に振動を与えることで作業後の道床をしっかりさせる車両です。左側はVC-712という番号です。右側の番号は不明ですが、塗装の状態や台車の相違からこちらの方が新しいものと思われます。側面に「DTS 62 N」と書かれています。 VC-712の大きな画像です。台車間に小さい車輪のようなものがたくさん付いています。 |
【架線作業車】架線の作業を行う車両です。各駅に常駐しているものと、4~5両の編成を組むものがあるようです。 まずは各駅に常駐する車両。左は岐阜羽島駅のMW-3553、右は京都駅のMW-3555です。MWは「保全車」、メンテナンスワゴンを示します。 こちらは長い編成を組むもの。4両連結で「SW+TW+RW+SW」の編成です。どれも同じに見えますが役割が違うようです。 まずはSW「延線車」です。左がSW-3121、右はSW-3113。いずれも奇数番号で大阪方先頭に連結されています。 左がSW-3102、右はSW-3112。いずれも偶数番号で東京方先頭に連結されています。 TW「トンネル点検車」。トンネル内壁や架線を点検します。写真はTW-3214。 続いてRW-3400番台です。一体何者か分かりませんが高所作業車かな、と思います。先程の4連の編成のように他の車両に混ざって連結されている場合と、RWだけで2連を組む場合があるようです。 連結は通常の自連で行っています。 [参考サイト] 三菱重工技報Vol.32 No.4 (1995) 交通・物流/自動車特集「新幹線用高所作業車の安全技術」 三菱重工技報Vol.49 No.2 (2012) 交通・物流/自動車特集「新幹線用保全車両」 三菱重工交通事業部「新幹線用保守用車受注」 北陸重機工業株式会社「三菱重工業に納めた新幹線用MW(メンテナンスワゴン車)です。」 |
【モーターカー牽引の車両】小型のモーターカーが1両で数両の貨車を、また2両以上で長編成の貨車を牽引orプッシュプルします。バラスト運搬や油圧ショベルの運搬など、様々な場面で見られます。 まずは古めのタイプ、MO-8921。前面は両側とも2枚窓、煙突はボンネット側の窓の間にあります。 続いて先ほどのグループの後に登場したと考えられるモーターカーです。キャブ周りの作りは後述するタイプのように前面1枚窓で出入りはデッキから行います。写真を撮影した米原の基地では何両か見かけましたが、岐阜羽島そばの引き込み線では1度しか見かけたことがありません。ナンバーはMO-8958、前述した古めのグループの続番のようです。 こちらは新しめのモーターカー。左はMO-8548、右はMO-8556です。7000番台の車両もありますが見た限りでは違いはありません。前面窓はボンネット側が1枚窓、反対側はデッキが設けられており正面向かって左に運転室への扉があります。
バラスト運搬車。台枠(?)に蛍光灯を備え付けているようで、暗い場所では独特の雰囲気を醸し出します。しかし、最近はこの蛍光灯を撤去した車両もあるようです。 左はボギー台車を履き、クレーンを積んだ貨車です。写真の車両はWT-0107と言うようです。右側は2軸貨車、モーターカーとは連結器ではなく棒で連結しています。 写真の車両もボキー台車を履いてクレーン付きの貨車ですが、屋根とシャッターのついた部分があり、更に前面は簡易的な運転台らしきものが見えます。低床台車なので連結器の位置に少し驚いてしまいます。 |
【確認車】営業列車の運転開始前に線路の点検を行う車両です。 左は京都駅常駐の確認車、ナンバーはMO-5419。番号の振り方から、どうやらこの車両はモーターカーという扱いのようです。が、独特な車体形状と10個のライトが特徴的です。一方右側は米原の基地で撮影したMO-5508です。こちらは何とパンタグラフを搭載しています。雪の多い地区なのでスノープラウを装着しています。確証はありませんがパンタグラフの有無で5400番台と5500番台に分かれているのかもしれません。 |
【除雪車】米原付近は雪が多く降るため、専用の除雪車が用意されています。 左はSRB-6001、右はSRB-6002です。形状は違いますが通番となっています。除雪はロータリーブラシで巻き上げた雪を吸い上げて行います。どちらか一方にしか除雪できず、逆走するときは別車両を連結しなければならないようです。 こちらは2012年シーズンに導入されたSRB-6005です。車体は最近製造されたモーターカーを2つ組み合わせたような、見慣れない形状です。従来の車両の欠点を改善、両方向に単独で走ることができます。除雪は台車間のブラシを回転させて行います。従来の車両は2015年度までに全て取り換えられる予定です。 モーターカーにラッセル式の除雪設備を装備した車両もあります。ナンバーはMO-8502で前述したモーターカーに除雪設備を取り付けただけで、恐らく脱着できるものと思われます。 |
【トンネル覆工表面撮影車】トンネル内の覆工を撮影して状態を確認する車両です。 TVR-0001です。TVRとはトンネル覆工表面撮影車(Tunnel Lining Visual Recording Wagon)の頭文字を取ったものです。車体が中央を境に分割され、そこにある4台のCCDカメラでトンネル内を撮影します。撮影した画像は1mm辺り1画素で画像取得でき、画像処理装置でトンネル形状やカントなどを補正します。さらにトンネル検査データベースで画像を繋ぎ合わせ、ひび割れなどを確認する。東海道新幹線最長の新丹那トンネルを1晩で撮影できる性能を持っています。運転台はありますが自走はできず、モーターカーの力を借りて動きます。こちらの文書で詳しく解説されています。 |