樽見鉄道の車両

樽見鉄道は、岐阜県大垣市の大垣から同本巣市の樽見駅を結ぶ第3セクター鉄道である。1984年に国鉄から路線を引き継ぎ開業、1989年には作りかけで放置状態だった神海~樽見間を延伸。地元住民の足、沿線の住友大阪セメントの貨物輸送、そして終点樽見の先にある薄墨公園内の「薄墨桜」へ向かう花見客対応の3つの顔があった。車両面では軽快気動車の他に貨物輸送用のDE10形ディーゼル機関車(貨車は荷主が保有)と客車を保有していた。客車は朝ラッシュ時や淡墨桜の臨時列車用であり、オハフ33形や12系・14系(座席車)、それに貨車改造でトロッコ型の車両を保有していたが、貨物輸送が終了した2006年を以て機関車・客車共に廃車となり、現在は気動車だけで運転されている。貨物廃止後の経営は厳しく、2010年頃には財政支援の打ち切りで廃線の危機に陥りかけたが同年度とその翌年には黒字を達成、財政支援も継続されている。

この項目では、現在活躍する樽見鉄道の車両をまとめて紹介する。なお車番は「ハイモ***-***」で、ハイモは「ハイスピードモーターカー」の略であり、前3ケタでエンジン出力の値を示す。後ろ3ケタは百の位で仕様を区別する。

 

 ハイモ230形は、1985年に登場したボギー台車を履くグループであり、富士重工の「LE-Car II」である。同鉄道は2軸車のハイモ180形3両でスタートしたが、同車の車体は12.5メートルと余りに小さかったため15.5メートルになっている。ハイモ180と同じエンジンを使用するが空気を強制的に送り込む過給機を設置して出力を上げている。前面には貫通扉が設置されている。車内は全車ロングシートである。301が1985年に、302が1987年に導入されたが302は扉を折戸から引戸にしたため、これを区別するため後になって312と改めている。1988年に313が、1992年に314が導入されている。新車導入と入れ替わりに廃車が進んでおり、301は2009年に、312は2011年に廃車されているほか、313と314も新車導入で予備車になっている。313は本巣市のPR塗装に、314は沿線にある大型商業施設のモレラ岐阜の全面広告車となっているが、313は2013年になって塗り替えられた。

 ハイモ295形は1999年から登場した、長良川鉄道などのナガラ300形などと同じ富士重工の「LE-DC」で、前面のパノラミックウインドウが特徴である。形式名の通りエンジン出力は295PSになっている。最初に製造された315はハイモ230形と同じ15メートル級で、車体は芸術家である池田満寿夫氏のデザインとなっている。2010年に踏切事故に遭い長期間運用を離脱していた時期があり、その間は長良川鉄道からナガラ1形を借りて使用していた。2005年登場の516からは18メートル級の車体となった。塗装は同鉄道標準の青に赤と白の帯が入ったもので、車内はロングシート。富士重工が鉄道車両の製造から撤退しており、製造は新潟トランシスによって行われた。台車はボルスタレス式になり、行先表示はLED式となったが、これらは同時期の新潟トランシス製軽快気動車「NDC」と同じである。2010年には617が導入されたが、これは廃線となった兵庫県の三木鉄道が2002年に導入した車両で、廃線後に買い取った車両である。塗装は部分的に広告が設置されているものの三木鉄道時代と変わらないほか、車内もボックスシートが設置されているなど樽見鉄道の他の車両とは異なる部分が多い。

 

ハイモ330形は2011年に登場した、各種機器を一括管理するコンピュータシステムTICSを装備した新潟トランシスのいわゆる「NDC」第3世代の車両である。701の1両が導入されており、塗装は樽見鉄道標準色、車内はロングシートである。エンジン出力は330PSに向上している。なお電気指令式ブレーキを採用したため他の車両との連結は出来ない。2015年には702が投入され、ハイモ230-314が廃車されている。

ハイモ230形

t_230-313N
↑現在の塗装 ↓2013年以前の塗装t_230-313

313

t_230-314
※2015年に廃車

314

ハイモ295形

t_295-315

315

t_295-516

516

t_295-617N
↑現在の塗装 ↓旧塗装(三木鉄道色)
t_295-517

617

ハイモ330形

t_330-701

701

t_330-702

702

編成別写真集に戻る

inserted by FC2 system