広島高速交通6000系|FTN trainseat.net

広島高速交通 6000系

写真: hal6111

例によって「広島高速交通って誰?」という話ですが、アストラムラインの愛称で定着している新交通システムです。路線長は新交通システムとしては日本一で市内中心部を地下区間としている点が珍しく、沿線は写真のように山の上まで住宅が立ち並ぶ風景が続き利用者も多いようです。

今回ご紹介する6000系は1994年の開業時から活躍している主力形式で、いきなり6000系とはどういう理由かと思えば開業年の和暦である平成6年から取ったとの由。1999年には制御装置を変更した1000系が登場しましたが、見た目はほぼ同様で僅かに1編成のみの在籍と影は薄め。山吹色と濃灰色の現代的なデザインが特徴で、そう遠くないうちに登場する後継車にもしっかり引き継がれるようです。


hal60-車内全景

車内全景です。濃淡グレーに要所で山吹色を用いる色遣いは車体と同様、濃いグレーが全体を引き締めている感があります。また握り棒や吊革の構成も手伝ってか、同時期の新交通システムの車内にありがちな雑然とした印象はありません。

hal60-車端部

車端部です。妻窓無しで手前に機器箱、上部には空調吹き出し口…とここまでは割と一般的な新交通システム車両の構成ですが、妻扉を設置している例はあまり見かけません。普段は開け放っているようですが、どういった理由で設けているのか少し気になります。

hal60-乗務員室仕切

アストラムラインは全列車ワンマン運転、つまり運転士が乗っているんですね。初乗車の自分はそれを知らず、この乗務員室仕切に驚いてしまいまして…
運転台は右側で、非常に大きな広告が貼られています。仕切戸と左側は窓があり、左側の席は前面展望も楽しめそうですが、よく見ると窓形状は右側の広告枠と同じ隅の角が取れたもの。実は広告を取ると通常の窓だったりしないですかね…

hal60-LED

車端部には電光式の情報案内装置を設置しています。狭いスペースに押し込んだような位置ではありますが文字サイズは一般的、ただ緑色という文字色のせいか視認性が今一つという印象でした。

hal60-扉

扉は1両に片側1か所、幅は1300mm。周囲と同様の化粧板張りですが、注意を促すステッカーのサイズ・色遣いとも派手ですね。

hal60-床

床は薄い灰色、床下機器点検用のトラップドアが各車1か所あります。

hal60-天井hal60-吊革

天井です。空調吹き出し口は無く、吊革と蛍光灯が並びます。吊革は座席部分が黒に黄色い広告枠の独自形状であるのに対し、扉付近は通常の三角形。どうやら前者は製造時から設置されているものであるのに対し、後者は製造から数年後に追設したもののようです。

hal60-窓

側窓は上3分の1が内に折れる開閉式、カーテンはフリーストップ式ですが一番下までは下がりません。これには苦情もあったようで、最終増備車で改良されたとのこと。また対策として下部にはフィルムを貼っており、入ってくる光を幾分和らげています。

hal60-6人掛けhal60-6人掛け優先

座席を見ていきます。基本は6人掛けロングシートで、色遣いこそモノトーンながら凝った造りをしています。座面は手前と奥、背摺りは上下で濃淡が分かれていますが、どうも単なる張り分けではなくそもそも別のクッションか、そうでなくともかなり深くまで表地を引き込んでいるようです。このお蔭か座り心地は中々のもの、着座した状態で前後方向にだけバケットシートに似た効果を生んでいます。一方左右方向で見ると一般的なロングシートの形状ですから、閑散時にはバケットシートとは異なり余裕を持った着席も可能です。袖仕切りはパイプと袖板の組み合わせですが、袖板は背摺りの淡い灰色の部分と同じ高さで同色のモケットも貼っています。

hal60-荷物置場

車端部には機器箱と思しき大きな張り出しが設けられています。窓上に荷棚の類いは無く、その代替の役割も果たしていそうです。妻部にはモケットを貼っており、機器箱の冷たさを軽減。そして注目すべきは背摺り上部の隅に設けられたスペーサーで、全国を見ても非常に稀な試みであり座り心地にもプラスに働いています。

hal60-補助座席hal60-3人掛け

先頭車の車椅子スペースには補助座席を設置、3人分…ではなく扉側には車椅子固定金具を設置しているので補助座席は2人分です。座り心地は推して量るべしと言ったところですが、上部に手際よく握り棒を設けるなど完成度の高いデザインです。奥には3人掛けの座席が設けられており、袖仕切りの上部握り棒を省略した形状としています。

hal60-4人掛け

乗務員室直後は4人掛け。1人当たり幅は全て430mm、製造当時としては一般的な数値です。


さて冒頭に1編成のみの1000系について少しだけ触れましたが、その見分け方が広島市交通科学館の公式サイトに掲載されています(こちら)。位置づけとしては「準公式」と言っても差し支えないと思いますが、子供向けのように見えるページの内容は非常に細かいものになっています。

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