阪急5000系
1968年に登場した5000系は、前年に架線電圧を昇圧した神戸線用として同線初となる1500V専用車として製造されました。一時期・一部編成を除き専ら神戸線で活躍してきましたが、製造後30年が経過した2001年から大規模なリニューアル工事を施工。前面は貫通扉や灯具ケースが8000系並みに、スカートを設置し肩部はアイボリー塗りとするなど外観から大きく変わりました。また前面の銀色のステップや天地寸法が拡大された客用扉窓などは、以後登場する9300系などに踏襲されています。最初の頃は改造メニューが安定せず、特に最初に改造された5010Fは従来通り貫通扉に車番を記すなど以後の車両とは異なる点が目立ちます。なお8連化の際に2000系などの中間車を組み込んでいましたが、流石に古いためリニューアルに合わせて5100系からの改造車に差替えています。
2016年から今津北線への転用が始まり、5100系から転用した中間車は廃車し6連に短縮されています。2018年には本来の5000系では唯一のT車である5563が廃車され遂に全車健在が崩れましたが、さて今津北線では何年活躍することになるでしょうか…
車内全景です。リニューアルでは車内配置はそのまま、設備は最新車と遜色ない仕上がりにしました。緑のモケットに木目調の化粧板の伝統は引き継いでいますが、従来にも増して色合いがはっきり・くっきりした印象です。特に化粧板は経年でかなり色褪せた車両も見られますので、そういったことを未然に防ぐ意味合いもあろうかと思います。
車端部です。8000系などに倣い貫通扉窓の天地寸法を拡大していますが、化粧板の色を焦げ茶とも言うべき色合いに変更した点が特徴です。これについては以後の新造車や改造車にも踏襲され、新しい阪急電車の車内に欠かせない要素となっています。
乗務員室仕切も化粧板を濃いものに張り替えています。貫通扉窓のサイズ変更に対応してか、仕切戸の窓も下方向に拡大されたようです。
初期にリニューアルを受けた2編成は、編成のちょうど中央部分に乗務員室を撤去した痕跡がそのまま残っています。乗務員室側が小窓で妻面形状も異なっているため外観でも目立つ部分ではありますが、車内に入ってみると乗務員室部分にも座席を設置し、仕切が残ってはいるものの開口部を拡大、そこを荷棚が突き抜けて…という不思議な空間が出来上がっています。写真はリニューアル2編成目の5008Fで、1編成目の5010Fは荷棚が手前と奥で分割されているなど相違点があるようです。
床敷物はフットラインを意識したブロック調の柄のもので、濃淡茶系の色を用いています。この柄は新車でも用いられていますがそちらは灰色系、この色・この柄は主に既存車のリニューアルで用いられているようです。
ここまで色々変わっている中、天井は従来通りのようです。なお冷房装置はリニューアルで取り替えられ、出力が向上しています。
扉は窓の天地寸法を拡大、化粧板も妻部と同じ焦げ茶になっています。扉周りのスペースを広く取っているのは登場時の年々増す一方の混雑に対応するため、これは近年の車両には無い特徴です。
一部の扉横にはLED式の情報案内装置を設置。表示機の位置はかなり高め、文字サイズは少し小さめですが、直下に貼り付けた路線図と共に列車情報はだいたい得ることが出来ます。
窓とカーテンです。窓はリニューアルに合わせ8000系と同等のパワーウインドウを設置!一方扉間に3枚ある窓のうち、中央は固定式としたため開閉可能な窓は減少しています。カーテンはフリーストップ式ですが、改造時期によって下から上に上げる形でカーテンを閉めるものと、一般的な窓上部から下げて閉じるタイプがあります。荷棚は座席よりも短く窓上にしか設置されていない点に注意が必要です。荷棚はパイプ式から板状に変更されています。
座席に入ります。扉間は7人掛け、扉付近のスペースを広く取った分だけ座席定員が減少しています。原型の座席を知らないので推測ではありますが、脚台は黒く塗ったものに、袖仕切はパイプと板の組み合わせとし、8000系並みとしています。一方で座席そのものは勿論モケットを張り替えたものの背摺り・座面とも従来品と同じような形状に見えます。
車端部は5人掛け相当ですが、扉間共々本来の定員(と思われる人数)通りに座ると狭いような気もします。9300系でお目見えした座席間の板状の仕切りはありませんので、その辺りは今まで通り混雑の度合いに応じて使うのが良さそうです。優先席部分は近年臙脂色のモケットに変更されています。
乗務員室直後と車椅子スペース横は3人掛け。
リニューアルに伴い新設された車椅子スペースですが、装備としてはレール方向の握り棒程度しかありません。
初期にリニューアルを受けた2編成は、中間の乗務員室だった部分の形状を生かした形で客室化されています。他形式であれば乗務員室部分は立席スペースで済ませているのですが、本形式はリニューアル時に当該箇所にも座席を設置、コンパートメント然とした区画が誕生しています。ただ1編成目と2編成目では処理が随分違うようで(写真は2編成目)、1編成目の5010Fは妻側の肘掛が無く座面が妻面形状に合うよう加工してあるようです。
なお3編成目からはこの部分に更に手を加え、(作ったのか何かを切り継いだのか知りませんが)通常の妻面と全く同一の形状にしています。
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