阪急8000系|FTN trainseat.net

阪急8000系

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阪急創立80周年を記念して1988年に登場した神宝線用の8000系。阪急伝統の「落ち着き」「高級感」を高めつつ斬新さを…という設計思想の下、前面は従来車から様変わりした額縁型に、屋根周りは6300系同様アイボリー塗りとし、制御装置にはかねてから試験を進めていたVVVFインバーターを正式採用しました。翌年には神戸線では久々、宝塚線では初となるクロスシート装備車が登場していますが、後が続かなかったところを見ると… また1993年からは額縁形状の前面が思わぬ悪影響を及ぼしていると判明し形状を変更、1994年からは台車をボルスタレス式に改めるなど随時改良がなされましたが、いずれも基本編成の製造が終わった後の話で印象は薄めかも。近年の変化としては神戸線の車両の前面形状修正や足回りの更新が目立ちますが、車内に手を加えるリニューアルはまだ先になりそうです。
現在は神戸線に8連6編成と2連4編成、宝塚線に8連4編成と2連5編成がありますが、増結運用の減少もあって2連は7000系と組んで8連とした編成などが存在、本来の用途での運用は減少気味です。神戸線では115km/h運転の特急に、宝塚線では特急「日生エクスプレス」として能勢電鉄に直通する運用にも入ります。


80-車内全景80C-車内全景

まずは車内全景、左が大半を占めるロングシート車・右が一部編成(8002F~8007F)の神宝方2両のクロスシート車です。ロングシート車は7000系後期車を概ね踏襲した印象ではありますが、化粧板の色合いを濃くした関係で引き締まって見えますし経年の割に色褪せも気になりません。一方クロスシート車の方は3扉・扉間クロスシートの配置、クロスシートの3扉車は阪急初…と書きかけましたが、遠い昔のことながら戦前に600系(試作的な改造)で存在していました。京都線の特急車とは異なり通勤電車にクロスシートを持ち込んだような格好です。

80-車端部

車端部は全車共通でロングシートです。貫通扉の窓を下方に拡大したのは8000系からですが、他社ではあまり聞かない「貫通扉の交換」が既存車にも広まっており現在は一般的なスタイルになっています。

80-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。窓は上下に大きくなった側窓としっかり同サイズ、仕切戸の窓は前面の貫通扉と同様下方に拡大して小さなお子様のかぶりつきに配慮。

80-扉80C-扉

扉は従来車並み、情報案内装置は最終増備の40番台のみ鴨居部の広告枠の部分に設けられています。クロスシート車は座席配置の関係でロングシート車に比べ幾分扉周りのスペースに余裕がありそうですが、手摺りや吊革など握る物が絶対的に不足しています。

80-天井80C-天井

天井も従来並みの構成、中央にラインデリアが一直線、脇には空調吹き出し口を設けています。蛍光灯はカバー付き。クロスシート車は扉間の座席部分に吊革は無く、他車同様扉部分にも吊革が無く、あるのは戸袋部付近のみ。これはどう考えても不足だと思うのですが…

80C-床2

床は従来車同様の小豆色単色ですが、オンマウスで色褪せた様子になります。最近は色褪せるとブロックパターンのフットラインがある床材に張り替えられますが、例によって車両単位での施工のようで混在する編成も見受けられます。新タイプの床材は9300系にも採用されていますが、こちらは脚台がブロックパターンの部分にまではみ出ています。

80-窓80C-窓

窓は従来通り扉間3枚・車端2枚の配置、クロスシート車では座席配置と配列が合いませんが19m級で3扉・クロスシートを採用する会社はどこも悩んでいるような気がします。今回から開閉可能窓を客用扉横のみとし他は固定式とする一方、開閉できる窓はパワーウインドウとし自動開閉に対応しました。パワーウインドウは1970年代から相鉄が採用していましたが、相鉄が油圧式を用いたのに対し阪急は空気式です。
日除けは伝統の鎧戸ですがこれは本形式の途中までとなり、最終増備車ではフリーストップカーテンに変更されています。

80-8人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の8人掛けロングシートから。ロングシートについては7000系の製造途上で袖板の追加や脚台の黒塗り化など久々に変更がなされており、8000系での変化は特に見受けられません。

80C-転換座席80C-転換座席背面

神宝方2両のクロスシートは先に転換座席から見てみます。6300系をベースにしつつも背摺り・座面ともバケット化したほか、枕部は1席ごと独立形状とするなど変化しています。モケットは6300系の段織りモケットでは無く通常のモケットですが、何か変化を加えたかったのか背摺りに横方向のテレンプを入れアクセントとしています。肘掛上部もモケットを貼って冷たさを軽減していますが、これは後年の改造のようで6300系にも同様の措置がなされていました。シートピッチは900mm、足元にはフットレストバーがあります。

80C-固定座席80C-固定座席背面

扉横は固定座席。背摺りが妙に厚くなっていますが特に何があると言う訳では無く、背面も背当てクッションがあるだけ。補助座席が収まっていても不思議ではない勢いですが、寸法的にそれは無理な相談のようです。

80-5人掛け80-5人掛け優先

車端部は5人掛け、神宝方車端部は優先席で近年は赤系への変更が進んでいます。今までは臙脂色と表現していましたが、光の当たり方や経年などの具合かかなり明るく見えます。因みにモケットのメーカーは「マゼンタ」と表現しているようで…

80-車椅子スペース80-3人掛け

本形式から新設の車椅子スペースは各車1か所ずつ設置、現在では比較的一般的ですが当時としては先進的だったのではないでしょうか。装備としては握り棒と非常通報装置のみと最小限、横の座席は3人掛けとしています。
さてクロスシート車の7号車ですが、1両1か所でも驚きの車椅子スペースが何と1両2か所(梅田方・神宝方とも)設けられています。理由は「車いすでの車内通り抜けが出来ないから」だそうですが、随分と大盤振る舞いで… 他社の情勢を見ても流石にそこまですることは無いと考えたのか、9300系では各車1か所配置としています。

80-2人掛けs80-2人掛け優先

乗務員室直後は2人掛け、神宝方先頭部は優先席とされています。

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