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阪急9300系

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阪急京都線の特急は、2001年のダイヤ改正で10分ヘッド化と共に停車駅が一挙に増加。これまで基本的に6300系が使用されていた特急ですが、6300系だけでは足りなくなり8連であれば新旧問わず運用に入るようになりました。この状況を解消し、クロスシート車を増やすと同時に老朽化の著しい2300系を置き換えるため2003年に登場したのが9300系です。
戦後の阪急電車の製造を一手に引き受けていたアルナ工機が車両製造から撤退したため日立製作所の標準工法「A-train」を採用、従来の阪急車のイメージを引き継ぎつつもその印象は大きく異なるものとなりました。2005年までに3編成を建造、2008年からは6300系を置き換えるために建造を再開しています。2010年までに11編成の陣容となり、同年春のダイヤ改正では平日日中や休日のほとんどの特急を同系が担うようになり、ロングシート特急は大きく減りました。

現在は特急を中心に運用されていますが、3扉車であるためか6300系に比べると他種別に入る機会も多いような気がします。千里線や嵐山線には入線せず、もっぱら京都線で運用されます。今回は2008年度以降登場の編成を中心に、初期車の写真も交えつつ紹介します。


93-車内全景

まずは車内全景。3扉・セミクロスシートの配置は8000系の一部以来で、京阪間を軸としながら途中駅の利用をこまめに拾う現在の特急に合わせた構成です。日立「A-train」の構造によるものか、幕板部を白いパネルで覆う形となったため木目調の化粧板が覆う部分が減っており、従来に比べ白が目立つ印象があります。

93B-車端部93B-車端部1

車端部は先頭車を除いて大阪方がクロスシート、京都方がロングシートです。クロスシートがあってもお構いなしに妻窓付き、しかも窓の天地寸法が非常に大きいため妻窓は細長くなっています。貫通扉は何と自動式、取っ手を握ると隣車も含め自動で開きます。

93-運転台背面s93B-乗務員室仕切

乗務員室との仕切りにも濃い色の化粧板を用います。引き続き大きな窓が特徴ながら、左はロングシートの背摺りが低い初期車で仕切窓は側窓よりも幾分小さいことが分かります。一方2008年以降建造車は背摺りが高くなっており、これで側窓と仕切窓が同じ高さになったようです。

93-天井

天井です。高い天井と半間接式を採用した照明が見物で、特急車としての落ち着きを演出しています。カバーを廃した照明については韓国の地下鉄火災との兼ね合いも言われることがありますが、火災が2003年2月に対し本形式はその秋の登場ですから少なくとも本形式では無関係かと思います。吊革は座席部分にも設置し混雑に対応しています。

93B-扉93B-扉2

扉は片側3か所、側窓と同サイズの扉窓が特徴です。握り棒は扉枠と一体となったものですが、穴が開いているわけでは無いので掴めないんですね…

93-LEDs

情報案内装置は扉上に千鳥配置で設置。初期の3編成はLED式ですが、位置が高く字も小さめであまり見やすくありません。8000系列はもう少し大きかったかと思いますが、どうしてしまったのでしょう。

93-LCD案内機s

2008年建造分以降は9000系と同じ液晶式の情報案内表示機を装備。左側は広告画面で、自社広告を中心に展開。

93-床

床は灰色系で通路部にはブロックパターンの模様入り。

93B-窓

側窓は扉間2枚・車端1枚ですが、クロスシート1列ごとに開閉可能とすべく窓の中央に細柱が立っています。初期車は高さ1040mmとかなり大きく全て固定窓でしたが、流石に大きすぎると判断されたか2008年以降建造車は990mmに縮小し車端部はパワーウインドウ付の下降窓としました。

93-座席転換

座席を見ていきましょう、まずは2人掛けの転換座席から。バケット形状を意識した座席と従来とは異なるモケットに驚いた方も少なくないでしょう、これで化粧板(と背景に写っている電車)の色が違えばちょっと阪急とは思えないかなあ、というくらいです。脚が中央の太い1本というのは同じく日立製作所「A-train」の817系でも見られます。シートピッチは950mmと広め、横幅も十分です。6300系や8000系クロスシート車にあった窓側肘掛は無くなりましたが、窓枠がかなり低いため代用できそうです。

93-座席固定93-座席固定背面

扉横は固定座席、転換座席に比べ頭部形状が立ち気味になっています。裏側はカバーで覆う形状で、腰部にモケットを巻いたクッションを設置し立客に配慮しています。座席は阪急では慣れないバケット形状ですが京阪間は乗り通しても40分強、取り立てて不満はありません。

93-座席ボックス

大阪方車端部はボックスシート、阪急で車端部にクロスシートを設けた事例はこれが初でしょうか。ボックスピッチは1700mm以上と思われ余裕があります。妻面側であっても座席幅に変わりはなく、通路側肘掛がはみ出る格好になっています。

93-補助座席s93B-補助座席展開

大阪方車端部の扉横には補助座席を設置。重さが無いとすぐに畳まれてしまう仕様です…が、やはり展開状態で固まってしまうことがあるようです。ロック機構が付いており、使用不能時は右側のヘッドレスト下にある表示器が光ります。

93-5人掛けs93B-5人掛け

京都方車端部は5人掛け。初期車は背摺りの低さとクロスシート部同様のモケットが特徴でしたが、特に背摺りの低さは看過できなかったか2008年度建造車から改善されました。本形式初期車の登場後にデビューした神宝線9000系の仕様を反映した格好でしょうか。扉側の板状の仕切りは2次車以降設置されたもので、座席側には従来通りの仕切り(と言うより肘掛)が設置されています。

93-補助+2人掛けs93-補助+2人がけ2s

同じく5人掛け…に見えますが、左画像の窓に車椅子のステッカーがあります。よく見ると扉寄りの3人掛けは座席下にパイプが見え、座面も薄いような気がするこの区画、実は車椅子スペース兼用です。反対側の通常席と見比べても特に違和感のない仕上げには驚きますが、裏を返すとここを車椅子スペースとして認識してもらえているのか怪しいような気もします。

93-5人掛け補助2

補助座席を畳んだ様子。背摺りがしっかりしているせいか意外と厚みがあり、更には扉側には大きな仕切りもありますから、実際に車椅子を使うとなると取り回しが大変そう…

93B-5人掛け補助493B-5人掛け補助優先

やはり車椅子スペースだと気付いてもらえない事例が多かったか、2019年頃からは補助座席をカバーで覆い使用停止としました。右写真は優先席の蘇芳色モケット。

93-2人掛けs

運転席後ろは2人掛け。ロングシートの1人当たり幅は480mmとかなり広く取っており、幅と仕切の活用でバケットシートなどを採用せずとも定員着席を守らせる方針のようです。

93-2人掛け2s93B-2人掛け優先

2008年以降建造車はやはり座席が変更されています。クロスシート車ですが眺望の楽しめる先頭部も小さい子供を中心に人気です。

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