117系|FTN trainseat.net

117系

S13T1

 今回ご紹介するのは国鉄としては異例の近郊型電車、117系です。2扉転換クロスシートと急行型並みの車内設備の同車は1979年、並行私鉄との競争が激しい関西地区の東海道・山陽本線「新快速」に導入され、1982年には名鉄との競争が激しい東海道線名古屋地区にも導入されました。1987年の国鉄分割民営化で117系はJR東海とJR西日本に引き継がれましたが、どちらも1989年から投入された後継車により主役の座から退きます。JR西日本の車両は一部にロングシートを設置する改造を行い、また一部は山陽線などに転属するなど各地に散らばっていきました。JR東海の車両は東海道線に残ったものの高速化に対応できなくなりラッシュ時の快速で活躍していましたが、2013年春にはイベント用車両「TRAIN117」を除いて全廃となります。なおJR東海の「リニア・鉄道館」には休憩用スペースも兼ねて3両が保存されましたが、2019年に2両が解体され収蔵車両扱いに。JR西日本の車両も同時期の他形式と異なり体質改善工事を受けないまま推移、2015年頃から廃車が発生しています。

117系は大きく分けて0番台と仕様が変更された100・200番台の2種類があり、また同車はJR2社に引き継がれましたが、車内設備に大きな差異は発生していないのでこれら全てをまとめて紹介します。


117-車内全景s117W-車内全景

車内全景、左側はJR東海車で右側はJR西日本の300番台です。JR東海車は登場からの姿を保っており、茶色いクロスシートが整然と並んでいます。一方の300番台は1992年、福知山線用に一部をロングシート化したもので、扉間の3列分をロングシートに置き換えたものです。

117-車端部117W-車端部

車端部も転換クロスシートが並びます。なおJR東海には車端部をロングシートにした車両が僅かにありましたが、全車への施行は最後までありませんでした。

117-消火器s

その車端部ですが、大きな張り出しがあります。形式図によると560mmほど、機器室のようですが消火器もそのスペースに納めてありました。

117-トイレ

ト イレですが、関西地区に導入された車両は下り方先頭車だけに、名古屋地区に導入された車両は両先頭車に設置されました。名古屋地区の車両は6連だったのを 先頭車を新造して4連にしましたが、この時1編成を中央で分割し新造したトイレの無い先頭車を挟み込んだので、編成によってトイレの位置が異なっていま す。

117W-乗務員室仕切り117-乗務員室背面

乗務員室仕切です。0番台は左写真のように運転台側に窓が無いのが本来ですが、JR東海車はJR化後に小窓を追設しています。一方100・200番台は当初より運転台側に窓を設置、その他の窓も拡大しています。

117W-扉

扉は下端を除いて化粧板を貼った仕様になっています。写真は2015年撮影の岡山地区「サンライナー」用で、出入り口付近の床を黄色くしています。

117W-天井117W-天井

天井、左は0番台、右は300番台のものです。フラットな天井で蛍光灯はカバー付き、内側に細い吹き出し口があります。300番台の方はロングシート部分に吊革が設けられていますが、他のグループは吊革が全くありません。

117W-床

床はクリーム一色です。写真はJR西日本車ですが、JR東海の車両もほぼ同色の車両が多かったように思います。

117W-窓117-窓2

窓とカーテンです。ここから特記しない限り左が0番台、右が100・200番台です。0番台は上段下降・下段上昇式の2段窓となっています。写真はJR西日本車ですが、JR東海車の晩年は下段が固定されていました。カーテンは巻き上げ式、ストッパーは4か所あります。一方100・200番台は1段下降窓になりました。カーテンは同じく巻き上げ式ですがストッパーが2か所に減っています。100・200番台は写真が無くてリニア・鉄道館の保存車のものを使用しています。

117W-転換クロス2117-転換座席2

座席です。0番台の座面や背摺りに着座位置の区分は特にありませんが、100・200番台の座面はバケット式、背摺りに縫い込みがあります。100・200番台は1985年に登場したバケットシートの211系が登場した後で、台車などに限らず座席にも設計の思想が変わったことが読み取れます。また、座席下も0番台は完全に塞がれていましたが100・200番台は足を伸ばせるようになっています。なお左はJR西日本、右はJR東海の車両で、枕カバーに違いが見られます。更に言えばJR西日本車でも京都と岡山では枕カバーが違うようです。

117W-固定クロス117-固定座席2s

扉の横・車端部は固定座席としています。なお優先席はJR西日本車が枕カバーの取り換えで、JR東海車は窓などのステッカーで対応していました。

117W-ロング

300番台の扉間に設置された6人掛けのロングシートです。袖仕切りは201系以降お馴染みの形状ですが、縦のパイプが少し曲がっているのが特徴的。また奥にはクロスシートとの隙間埋めのためなのか箱を設置していますが、もう少し低ければ肘掛として使えたかもしれない微妙な高さです。座席そのものはごくごく平凡な形状で、モケットは取材した京都区の編成ではクロスシート部も含めて同区の113系と同じ、117系本来のものとは異なる茶系のものでした。

117-運転台s117-運転台

最後に運転台の様子。左がJR東海(100番台)、右はJR西日本(0番台)です。

座席系

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関連項目

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