京阪2600系
1959年登場の2000系「スーパーカー」は103両の一大勢力でしたが、架線電圧の昇圧に機器類が対応できないため車体や台車を流用しての「代替新造」を決定、2000系としては1978年に廃車となり次々2600系へと生まれ変わっていきました。界磁位相制御で回生制動は引き続き常用、普通や区急運用に適した高加減速が売りの2000系に対し2600系は他形式並みの一般的な走りになっています。車体は流用していますが腐食箇所を徹底的に修繕したほか、冷房を搭載しサービスレベルを向上。2000系と同じ103両が、2000系並みの自在な編成を組み本線系各線で活躍しました。また1980年には完全新造車の30番台も登場しています。
2000年から廃車が始まりましたが、交野線・宇治線はワンマン化に伴う新車の直接投入があり撤退したものの本線では現在もその姿を見ることが出来ます。8連の減少もあってか近年は7連車でも朝ラッシュ時に優等運用があるようで、1959年製の2624号車を筆頭に他の7連車に混じって活躍を続けています。
徹底的に緑色の車内全景です。丁寧に整備している様子は窺えますが、2600系としても2018年で40年を迎えており流石に経年を隠せない部分もちらほら。
車端部です。左写真の奥行が浅いのは旧2000系1次車、右写真はそれ以外の様子です。奥行の違いを除けばいずれもほぼ同一の造り、片側の窓は開閉が可能です。
乗務員室仕切は両側とも固定窓であることを除けば車端部と同様の造り。
2000系「スーパーカー」は運転台付きの車両が多く、後年の長編成化に伴い運転台撤去車も多数発生しています。完全に客室化してしまった2200系と異なり、仕切りを残し乗務員室の機器を一通り撤去したような格好です。この手法は阪急でも見られますが、あちらは大半が仕切窓と扉を撤去してしまっているのに対し、こちらは完全に区切られており個室のような格好になっています。
運転台撤去車の「個室」部分に入ってみます。運転台は埋められているものの台そのものは残っており、軽く腰掛けることが出来そうです。一方車掌台側は機器箱が取っ手が付いた状態で残存しています。側面の扉は取っ手を撤去、開閉できないよう固定してあるようですが完全に埋め込んだ訳では無いようです。乗務員室の面影を比較的残した空間に仕上がっています。
天井です。2600系化に合わせて冷房改造が施され、ラインデリアと冷房直下の回転グリルという京阪特有の構成としています。蛍光灯はカバー付き。
こちらは冷房をマイコン制御とした「新冷房方式」の試作車2621Fの天井です。他車が8,000kcal/h×4台を搭載する一方、こちらは10,500kcal×3台の集約分散式としており、外観も異なっていました。阪急などで見られる四角いグリルファンが1両に9台並んでいます。宇治線用として活躍していた同編成は2012年に廃車されています。
「新冷房方式」を採用した2621Fの写真をもう1枚、車端部の様子です。中央上部に他の車両には無いグリルが設けられており、妻部には通風孔の張り出しがありました。
床も緑色。徹底的に緑です。
扉は1300mm幅の両開き、腰部の緑色の色褪せが気になります。
窓です。左写真の旧2000系1次車は幅900mm、以降の車両(右写真)は幅800mmで、写真でもその違いが何となくお分かりいただけるかと思います。座席部分のみ設置の網棚もよく見ると異なっており、左写真の旧2000系1次車では緑色の糸を編んだ網を用いているのに対し右写真の車両は金網としています。ここは車両単位で異なるようで、旧2000系1次車以外でも緑色の網を用いている車両があるようです。カーテンは京阪特有のワイヤ式フリーストップカーテン。
なお旧2000系1次車は高加減速に対応するため荷棚の先端にも吊革を設けていましたが、これは早期に撤去されたとのこと。
優先席部のカーテンは生地に「優先席」とプリントした生地を用いています。
さあ座席に入っていきましょう。まずは扉間のロングシートですが、旧2000系1次車とそれ以外で側面割付が異なる関係から2種類存在します。こちらは大半の車両の8人掛け、1人当たり幅は435mm程度になりそうです。
こちらは旧2000系1次車だった車両、寸法的には9人掛け程度ですが背摺り・座面とも中央で分割されていますから難しいものがあります。
大半の車両の車端部は5人掛け。優先席は背摺りのモケットを黄色いピクトグラム入りとして区別しています。
乗務員室直後と旧2000系1次車の車端部は3人掛け。袖仕切りは京阪最初の本格通勤車1650形(→600系30番台)に続き背摺り・座面の側面部を化粧板で覆った独特の形状、1970年の5000系まで広く採用されています。
運転台です…がこれは2621Fのもの、この編成は冷房の他に列車モニタ装置の試験も行っており、計器パネルの上にその表示機が残っていました。このページを更新する以前、試作要素の強い2621Fの様子を特に注記せずご紹介していた箇所が幾つもあり、最後にお詫びいたします。
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