近鉄5200系|FTN trainseat.net

近鉄5200系

写真: VX08(5158)

1980年代、大阪・名古屋~伊勢間の急行には2610系など狭いピッチ(約1400mm)のボックスシート車やトイレ付きロングシート車などが充当されていました。流石に改善を求める声もあったのか、1988年に登場した5200系は料金不要の長距離列車に加え団体列車でも使用できるような設備を持って登場しました。車体は鋼製で久々に片側3扉、扉間の5連窓や前面のパノラミックウインドウなど外観からして従来車より格上の印象。主要機器は当時増備が進んでいた4扉通勤車とほぼ同一ですが、細かい差異で5200系のほか5209系と5211系に分かれています。
4連13編成が在籍しており9編成が主に名古屋線で、4編成が主に大阪線で活躍しています。通勤車を従えての6連以上で急行などに充当されることが多いほか、以前は貸切列車にも多数使用されていました。ここでは車体更新が行われる前の車内をご紹介します。


520-車内全景

座席がみんな向こうを向いていますが車内全景です。従来の近鉄通勤車の流れを引き継いでいる部分もあるのですが、やはり現在では東海圏~九州圏で幅広く採用されることになった「3扉・転換クロスシート」というレイアウトの印象が強いですね… 本形式の扉間5列・車端2列も、初期のJR近郊型を中心に外れた車両もありましたが、結局この配置が標準になっているようです。

520-車端部1

車端部です。化粧板は他より濃い黄土色に近い色で、背摺りの高さとの兼ね合いで妻窓はありません。貫通扉の窓は翌年の阪急8000系ほどではありませんが下方に拡大されています。

520-車端部2520-トイレ

長時間運用や団体運用を考慮し、両先頭車にトイレを設置。内部は和式、レイアウトは従来車と同等です。

520-運転台仕切り

乗務員室仕切です。この位置に補助座席を設ける例は珍しく、そのせいもあってか両側の窓は高めの位置。その反動?なのか仕切戸の窓は車端の貫通扉以上に下に大きく伸ばされています。前面貫通扉も窓が大きいので、近鉄では珍しく小さな子供でも前面展望を楽しめそうです。

520-天井

天井はカバー付き蛍光灯に数は少なめですが全体に設けられている吊革と、ここだけ見ると通勤車と変わりません。このうち扉間の吊革は後年の改造で設置されたとのこと。荷棚は網棚で、全国に広がった3扉・転換クロスシートのレイアウトとの組み合わせは珍しいかも。

520-床

床は茶色一色。

520-ドア

扉は他形式と同様1300mmで形状も同等、幾ら車体長が長めでも全て転換座席としたためか立席スペースは少なめ。

520-窓まわり

窓は小さいのが5連続、カーテンは巻き上げ式で中央付近と最下段の2か所で留められます。

520-座席520-座席2

一般列車で座ることが出来るのはこの転換座席のみ、車両妻部の座席は固定されていますが造りは同一です。背摺りは頭の部分が分割されており、枕カバーを被せています。座面はバケット形状の無いタイプで、脚台は足元に蹴込こそ設けていますが空間にまではなっていません。2種類あるモケットは先頭車が左の緑系、中間車が右の茶系で、いずれも21000系のボツ案だったようです。

左の座席の枕カバーは右と異なり模様が入っていますが、これは優先席を示しています。一応窓にもステッカーが貼ってありますが、分かり辛い区分ではあります。

520-仕切り1520-補助座席

補助座席は左の扉と座席の仕切りを兼ねたタイプが大半ですが、右のように乗務員室仕切やトイレの壁など単体で設けられた箇所もあります。扉と補助座席が極端に近接しているのは、この補助座席が団体運用時にしか用いられないため。出入りが少ないなら扉に被っても問題ないという考え方のようで、この補助座席を全て使うと着席定員は約100人分増加するようです。

520-仕切り2

補助座席を兼ねた仕切りの裏側にはテーブルがあり、また足元が狭くならないように蹴込もあります。

520-テーブル

転換座席部分にもテーブルがあるのは長距離乗車時に有難い設備です。座席横の窓下には小さい点が3つほど並んでいるのが見えますが、これは当初設けられていた窓側肘掛の跡のようです。

520-運転台

運転台は茶系、レイアウトは従来車並みです。

座席系

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