名鉄300系
名鉄初のステンレス車として2002年に登場した300系は、翌年に控えた小牧線の地下鉄上飯田線直通を念頭に置いた形式です。1駅しか無い地下鉄区間ですが将来の延伸も考慮しているのか20m級4扉の設計は100・200系に続いて地下鉄準拠、桃色がラインカラーとなる上飯田線に合わせて帯も赤より桃色の方が太くなっています。車体は京王9000系などで見られる日車式ブロック工法、足回りは従来車ベースながら制御装置は更なる改良を加えて以後の名鉄での標準になっています。
地下鉄直通より前、まず置き換えたのは犬山を拠点に走っていた吊り掛け駆動の電車というところが如何にも名鉄らしいですが、そんな電車が走っていた路線が地下鉄直通を開始し車両もすべて一新されたわけですから沿線住民の喜びも大きかったことと思います。4連8編成が製造され、一応地下鉄車もありますが小牧線のほぼ全列車が本形式で運転されています。
車内全景、いずれも車端の扉付近からですが左側は先頭車、右側は中間車の様子です。地下鉄に入る車両としては驚きのクロス・ロング混成配置、加えて紫とピンクの座席モケットに濃い色の床という配色、車内も従来の車両とは大きく違うようです。左写真は2008年、右写真は2016年の撮影ですが、その間にスタンションポールのピンクが無くなっています。
車端部は100・200系よりも浅めの奥行が特徴、これは扉を5m間隔に統一する狙いがあるようです。扉の脇に設けた握り棒の形状や、禁煙表記・車番表記の位置も本形式独特のもの。あ、車番は阪神関係ないです。
乗務員室仕切ですが、後ろに座席が無いため名鉄の車両では珍しく出入口扉が右側に偏っています。
床は中央が黒、両脇が灰色で、白・黄色などの細かい粒が散りばめられています。
天井です。蛍光灯は直接照明、中央にラインデリア、少し開いて両脇に空調吹き出し口があります。撮った位置が悪かったのですが、吊革は従来車とは異なり一般的なパイプから吊られる形になりました。写真のこの場所はクロスシート部、そうクロスシート部には吊革が無く、2004年の3150・3300系でも引き継がれてしまっています。
扉は窓押さえが出っ張っていないタイプ。座席を優先した結果扉周辺のスペースは狭めです。
情報案内装置はLED式ですが、従来車とは異なり扉上に千鳥配置しています。走行線区が限られるためか、表示が多彩です。
オンマウスで画像が変化します→ 英語案内 次駅案内 開扉案内 停車中駅案内
LEDは千鳥配置で、それが無い側は路線図を貼っています。
窓は扉間2枚・車端1枚で、UVカットガラスを採用した代わりにカーテンはありません。写真のクロスシート部は固定窓ですが、ロングシート部は下降窓としています。
座席を見て行きます。まずは転換クロスシートですが、ロングシート車が増えてきた名鉄にあって転換クロスシートを、それも地下鉄直通車に採用したのですから驚きです。ただ元々小牧線に走っていたのは冒頭に書いた吊り掛け駆動の電車以外に2扉・転換クロスシートのSR車もあった訳で、冷静になってみるとそこまで驚くことも無いかも。
シートピッチは名鉄各形式よりも幾分広めの915mm。1200・1800系のものをベースとしているようですが、詰め物の変更で座り心地は硬めに、また軽量化が図られたことで座席の転換も軽くなっています。
ロングシート、扉間は7人掛けです。何と言っても名鉄初の本格的なバケットシートに大型袖仕切が特徴です。それに加えてピンクのスタンションポールも特徴でした…が、2013年ごろから他形式と同様に剥がされています。
車端部は2人掛け、全て優先席という点が特徴です。壁側は肘掛然とした出っ張りがありますが、これが以後の形式に引き継がれなかったのは残念です。
ここからは先頭車の乗務員室寄りにあるイレギュラーな区画。先にご覧いただくのは6人掛け、ここだけこうなった理由はE231系と同じく乗務員室を広く取った結果のようです。
さらにイレギュラーな3人掛けは6人掛けの反対側にあります。その隣は車椅子スペースで大きく分厚い仕切りが特徴ですが、もしかするとここにヒーターなどが入っているのかもしれません。窓下の蓋を開けると車椅子を固定する金具が入っています。
運転台です。ワンマン運転や地下鉄線で用いるATCにも対応。ここにも着色ガラスを用いており、なかなか綺麗に撮れません。
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