名市交5000形|FTN trainseat.net

名古屋市営地下鉄 5000形

写真: ms5113

主力だった黄色い東山線の電車、特に登場時から活躍してきた100形を中心に老朽化が進んでいた1980年頃。その「黄電」を置き換えるべく登場したのが、今回紹介する5000形です。車体は同局初のアルミ製、従来車の塗装である黄色は窓下の帯として残りましたが、それより何より東山線初の冷房車として乗客には大歓迎されたことと思います。足回りでは制御装置に電機子チョッパ制御を採用して回生制動を常用、4M2Tと電動車では無い車両の登場も同局初でこの編成構成は以後の東山線・名城線の新車の標準となっています。1990年までに6連23編成が製造されました。

長らく5050形と共に名古屋の大動脈を支え、2005年には万博輸送も経験しましたが、一方で2004年には運用減で2編成が廃車、2012年からはN1000形に置き換えられる形で本格的な廃車が進行し、2015年に引退しました。


ms500-車内全景

車内全景です。縦横比がおかしいようにも見えますが、車体幅約2500mm、車体長約15600mmという東山線ならではの車体寸法ゆえの違和感です。モケットの橙色は本形式が初めてだったかと思いますが、以後の各形式に引き継がれていくことになります。一方化粧板のピンクベージュは…時代を感じます。

ms500-乗務員室仕切

車端部の写真は撮り損ねてしまったようですが、貫通扉は無く小さめの妻窓が両側に設けられていました。写真の乗務員室仕切は仕切戸のものを含めて窓が3枚ありますが、妙な高さだったり幅だったりでどうも落ち着きません。上には冷房が載っているため高さが抑えられ、真四角に見える独特の形状となっています。

ms500-LED

最後の数編成にはLED式の情報案内装置が設置されています。5050形の物とそっくりですが、日本語表示しかできないようです。

ms500-天井ms500-天井2

空調など天井です。中央部分が飛び出た格好になっており、冷房設置への苦心が見え隠れします。車端部はさらに1段低くなっていますが、蛍光灯の位置もイレギュラーな為かどうも暗いような印象を受けます。

ms500-床

床は灰色、扉付近の滑り止めは座席モケットの色に近い赤茶系。

ms500-ドア

扉は片側3か所、座席を多く取ったために両脇のスペースはごく僅か。

ms500-窓

窓は3連窓に見える作りですが、中央は開閉可能です。数駅ではありますが地上区間があるため、カーテンも装備しています。

ms500-荷棚

ここまでご覧になって、「何か足りない」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。その答えは荷棚で、戸袋の部分にしか設けられていないのです。昭和30年代あたりまでの地下鉄車では時折見られた構成ではありますが、本形式は1990年まで製造されているんですよね…
荷棚の省略の理由があるとすれば「短距離利用が主だから」という場合が多く、本形式もその面があると思いますが、もう一つ「窓が大きい」ことも挙げられるかもしれません。元々東山線の電車の窓は大きめでしたが、本形式の窓高さは何と1m超!JR東海の「ワイドビュー」を冠する特急型よりも大きいというのは正に驚きですが、同時にどうしてそんなに大きくしたんだ、という感もあります。

ms500-8人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の8人掛けです。鶴舞線3000形が割と一般的な形状の座席だったのに対し、特徴的な背摺り形状に目が行きます。橙色のモケットには縫込みがあり、1人ずつの占有幅を区分しています。定員着席を奥行の浅さは仕方が無いこととして、1人当たり415mmという幅、更には座面が硬いのも相まってあまりいい思い出はありません。袖仕切は単純なパイプ構成。

ms500-3人掛けms500-3人掛け優先

車端部は3人掛け。一部区画は優先席になっており、モケットはシルバーシートと呼ばれた名残りか銀色に近い色となっています。座席下は暖房の吹き出し口などがなく、完全に鉄板で覆われた少し珍しい構造です。


ms500-運転台

最後に運転台の様子。ブラックアウトされたパネルが特徴ですが、乗務員室内は緑色で塗られています。

座席系

trainseat.net>中部地方インデックスに戻る

その他

編成別写真集>5000形

inserted by FC2 system