西鉄5000形
西鉄電車といえばアイスグリーン地にボンレッドの帯の印象が強いですが、それを初めて採用したのが1975年登場の5000形です。600形譲りの3扉・ロングシート車ですが足回りは2000形特急車とほぼ同等、運転台側のみパノラミックウインドウという非対称の前面も独特です。3連・4連があり15年に亘って40編成136両が製造されましたが、製造から20年を目途に行われた更新工事も長期に及びましたので細かい部分まで見ていくと結構な違いがありそうです。
2014年に1編成が検測車に改造された他、2017年からは9000形の投入で廃車が開始されています。運用は日中が普通、朝夕は優等列車が中心と西鉄特有のはっきりした使い分けがなされているようです。
車内全景です。更新工事を受け所々変化点も見られますが、基本的には製造時からの仕様をそのまま引き継いでいます。3扉・ロングシートの構成は600形譲りで、後の車両には例外もありましたが西鉄通勤車の標準とされる構成です。
車端部です。扉の無い広幅貫通路や側窓と同じ高さの妻窓など開放感のある構成ですが、それ以上に貫通扉上の広告枠はどうも戸袋部と同じサイズのようです。天井が高いことを物語るとともに、細長い印象の外観も車体幅が狭いからというだけでは無いことに気付きます。
乗務員室仕切です。運転席だけ客席側に張り出す構成は同じ川崎重工製の山陽3000系でも見られますが、こちらは車掌台側も含め座席を無くし立席スペースとしています。運転台側は背面窓が無く、代わりに?通常の車端部では貫通路上に設けられていた広告枠があります。やけに暗い印象なのは右側の照明が節電のためか抜かれていたためです。
床は灰色ですが、微妙に茶系の色も混じっているような気がします。
天井です。冷房は分散式でダクトは通っておらず、手前にあるローリーファンが空気の循環を担います。照明はカバー無しでカバーを設けた2000形特急車との差をつけたようです。吊革は枕木方向にも設けられ、ラッシュにも対応しています。
なお更新工事で室内灯が増設されているようなのですが、元が分からないのでどこにどう増やしたのかは不明です…
扉は西鉄標準の無塗装、手掛けが上部にある点が特徴的です。座席上の荷棚は扉上にのみあり、袖仕切は縦方向のパイプがそのまま吊革のパイプに延びる変わった形状です。
窓は2段式の2連ユニット窓で上段下降式。サイズは本形式の2年前に登場した2000形特急車と同一です。青いカーテンは巻き上げ式で4段階で調節可能。
座席に入ります。扉間は10人掛け、更新工事で座席が交換され背摺りだけがバケット化されたほか、スタンションポールも設けられました。座席幅は1人あたり450mm程度に拡大されているようですが、この影響か座席の端部と座席下の蹴込の端が合わなくなり、端の席は半分程度が浮いた少し不思議な見た目になっています。
車端部は5人掛け、優先席は青系のモケットです。座面がバケット化されていないのは前述の通りですが、背摺りのバケット形状が割とはっきり出ているので定員着席にも効果があるでしょうか。
更新工事に合わせ車椅子スペースが新設されています。設備としては特徴的な形状をしたレール方向の握り棒とパネルヒーター程度ですが、床には滑り止め加工が施され目立っています。座席は2人掛けとされています。
さて1987年以降に製造された車両には袖仕切に袖板が設けられています。2008年に撮影した更新前の写真がありますので、少しだけご覧いただきます。
扉間は10人掛け程度でしょうか、背摺り・座布団は一体で着座区分もありません。
車端部は5人掛け。袖仕切はパイプと袖板を組み合わせたタイプですが、上面が通路側に向かって下がっています。
運転台は電磁直通ブレーキながらデスクタイプとした、他では見られない構造です。
最終更新:2018/5/12