小田急8000形|FTN trainseat.net

小田急電鉄 8000形

写真: oer8266

1982年登場で通勤車では最後の鋼製車、気がつけばベテランの域に達している8000形。前面スタイルの一新や界磁チョッパ制御の採用など小田急としても力を入れたほか、従来車と併結可能で種別を問わず運用可能な汎用車としての性格も備えています。5年間で6連・4連が16編成ずつ製造され、目論見通りの活躍を見せました。
2002年からはリニューアルが開始されましたが、翌年からは3000形に、2007年からは4000形に合わせるようにして足回りが改造されるようになり、他にも徐々に内容が変更されています。外観は比較的原形を保っているだけに、さて車内はどうなっているでしょうか。「徐々に」変更された対象には車内も含まれていますが、今回は比較的後期に更新された車両の様子をご覧いただき、変更点については可能な限り触れていきたいと思います。


oer80-車内全景

まずは車内全景です。元々は寒色系の色遣いでしたが、リニューアルで赤い座席に白い化粧板それに茶系の床敷物と、明るい・暖かいという言葉が似合う車内になりました。一方で戸袋窓や袖仕切など他社ではリニューアルで弄りそうな箇所がそのままで、従来の設備を生かしつつのリニューアルと言えそうです。

oer80-車端部oer80-車端部2

車端部です。更新後も妻窓を残しており、化粧板の色も相まって近年の新造車に比べても明るい車内を作ることに貢献しています。優先席部は吊革を黄色に、床材を青緑色として視覚的に区分しています。

oer80-乗務員室仕切

乗務員室仕切りは従来のものを生かしていますが、両側の窓は従来に比べて縮小されているようです。

oer80-扉

扉は従来通りの銀色無塗装ですが、縦に入った黄色いラインや床の黄色い滑り止めなどが目立ちます。左扉の窓横に点字ステッカーが貼られていること、また情報案内装置の横に「10」のステッカーが貼られていることなどから、実際には中間に運転台を挟み貫通もしていない編成とは言え事実上の10両固定編成として扱われていることが伺えます。

oer80-LED

リニューアルに際しては扉上に情報案内装置を千鳥式に設置していますが、新造車が割と早くから液晶式に移行したのに対し、こちらは一貫して3000形3次車までと同一のLED式としています。

oer80-天井

天井は概ね従来通りのようですが、吊革は三角形の持ち手に取り替えられています。

oer80-床

床は灰色から茶系に変更、濃淡でフットラインを形成しています。明るい茶色の部分は柄が入っており、また濃淡の境目には◆の模様が入っているのが特徴。

oer80-窓

リニューアル車は随分濃い色の側面窓が目立っていますが、実はその代償としてカーテンを廃止しています。従来あったはずのカーテンレールすら見当たらないので、もしかすると窓枠ごと取り替えているのかもしれません。妻窓や戸袋窓を残したのは車内の明るさを確保するためなのか、はたまた鋼体を弄るのが手間だったのか… そうそう、荷棚はパイプ式に変更されています。

oer80-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けから。最終増備車は当初から赤系のモケットだったほか、一部車両はリニューアル前からバケットシート化していた車両もあったようですが、リニューアルに際して全車バケットシート化、モケットも赤系になりました。自分はリニューアル後しか知らないので詳細は分かりませんが、少なくとも従来の赤モケットとは別物ですし、バケットシートも従来とは異なるとか何とか。袖仕切りは従来通りのパイプを組み合わせたもの、スタンションポールはリニューアル時期により1本だったり2本だったりします。

oer80-3人掛けoer80-3人掛け優先

車端部は4人掛け。優先席は青系のモケットにしているほか、中央部に黄色いスタンションポールも加えています。座り心地は硬めで、乗車・取材を行った相模大野から小田原までの快速急行(所要時間は1時間弱)でも些か厳しいものがありました。それに加えて座席幅が恐らく従来と大きく変わらない430mm以下、特に車端部は410mm程度のようで、近年の車両に比べると窮屈さが目立つところです。もっともこれは座席数が多いためで、数を取るか幅を取るか…というところでしょうか。

oer80-車椅子スペースoer80-4人掛け

先頭車には7人掛けの一部を撤去して車椅子スペースを設置。初期~中期のリニューアル車では補助座席を設けていましたが、2008年度あたりからそれを止めているようです。実見したわけではありませんが、3000形の状況を鑑みると恐らく使用停止になっていることでしょう。
そんな訳で後期にリニューアルを受けた車両の車椅子スペースはレール方向の握り棒1本と非常通報装置のみ、妙に分厚く如何にも取り出せそうな取っ手が気になります…と思っていたら、後になってこの中には車椅子スロープ板が入っていることを知りました。4連の新宿方・6連の小田原方のみの設置とのことで、反対側の先頭車が気になる今日この頃。一方座席の方は車端部と同様の4人掛け、車椅子スペース側の袖仕切は1000形タイプです。

oer80-運転台

運転台はワンハンドル化、モニタも付いて新造車並みに改造されています。一方化粧板は緑系のまま、その色遣いに車齢を感じないでもありません。


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