山陽3200形|FTN trainseat.net

山陽3200形

写真: S3204

山陽3000系列は製造時期が約20年に亘る上、細かな差異も多く全貌を把握するのが中々難しいように感じますが、そんな中で今回はそれに拍車をかけている(?)3200形のご紹介です。元は1969年、先輩格2000系の3000系への編入に際し発生した主電動機を流用した新造車として登場しました。3連3編成が製造されましたが、姫路方先頭車のTcは3000系と同機能で番号も分けず続番としています。自分もいつだったか車番の並びで混乱したことがありました…
ところが20年が経過した1990年、新車5000系を作るのに3000系の主電動機を流用することになり、主電動機を取られた3000系2編成が2000系の廃車発生品を装備することで3200形に編入されました。1998年にも同様の編入があったため、現在は3連6編成の陣容となっています。全車とも製造時は非冷房でしたが1980年代に冷房化、改造時期の相違でパンタグラフの無い車両の冷房が集約分散式の車両と集中式の車両があります。
1995年の網干線ワンマン運転化に伴い対応改造を実施しており、現在は網干線を中心に本線の普通車にも充当されます。


S32-車内全景

車内全景です。3扉・ロングシートの基本構成は3000系列共通で(例外も若干ありますが)、その中でも比較的一般的な車内空間かと思われます。昼間なのに暗く見えてしまうのは暑さ対策でカーテン全閉、外からの光などの影響によるところが大きい…はずです。

S32-車端部

車端部です。妻窓は側窓と同じ高さの2段窓、貫通扉は狭幅で窓は少し小さめ。化粧板は元々クリーム色だったものだと思いますが、特に妻面についてはかなりくすんでしまっています。

S32-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。高運転台化に伴い運転台側が広げられたため、客室側に運転室が張り出す形になっています。座席は車掌台側にのみ設けられており、運転台側は立席スペースとしています。前面窓の位置が高いため仕切窓も高めに設置、座って前面展望を楽しむことは出来ません。

S32-床

床敷物は赤系、木目のような柄が入っています。

S32-天井

天井ですが、冷房化の時期が編成によって異なるため複数の仕様が存在します。写真は集中冷房を載せた車両で、全ての中間車と一部の先頭車が該当します。ラインデリアは無く、カバーの無い蛍光灯の内側に空調吹き出し口が設けられている格好です。

S32-扉

扉は化粧板の有無が編成ごとに異なっており、本形式を含む3000系2次車以降は無塗装が基本のようですが、取材した編成は下端を除く全面に化粧板を貼っていました。

S32-窓

窓は上段下降式、下段は固定されています。カーテンは巻き上げ式で4段階で調節可能です。

S32-8人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間の9人掛けです。背摺りを含めない座面奥行が480mmと深く、座面も低めで、神戸~姫路間の特急を念頭に置いた設計としています。現在は普通車での運用がほとんどで、長時間乗り通すことは滅多に無いと思いますが、ソファのような座り心地は健在です。

S32-5人掛けS32-5人掛け優先

車端部は6人掛けで、姫路方には優先席を設定しています。かつては奥の2人分のみが優先席で色が分けられていましたが、いつの間にか優先席が拡大されたようです。なお扉間・車端とも定員通り座ると1人当たり415mm前後になってしまい、いずれも今となっては窮屈な感が否めません。

S32-3人掛けS32-3人掛け優先

車掌台の後ろは3人掛け、ここは1人当たり幅が他より広めになっています。袖仕切り形状は製造時に一般的だったパイプの組み合わせですが、座面奥行が深いことも影響しているのか他ではあまり見かけない形状になっています。

S32-3人掛け優先2S32-車椅子スペース

一部編成には中間車に車椅子スペースが設けられており、当該箇所は座席が3人掛けとされています。袖仕切りは5000系や3000系リニューアル車でも用いられた台形のものですが、周りが従来と全く変わっていないのでどことなく違和感はあります。

S32-運転台

運転台です。網干線ワンマン化の際運転台側の前面窓は中桟が廃され1枚窓に変更されており、写真では遮るもの無く山陽そば飾磨店を見通しています。


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