東武鉄道 10030系(50番台)
1988年に登場した10030系は10000系をベースにビードプレス車体やボルスタレス台車の採用で近代的な外観となりましたが、更に1992年からは車内と冷房装置の仕様変更を行い車番も50番台に区分しています。基本的には10030系に準じた外観ながら、クーラーキセを一体型にした点が特徴です。2連・6連が各18編成、4連が11編成製造されましたが、本グループから電連付きの密着連結器を採用した関係で増解結を頻繁に行っていた伊勢崎線系に集中配置され、現在もほとんどが伊勢崎線・日光線で活躍しています。
そろそろリニューアルの順番が回ってきそうな雰囲気ではありますが、転用改造が必要な20000系との兼ね合いもあってか今(2018年夏)のところリニューアルを受けた車両は無いようです。
まずは車内全景から。10000系グループの中でも後期に製造された車両ではありますが、最初に登場した10000系の雰囲気を概ね踏襲しています。
車端部です。貫通路は東上線の地下鉄直通車9000系から狭幅とされ貫通扉も設けられていますが、基本的には開け放たれています。
乗務員室仕切です。運転台側に窓が無いのは東武車の標準、仕切戸の上には何かの箱が設けられており印象的な文言の「乗務員室立入り禁止」ステッカーを貼っています。窓下の握り棒が少し低いような気はします。
扉は10000系列の製造途上で化粧板張りに変更され、以後の各形式にも続いています。
天井です。中央にラインデリア、両脇に冷房吹出口、外側に照明と吊革があります。吊革は増備途上で丸から三角に変更されたようです。
床は茶系の単色。
窓は扉間2枚・車端1枚の一段下降式、カーテンは巻き上げ式で4段階で調節可能です。荷棚は網棚ですがこれは本形式まで、次の30000系からはパイプ式に変更されています。
座席を見ていきましょう、まずは扉間の7人掛けから。モケットは緑色、背摺りには着席位置を示すプリントがなされています。袖仕切は枕木方向のパイプを2本設けた特徴的な形状ですが、当時流行の袖板+パイプの袖板部をパイプに置き換えたような格好と考えると良いでしょうか。1人当たり幅は意外に広く450mm、この時期の車両にしては珍しい気がします。
車端部は3人掛け。右写真は優先席で青灰系のモケットを用いていますが、こちらは着席位置のプリントがありません。座面は十分な沈み込みがあり、ゆとりのある幅や奥行とともに比較的良好な掛け心地です。
50番台に区分されたグループには車椅子スペースを設置しています。窓下は側面にも張り出しており、上面に握り棒を設けています。車椅子スペースらしい設備は非常通報装置くらいでしょうか。