東急8500系|FTN trainseat.net

東急8500系

写真: toq8528

20m級のステンレスカー8000系の増備を続けていた東急ですが、1975年には新玉川線用として営団半蔵門線への直通運転を念頭に置いた8500系を導入しました。当初は4連で登場、以後沿線の発展で増備を重ね、最終的には10連40編成の陣容になり田園都市線の顔となりました。15年に亘る増備、1997年から2001年にかけて実施した更新、組替え、新車投入による廃車が始まったかと思えば中断されるなど、正直何が何やら。
気がつけば関東エリアを見回しても古参の部類になった本形式も、2018年から投入されている2020系によって今度こそ置き換えが進むようです。現在は田園都市線~半蔵門線の先、東武伊勢崎線にも顔を見せています。また5連4編成が大井町線で運用されています。


toq8500B-車内全景toq8500C-車内全景

まずは車内全景、左は13次車以降、右は車体更新を施工した車両の様子です。車体更新の対象が1980年度製造車までということで編成全車を更新したものは無く、確実に両方が混在している模様。座席モケットや床敷物の配色は概ね共通ですが、車体更新車は化粧板が白系になり袖仕切やスタンションポールも目立ちます。

toq8500B-車端部toq8500B-車端部2

車端部です。妻窓付きの広幅貫通路は8000系列までの標準でしたが、今となっては時代を感じます。10両総貫通ともなると風の通り抜けも酷いでしょうから、貫通扉を設けた箇所もあります。

toq8500C-乗務員室仕切

乗務員室との仕切りです。装備機器の兼ね合いか運転台側に窓は無く、車掌台側の窓は割と高めな印象。中央部は仕切戸のみならず周囲まで金属地剥き出しのため目立っており、初期~中期の編成には扉の上にローレル賞の記念プレートが設置されています。

toq8500C-扉

扉は無塗装、こちらも鴨居部まで金属地剥き出しです。扉横のスペースはあまりありませんが、座席を目いっぱい設置していた初期の車両に比べるとまだ余裕がある方。戸袋側に縦に貼られたステッカー、貼り付け位置の割にはやけにカラフルで広告なのかと思いましたが実際は戸袋への引き込まれを注意する内容。同じ内容ではありますが高さによって表記が異なるのが特徴で、窓より下の低い部分には子供向けで漢字を使わない表記を行うなど手の込んだものとなっています。

toq8500-天井

天井です。扇風機しか写っていませんが勿論冷房車、但しダクトの無い純粋な分散冷房を採用しており近年の車両では中々見られない丸みが特徴です。吊革は混雑路線だけあり大量に設けられています。

toq8500B-床

床は茶系の単色、東急の標準です。

toq8500-窓toq8500C-窓

窓は一段下降式、ほぼ正方形に近い形状です。カーテンは巻き上げ式で半開・全閉の2段階で調節可能。荷棚は網棚で、東急では新5000系列になっても頑なに採用を続けていました。スタンションポールが妙な曲がり方をしていますが、従来からの荷棚に延ばそうとするとこんな形になってしまうのでしょうか。正直言って上部は握り辛そうですが…

toq8500B-7人掛け

座席を見ていきましょう、まずは扉間です。初期車は1人でも多く座れるよう座席を扉脇ギリギリまで伸ばした8人掛けとしていましたが、どうやっても20m級4扉では無理があったようで一般的な7人掛けに落ち着いています。1人当たり幅は430mmと製造当時としては一般的な数値。オレンジと茶系のモケットは8090系以降従来車にも波及した、新3000系以前の東急の標準です。

toq8500C-7人掛け

こちらは更新車の扉間7人掛け、座席をバケット式に改めています。また袖仕切はパイプと板を組み合わせた9000系類似の形状、座席間にスタンションポールも追加しましたが8000系とは異なり中仕切はありません。扉と座席の間の幅を見る限り、1人あたり幅は前掲の座席と同様430mm程度と思われます。

toq8500B-3人掛けtoq8500B-3人掛け2

車端部は3人掛け、モケットは扉間と同様オレンジ・茶の2種類があります。袖仕切は肘掛の機能こそないものの立客との分離を考慮した形状、妻面にモケットを貼っている点も見逃せません。一見柔らかそうに見える座布団ではありますが、期待すると痛い目…と言うのは大袈裟ですがそれに近い目に遭います。

toq8500C-3人掛け1toq8500C-3人掛け優先

こちらは更新車の3人掛け。どうやら現在は全ての車端部が優先席のようですが、中でも恐らく昔から優先席だったと思われる箇所にはシルバーシートのピクトグラムを散りばめた青系モケットを用いています。個人的にはこの優先席モケットも東急電車のイメージの一つですが、これも消えゆく運命でしょう。なお妻面のモケット張りは車体更新の際に止めてしまったようで…

toq8500C-車椅子スペース

更新車には3・9号車に車椅子スペースを設置。手摺りがあるのみで、どちらかと言うと深刻な混雑に対応するための立席スペースなのでは、という感も無いではありません。


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