とさでん交通600形|FTN trainseat.net

とさでん交通600形

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1957年に登場した土佐電気鉄道600形は、都電7000形をモデルにした前面2枚窓と前中扉の採用が特徴的な車両です。6年で31両が製造された同社の最大勢力ですが、増備期間の割に台車や窓を筆頭に個体差が結構大きくなかなか全容を掴めない形式でもあります。外観写真として載せた2両の写真でも、塗装の変更以外の相違点がいくつも見つかるはずです。
初期車は製造から60年近く経過し、2015年には2両が廃車されていますが、さらに古いうえに大半が非冷房の200形が残っていますのでまだ当分の間は主力として活躍することとなるでしょう。
※なお外観写真と車内の写真は別の車両です


tosa60-車内全景B

車内全景です。200形が前後扉だったのに対し、本形式からは前中扉を採用したほか車体長も1.5mほど伸びています。元々は200形同様に赤系のモケットでレトロな雰囲気も漂っていましたが、とさでん交通発足と共に登場した新塗装車では塗装変更に合わせ座席モケットを張り替えています。モケットを変えただけではありますが、床の色が割と明るめなことに加え座席モケット色と内張りの色が似ていることもあってか意外と若返りを果たせているような印象はあります。
なお今回ご紹介するモケットが変更された車内は前期車の616号の様子です。普段だったら車号まで紹介することはありませんが、こうやって書くのには訳があり…

tosa60-車端部Btosa60-車端部A

車端部です。中央の仕切には情報案内装置・広告・路線図が設置されています。その仕切、よく見ると微妙に左側に寄っているのですが、これは前面窓が2枚であることと関係しているようです。
ここからモケットを変えていない車両(後期車・623号)の写真も織り交ぜご紹介していきます。写真は基本的に左が前期車(616号)、右が後期車(623号)です。冒頭にも記した通りこの形式は細かな差異が多く、自分のようなただの旅行者ではその差異が果たして個体差なのか製造時期によるものなのか判断できない部分があるのです。因みに623号はラッピング車、右の窓に何かが貼ってありますがこれは「ばいきんまん」です。

tosa60-LED

仕切にはバス用と思しきLED式の情報案内装置を設置。ご覧のような情報案内のみならず、運賃表の機能もあります。その上にあるのは「次とまります」の電照表示です。

tosa60-車端部モニタ

一部車両(だと思いますが…)には広告表示用のモニタが設置されています。

tosa60-扉tosa60-扉(降車)

扉は中扉(入口)が900mm弱の片引戸、前扉(出口)は200形と同じく車端側に開く2枚引き戸です。ステップには注意喚起のため黄色いパーツを取り付けています。

tosa60-扉(前)付近

新塗装車ではステップ全体を黄色く塗装しています。左端に写り込んでいる傘は車内備え付けの無料貸傘で、各車1本設置されているようです。

tosa60-天井

天井です。冷房はもちろん改造での設置ですが、風洞の張り出しが小さいため圧迫感はありません。両脇に並ぶ蛍光灯はカバー無し、それどころか台座から2本の「脚」が生えてそこに設置されているのが特徴です。

tosa60-床

床は木製ですが上から何かを塗ったのか貼ったのか、明るい茶色が特徴です。

tosa60-窓

窓は二段窓とバス窓の2種類、622号以降の後期車は全てバス窓ですが前期車は車両によって2種類の窓が混在しています。写真は二段窓の様子で下段上昇式、窓枠には後者ボタンが設置されています。カーテンは巻き上げ式、3段階で調整可能です。なお中扉~車端の座席部のみ網棚があり、吊革も先端のパイプから吊っています。

tosa60-10人掛け優先Btosa60-10人掛け

座席は扉間と車端の2種類、まずは扉間の10人掛けです。左(616号)では座面・背摺りとも2分割されている一方、右(623号)では一体となっています。袖仕切はパイプ製ですが、左(616号)の方は樹脂系の素材で覆っています。ただ何れも製造時期による相違なのか確証が無く、もう数両観察してみないことには…というところです。さて次に高知に行くことが出来るのはいつになるでしょう…

背摺りは薄め、座面も浅めなのは車体幅の狭い路面電車では致し方ないでしょう、因みに形式図には奥行420mmとありました。優先席は背摺りにカバーを掛けており、また窓にステッカーを貼り付けることで区別。

tosa60-5人掛けBtosa60-5人掛けA

車端部は5人掛け、扉間・車端とも1人当たり幅は440mm台です。こちらも製造時期による差異なのか何なのか、袖仕切の形状が異なっています。左(616号)は木製、右(623号)はパイプの間にメッシュ加工を施した金属板を取付けていますが、それ以前に扉間とまるで形状が異なっています。手前の空間は車掌台跡で、現在こそ改造されていますがかつてはこの部分だけ窓形状が異なっていたようです。

tosa60-運転台

運転台です。2枚窓が特徴的な本形式、中央運転台が主流の路面電車にあってマスコンやブレーキハンドルは左側に設置されています。

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