5000系

5000系は1968年に登場した神戸線用の電車である。同線は前年に架線電圧を1500Vに昇圧しているため、1500V専用車とされた。

 

【車体・車内・主要機器】

 基本的には3000系をベースとしており外観に大きな相違はないが、車内では乗務員室の拡大と機器配置が京都線3300系と同様に変更されている。

 主要機器は1500V専用車であるため変更があり、制御方式は抵抗制御で1C8M方式を採用。梅田方先頭となる5000形(M'c)に電動発電機や電動空気圧縮機を、5500形(M)または5040形(Mc)に制御装置と集電装置を搭載する。実際にはM’c - M - Tcの3連あるいは中間にTを加えた4連と、M'c - Mcの2連を適宜組み合わせ2連から8連を構成した。
主電動機は3000系同様出力170kWの直流直巻電動機だが、本形式は1500V専用のため一部設計変更し簡素化している。制動装置は発電制動を併用する電磁直通ブレーキである。台車は京都線3300系に続き空気バネのFS-369(M車)/FS-069(T車)を採用している。

 

【増備と5200系の登場、冷房化】

1968年から69年までに3連×2の編成が7組建造されたほか、1969年には山陽電鉄直通列車の増結用に2連を2編成、また5012Fに付随車を加え7連として宝塚線で使用するため5550形5563が建造されたが、本形式での宝塚線での使用には問題があったようで計画は取り止めとなり、付随車の新造はこの1両きりとなり同編成も1971年には神戸線に復帰した。

 更なる増備車では冷房を搭載することとなり、形式を分け5200系として登場した。6両固定編成に対応する新車種の存在など冷房搭載以外の相違点もあったが、性能面では共通であることから、1970年代には本形式との混結も行われた(初期には本形式非冷房車との混結編成もあった)。山陽電鉄直通に絡む増解結運用と宝塚線用として建造した付随車の存在、更に5200系の建造に絡んで1970年~翌年にかけては組替が相次いだが、1977年までは一部編成が5200系と共に増解結運用に絡む運用に充当されていた。

 本形式の冷房化は1973年から翌年にかけ実施、5200系での実績と2800系の改造での経験から8000kcal/hの物を4台搭載、電動発電機も交換した。天井も新造車と同じ平天井としてすっきりした見付となっている。

 

【8連固定編成化と表示幕設置改造】

 増解結運用は1976年に登場した6000系に置き換えられることとなり、本形式の同運用に絡んでいた編成は2021系の空気バネ台車装備車を組込み4M4Tの8連とされた。2021系は非冷房であったため3000系等と同様の手法で冷房化、また先頭車は乗務員室撤去も実施している。後に6連で残っていた編成も8連化されたが、こちらは2000系や京都線2800系の付随車を組み込んでいる。本形式唯一の付随車である5563はこの時の組替で5200系の編成に組み込まれている。
 1984年からは電動の種別・行先表示幕設置工事を開始したが、先頭車前面への表示幕設置は当時先頭に出ていた車両と伊丹線予備の5030に留まっている。同時に車内外の補修も実施したが、2800系は対象外とされ組替を実施している。

 

【リニューアル工事から現在】

 建造から30年が経過した2001年、今後も長期の使用が予測されたため大規模なリニューアル工事を行うこととなった。外観では前面デザインの変更、スカートの設置、屋根肩部のアイボリー塗装追加、側扉窓の大型化、パンタグラフのシングルアーム化(一部編成は以前から実施)など、車内では座席袖仕切の設置や化粧板・床材の変更、LED式情報案内表示機の設置、パワーウインドウの設置などが行われている。(車内の様子はこちらも参照願いたい) 併せて中間封じ込めとなっていた先頭車は乗務員室を撤去し改番の上中間車化されたほか、本形式より古い2021系等の中間付随車は廃車され同数の5100系を編入する形で補充している。
 なお改造メニューは編成によって差があり、特に1番手の5010Fと2番手の5008Fは外観でも後の編成との形態差が目立つ。まず前面車番は最初に施工された5010Fは前面の車番を従来同様貫通扉への表記としたが、2番手となった5008Fからは8000・8300系中期車と同様車掌台側窓下に変更。また前面ステップは1番手・2番手・それ以降で厚みが徐々に薄くなっている。更に中間車化された先頭車についても、5010Fと5008Fは従来の他形式と同様先頭形状を残したままの中間車化であった(この両編成も車内側の処理が異なる)のに対し、それ以降の編成では当該箇所を造り直し完全な中間車としている。

 長らく神戸線の各種別で幅広く活躍していたが、昼間の特急が115km/h運転となった2006年の改正からは昼間の特急運用がなくなり普通運用が主体となった。2016年からは今津北線の3000・3100系を置き換えるため順次6連化されており、2019年までに5000F以外の7編成が6連化された(脱車された付随車は廃車)。8連のまま残った5000Fは2020年に廃車となったほか、2023年度には6連の5012Fも廃車され現在は今津北線で6連6編成が運用されている。

※編成番号に下線がある編成は1両ごとの写真と主なデータを掲載しています

6両編成(今津北線で運用)

5001F

5001F

5002F

5002F

5004F

5004F

5006F

5006F

5008F

5008F

5010F

5010F

5012F

 5012F 

8両編成

5000F

 5000F 

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最終更新:2024/3/17

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