8300系は、1989年に登場した京都線向けの車両である。神宝線8000系と同様、阪急の創業80周年を記念し当時の最新技術を取り入れた車両として登場した。
【車体・車内】
7300系をベースにしたアルミ製の3扉・ロングシート車であるが、車体幅は京都線標準の2800mmに戻した。前面形状は額縁式とし窓も上方に拡大、前面幌枠の意匠や屋根肩部のクリーム色は特急車6300系に続いての採用となった。前面窓下には飾り帯(反射材)を設けていたが比較的早期に取り止められている。車内は化粧板を濃い色としたほか全車に車椅子スペースを設置、側窓は一部を固定式とする一方開閉可能な窓は空気式のパワーウィンドウとした。8000系の一部編成に見られるクロスシート車は存在しない。
額縁型の前面形状は列車風が大きいという問題が発生したため、1993年の増備車からは前面を「く」の字に折り曲げた形状を採用した。前面ガラスは額縁型と同一品を使用、灯具の位置関係も不変ながら方向幕の大型化や前面車番の移設もあって印象が異なっている。1994年度最終増備の8304Fからは前面ガラスを下方に拡大、車番は窓内側に変更となり電照式としている。最終増備の8315Fはパンタグラフをシングルアーム式に変更したほか、車内では情報案内装置の新設や日除けのフリーストップカーテン化がなされている。
なお額縁型の前面形状の問題に対応するため、1996年度にC#8400とC#8301の額縁下部を埋め込む改造を行っている。結果は思わしくなかったようで他車への波及は無く、2007年以降神戸線の8000系に対して行われている額縁改造は2022年度開始のリニューアル工事まで実施されなかった。
【主要機器】
主電動機は出力170kWの誘導電動機、制御装置はGTO素子を用いたVVVFインバーター(1C4M)を採用しているが、従来からの慣例に則り神宝線8000系が東芝製だったところ本形式では東洋電機製造製を用いている。ブレーキは電気指令式で7300系との併結が可能であり、両形式併結で8連扱いとし運行している編成もある。SIV・CPは電動車に搭載するスペースが無いため付随車・制御車に搭載、制御車(8450形)のCPは単独走行時の故障を懸念し直流駆動としている。台車は従来通りFS369A/069Aとしたが、1993年度最終増備車からはボルスタレス台車のSS-139/039を採用する。
当初から堺筋線への入線を想定しており、1992年の8312F以降は自動放送装置を設置し従来車にも波及した。但し8300F・8301Fに限っては現在に至るまで設置されず堺筋線内でも肉声放送を行う。
【増備と変遷】
1989年度に8連2編成が登場、翌年以降は2連や6連の編成が(必ずしも同時とは限らず)増備され堺筋線運用にも進出した。8302F・8303Fは当初7連で登場し翌年に8連化、8333F・8314Fは当初8453・8314抜きの変則6連で登場している。建造時に7・8連の先頭車は車番十位が「0」、6連は「1」、2連は「3」としていたが、組替で現在はその通りでない編成もある。
1995年までに8連5編成・6連6編成・2連4編成の計84両が建造されたが、2001年から2007年にかけては8連と6連の各1編成を組み替え7連2編成としていた時期もある。2連と6連は併結し平常時は8連として運用、6連の内2編成は7300系と併結して8両編成としている。
建造から25年程度が経過した2015年度から、主要機器の老朽化に対応するため制御装置・主電動機の交換が行われている。8300系は新1300系同様のIGBT素子を用いたVVVFインバーター(1C4M)と出力190kWの全閉内扇式誘導電動機を採用しており、省電力化と低騒音化が図られている。
2022年度からは上記に加え車内更新や情報案内装置の設置、神戸線8000系と同様の額縁低減改造、種別・行先表示機のLED化などを追加で実施している。2023年度施工の8301Fは前年末のダイヤ改正で10連運用が消滅したことを踏まえ、梅田方先頭車前面の電気連結器を撤去している。
現在は京都線の特急から堺筋線直通運用まで、幅広く運用されている。また6連は行楽シーズンの嵐山線直通列車にも充当される。
8両固定編成 |
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6両編成 |
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※通常は梅田方にC#7326×2を併結して運用 |
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※通常は梅田方にC#8330×2を併結して運用 |
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※通常は梅田方にC#7325×2を併結して運用 |
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※通常は梅田方にC#8331×2を併結して運用 |
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※通常は梅田方にC#8333×2を併結して運用 | |
2両編成 |
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※通常は京都方にC#8310×6を併結して運用 |
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※通常は京都方にC#8312×6を併結して運用 |
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※通常は京都方にC#8314×6を併結して運用 |
最終更新:2023/9/3