1000系

1000系は、2007年に登場した急行用車両である。近鉄奈良線への直通を考慮した設計が特徴である。

【車体・主要機器】
 本形式では各部が一新されており、従来の急行車とは異なる部分も少なくない。まず車体は9000系以来のステンレス製(先頭部は普通鋼製)で、同系の製造の経緯などを考慮すると阪神では初めて本格採用した格好となる。カラーリングは急行車の赤系を踏襲しつつ黄色に近いオレンジ色を採用、側面は帯を扉付近に縦に入れている点が特徴的である。なお前頭部はブラックフェイスとし、中央に扉を設けた配置は従来通りだが神戸方先頭車以外は他編成との併結を考慮した貫通路。ビードが無いことに加え、レーザー溶接を採用したため綺麗な仕上がりとなっているが、本形式を製造した近畿車輛のステンレス車体は戸袋部にレール方向の接合線が入ってしまうため、それを隠すように白帯が入れられている。側窓は扉間2枚・車端1枚とされ、前者の内片方は開閉可能(下降式)としている。
 車内はオールロングシートに戻り、座席は8000系8233F以降標準となっているバケットシートである。座席モケットや化粧板、床敷物は従来から変更されており、特に座席モケットに暖色系ではなく緑色を採用した点が特徴である。蛍光灯カバーは9300系製造からの間に難燃性基準が改められたこともあってか省略されている。乗務員室は搭載機器の増加に伴って従来車に比べ拡大されており、直後の座席は3人掛けから2人掛けに変更されている。

 編成は急行車標準の6連に加え、近鉄奈良線直通運用においては8連・10連の運用が生まれるため、増結用の2連も登場した。制御装置はIGBT-VVVFであるが、6連用が1C4M、2連用がSIVと一体化した1C2M×2群である。主電動機は三相誘導電動機で、出力を170kWとして従来車に比べ向上させている。なお6連・2連ともMT比は1:1となるような構成としており、阪神では久々にT車が登場している。制動装置は回生制動を併用する電気指令式だが、本形式では停止直前まで回生制動が働く純電気ブレーキとしている。台車は従来車のものを改良したボルスタレス式である。

【増備と変遷】

 2006年に6連1編成と2連2編成を製造したが、車籍編入は翌年夏まで持ち越され運用入りは製造から1年近く経った同年秋となった。2008年から本格的な増備が開始され、2009年春の阪神なんば線開通と近鉄奈良線直通開始までに6連10編成と2連9編成を用意した。一方本形式は老朽化した急行車の置き換えも進めており、2009年春までに7801形・8901形・2000系を置き換えていった。阪神なんば線開業後も2000系の置き換えのため2010年に1編成、2011年に2編成を増備している。

 短期集中的な増備であったため増備途上の変更点は少なく、車側灯の形状(1次車のみ異なる)や床敷物の色(3次車途上で変更)程度である。

 

【運用】
 前述の通り製造から運用入りまで1年近く掛かったが、阪神なんば線開業までは6連が他の急行車と同様に、2連が2編成併結で西大阪線で運用された。加えて2008年春からは近鉄での習熟運転に数編成が用いられた。2009年3月20日の阪神なんば線開業後は同線~近鉄奈良線の直通運用が主体となり、快速急行は三宮~近鉄奈良間、普通・区間準急は尼崎~近鉄奈良間で、阪神車では直通運転に対応する改造を受けた9000系と共に運用されている。快速急行では朝夕に増結車を用いた8連や10連の運用も存在するが、阪神線内を8連・10連で走行するのは阪神なんば線内のみとなる。また数は少ないながら梅田や山陽電鉄に顔を出す運用がある他、臨時列車や車両不足などの際には増結車3編成を組み合わせて6連を仕立てる場合もある。
現在は6連13編成と2連9編成が在籍し、車両数では8000系に次ぐ勢力となっている。

 

6連
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最終更新:2024/1/16

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