5500系は、1995年に登場した普通用車両(ジェットカー)である。老朽化が進んだ普通用車両の置き換えと、登場年の阪神・淡路大震災で被災し廃車となった車両の補充を目的に製造された。
【車体】
前年まで製造されていた8000系後期車と同じ貫通型の先頭、3扉・ロングシートの構成である。ただし車体断面の変更や前面窓の形状変更、尾灯・標識灯の形状変更などにより、後述する塗装変更もあってその印象は大きく異なる。塗装は従来の普通用車両で用いられてきた青系の色を使いつつ、上半分をアレグロブルー、下半分をシルキーグレイのツートンとした全く新しい塗装となったほか、前面窓部の柱は黒く塗られている。車内は8000系後期車に準じているが、座席は青色系に変更され、扉上にはLEDとマップ式の情報案内装置が設置されている。
【主要機器】
制御装置に阪神で初めてVVVFインバータを採用したほか、主電動機は従来より出力の大きいものを使用。ブレーキは電気指令式。冷房は引き続き集約分散式だが、従来より大型のものを1両当たり2基搭載とした。台車は阪神で初めてボルスタレス台車(SS-144)を採用した。車輪径はこれまでの普通用車両は762mmだったが、この形式からは急行用車両と同じ860mmとしている。運転台は従来と同じツーハンドルだが、初めてデスクタイプを採用している。
【増備と変遷】
1995年秋、まず被災廃車の代替分として4連2編成が導入された。1997年にはダイヤパターンの変更で普通電車が増発されるため4連3編成を増備。本来の目的であった老朽化した車両の置き換えは1998年から2000年にかけての4連4編成で行った。
【リニューアル工事】
製造から20年以上が経過した2017年からはリニューアル工事(公式には「リノベーション」と呼称)が行われている。半自動扉ボタンの設置、種別・行先表示のLED化、塗装変更、情報案内装置の液晶化など2015年登場の5700系に各部仕様を近づける内容となっている。走行機器に大きな変更は無いもののオーバーホールを実施し継続使用に備えている。なお塗装はこれまでの青胴車の中でもっとも青色の比率が大きく、大変目立つものとなっている。2022年までに全編成に対し施工されている。
【武庫川線用改造】
2020年には老朽化した武庫川線の赤胴車(7861形・7890形)を置き換えるため、リニューアルと共に中間車奇数番号の神戸方・偶数番号の大阪方に乗務員室を新設し2連化した(車番は原番号+300し5901形を名乗る)。基本的には従来からの先頭部に準じているが、貫通扉は窓を下方に大きく拡大している点が特徴である。また2編成併結して4両編成での運転にも対応するため幌やジャンパ栓の設置に対応したほか、乗務員室は貫通時に備え運転台・車掌台をそれぞれ仕切ることが可能な構造とした。沿線が阪神甲子園球場・鳴尾浜球場が近接することから野球をモチーフとした塗装としており、いずれも従来の阪神電車には無い目立つものとなっている。
主要機器はリニューアル車と同等で、加減速性能を含め特段変化は無い。パンタグラフは離線対策として1基増設するとともに既存の1基含めシングルアーム化している。車内では乗務員室直後の座席を撤去しフリースペースとしたほか、各編成のイメージカラーに合わせた内装材を使用している。またワンマン対応設備として扉開閉制御装置や放送装置の更新を実施している。
【現状】
4連7編成が本線の普通電車として、2連4編成が武庫川線でそれぞれ運用される。4連は西大阪線での運用も存在したが、近鉄奈良線との相互直通運転が始まる前に撤退している。
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最終更新:2023/2/25