旧3000系(8000系30番台)

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現在の8531Fの元である旧3000系は、1971年に登場した特急車である。同年のダイヤ改正で20分ヘッドから15分ヘッドに増強された特急の運用増に対応するため、また冷房搭載によるサービス向上などを目的に登場した。

【車体・車内】
1900系に引き続き2扉・クロスシートの配置であるが、1900系までの特急車と異なり電動車の車端部もクロスシート化しロングシートが廃されている。車体は前面にパノラミックウインドウを採用、電照式となった特急マークが特徴である。座席は妻面すぐを除いて転換式とし、自動転換機構を採用して終端駅での一斉転換を実施する。テレビカーは1900系時代にテレビを放映しない時間を設けていた時期もあるが本形式でも継承され(3500形に設置)、初めてカラーテレビを採用した。
また従来乗客の多寡に応じて起終点駅で補助座席(パイプ椅子)の積み込みを実施していたが、3次車から扉付近に跳ね上げ式の補助座席を設置。従来車も後に改造で設置されている。

【主要機器】
制御装置は定速制御付きの界磁位相制御を採用したが、当初置き換え過渡期には1900系との併結も想定されたためブレーキは当初自動空気ブレーキを採用した。なお実際に1900系との併結は一度も行われず、2次車からは電気指令式ブレーキに変更し1次車も後に変更された。これに関連して連結器も当初は密着自動連結器を装備していたが、増解結を容易にするため電気連結器付きの密着連結器に変更している。冷房装置は5000系と同様の集約分散式で、1両に4基搭載している。

【運用の変遷(改修工事まで)】
 1973年までに3連14編成、4連4編成が製造され1900系を置き換えた。以後入出庫を除き特急運用のみに充当され、1989年の鴨東線開業時には6連で残っていた編成に8000系中間車を組み込み7連化、一部先頭車は中間車化され8000系と同様にカード式公衆電話も設置された。なおこれに前後し深夜帯に残っていた分割運用が廃止され、不要となった前面幌撤去と連結器の変更(密着自動連結器に交換)を実施した。
しかし1990年から8000系の増備が開始されると本形式の廃車が開始され、1993年には7連1編成と予備2両のみまで減少。なお一部先頭車は車体のみ富山地方鉄道(10030形)や大井川鉄道に譲渡されている。

【改修工事・8連化・8000系編入から廃車まで】
 残る1編成は特急車の予備を確保するため今後も活躍を続けることが決定、これに伴い1995年には8000系と極力設備を統一すべく制御装置や運転台、座席交換、テレビ移設(8000系と同じ号車となるC#3755に設置)、車椅子スペース設置、など改修工事を実施した。更に「3000系ならではの魅力を追加するため」として3658号を自社にて2階建て化する大改造を実施し、3855号に改番した。なお改修後の車内についてはこちらを、2階建て車についてはこちらのページをそれぞれ参照願いたい。加えて1998年には予備として確保していた1両を組み込み8両化している。
 2008年の中之島線開業に伴い設定される快速急行用の新車が本形式と同じ「3000系」を名乗ることが発表されたが、特急車3000系は機構上8000系と同等であったため8000系に編入、同年6月に8531Fとして再々デビューを果たした。一方で2009年春に発表された8000系のリニューアル計画に当編成は含まれず、2012年には翌年で引退になることが発表され、各種イベントが行われた。2012年秋には前面を登場時に近づける工事を行っている。2013年3月上旬で通常運用からは引退し、その後3月の週末に臨時快速特急としてダブルデッカー車を抜いた7両で運転された。
なお先頭車C#8531は車内外を旧3000系時代の姿に復元して2014年春から「KUZUHA MALL」に保存されたほか、2階建て車C#8831は富山地方鉄道に譲渡され「ダブルデッカーエキスプレス」として京阪特急色を復元した編成の中間に連結し運転される。

編成表
(←出町柳 淀屋橋→)

3505・3105・3106・3608・3606・3506・3108・3006(原番号)
3505 - 3105 - 3205 - 3855 - 3755 - 3655 - 3155 - 3055(8連化時)
8531 - 8131 - 8231 - 8831 - 8781 - 8681 - 8181 - 8081(改番後)

車両の動き

1972年6月

製造

1973年11月

連結器交換(密着連結器化)、電気連結器設置、補助座席設置

1990年3月

C#3506乗務員室撤去、付随車化 車掌室部に公衆電話を設置

1995年12月

改修工事実施、C#3505・3105を除き改番
C#3608を2階建て化、C#3855に改番

1998年3月

C#3506旧乗務員室を撤去しMG撤去の上C#3655に改番、8連化

2008年6月

車番変更、8000系に編入

2012年9月下旬

登場時の前面を再現した「クラシックタイプ」運転開始

2013年4月

廃車(同年3月末に引退)
C#3505はKUZUHA MALLに保存、C#8831は富山地方鉄道に譲渡

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最終更新:2022/9/11

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