12410系

12410系は1980年に登場した特急用車両(いわゆる「サニーカー」の一族)で、国鉄の値上げで乗客が増加傾向にあった名阪ノンストップ特急用として3両編成で製造された。電算記号(編成番号)はNN1*

 

【車体と車内】
車体は鋼製で12400系とほぼ同等であるが、30000系と同様に前面貫通路上の屋根に縦方向の飾り帯が2本入ったほか、標識灯・尾灯および行先表示機の形状が変更されている。また3両編成となるため便洗面所の位置を制御車・付随車から電動車に、配置は12400系に対し男性用小便器を無くし和式便所と洗面所の組み合わせとした。後年登場したサ12560形は従来付随車に設けていた便洗面所等の設備が既に他車にあることから、デッキ以外は全て座席で定員72名を誇る。

【機器類】
 抵抗制御で180kW級主電動機を搭載する基本構成は12400系と同様であるが、30000系と同様補助電源装置にブラシレスMGを、電動空気圧縮機は大容量のものを搭載した。また台車も30000系と同じKD-83(M車)・KD-83A(T車)を履く。空調装置は屋根上に冷房装置6基とロスナイ2基を搭載するのが標準であるが、後年登場したサ12560形は床下の搭載機器が特段無いことから重心が上がることが懸念されたため、屋根上の冷房装置を2基に削減し残り4基分の能力を床下に設けた冷房装置(30000系中間車と同一品)にて確保している。このため床下はダクトが非常に目立っているほか、窓柱に風洞を通したため他車に比べ厚みが増している。

 集電装置は12400系では電動車に菱形のものを1両2基搭載としていたが、本形式では下枠交差式に変更の上従来通りの配置では電動車が連続する本形式では近接してしまうことから当初各車2位(名古屋方面)寄りに1基搭載とした。しかし3連で登場した編成の4連化に際しては電動車間に母線を引き通すことで1両1基搭載を維持、但しモ12560形の集電装置は1位(大阪方面)寄りに移設している。なお当初から4連の第5編成は従来形式と同様1両2基搭載で登場したが、3連の4連化に前後して同様の改造を実施し1両1基搭載に改めている。

【改造と車体更新】
 登場から20年程度が経過した2000年から翌年にかけ車体更新を実施、内装材の交換や座席モケットの張替え、号車表示機のLED化などが行われた。第5編成は同時に前面行先幕を赤地に白文字のものに交換した。その後2008年ごろに転落防止幌の設置、第5編成を除く各編成に対し前面行先表示機のLED化を実施している。

 製造から35年程度が経過した2015年から2017年にかけ2度目の車体更新を実施、ク12510形への喫煙ルーム設置と再度の内装材交換などが行われている。一部編成は座席モケットが青系になり印象が変化している。2016年度から汎用特急車の塗装変更が開始されており、一部は車体更新と同時に変更されている。

【運用】

1980年に3連4編成が登場、名阪ノンストップ特急に使用された。翌年には1編成が増備されたがこちらは4両編成で、1983年には3連で製造された編成に対しても中間車を挿入し全編成が4連化されている。1988年からは120km/h運転に対応しパンタグラフやブレーキ等の改造を実施した。
現在は4編成が東花園区に、1編成(第5編成)が冨吉区に所属し標準軌各線の特急で活躍している。

 

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▲新塗装 ▼旧塗装
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▲新塗装 ▼旧塗装
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▲新塗装 ▼旧塗装
NN15(12415)

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最終更新:2022/11/26

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