9020系は、2000年に登場した2両編成を組む一般型車両である。電算記号(編成番号)は奈良線用がEE2*、大阪線用がEW5*。
【車体と車内】
車体は前年登場の3220系に準じたアルミ製であるが、前面は中央貫通式として従来の一般車と同様に他編成との併結を可能にしている。塗装は従来車とは異なるブラウンと白のツートンの境界に黄色の帯を入れたものである。車内は3220系と同様に1人あたり幅を大きく取ったロングシートで、LED式の情報案内装置を扉上に千鳥配置している。
【主要機器】
制御装置はIGBT素子を用いたVVVFインバーター、編成によって三菱製と日立製があるが従来のVVVF車のようにメーカーによる形式の区分は無い。主電動機は出力185kWと従来のVVVF車に比べ若干出力を向上した誘導電動機を用いる。なお従来車と併結する場合は力行性能を従来車と合わせるよう調整される。
ブレーキ装置は電気指令式ながら、電磁直通ブレーキの従来車とも併結できるようブレーキ読み替え装置を搭載すると共に従来の直通空気管も編成中を引き通している。補助電源装置はSIVで、6両編成の3220系や5820系に比べ出力の低いものを搭載している。パンタグラフは製造時から編成によって下枠交差式とシングルアーム式が混在しており大半が前者を搭載していたが、現在は後者に統一される方向である(以下に示す写真で下枠交差式を搭載している車両も、現在変更されている場合がある)。台車は3220系と同じボルスタレス式であるが、大阪線系の1編成は制御車にディスクブレーキを装備したため車番が50番代に区分されている。
【増備と変遷・運用】
2008年までに奈良線系に19編成、大阪線系に1編成が投入された。2009年から開始された奈良線の阪神電鉄への直通運転に際しては、奈良線系で運用される全編成が直通運転に対応する改造を実施。実施済み車両は前面運転台下と側面乗務員室直後の戸袋部にロゴマークを貼り付けている。近年は行先表示機LEDの変更(オレンジ→白)や、前照灯のHID→LED化などが実施されている。
現在は奈良線を中心に京都線・橿原線・天理線でも運用される他、阪神電鉄には阪神なんば線および阪神本線(三宮~尼崎間)に乗り入れる。大阪線系の1編成は同線の2連の他形式と共に大阪線・山田線・鳥羽線で運用される。
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▲2008年~2009年 近鉄・阪神直通運転記念ラッピング |
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