700系|編成別写真集 -FUKUJU TRAIN NET-

700系

700系は、1997年に登場・1999年に営業運転を開始した新幹線電車である。東海道新幹線では第4世代の形式で、JR東海とJR西日本による共同開発を実施した点が特徴である。300系との共通運用を大前提としつつ、快適性の向上や環境への配慮、300系に比べ山陽区間での最高速度向上(270km/h→285km/h)などをコンセプトとして設計されている。
(※まず共通の仕様を紹介、その後各番代を紹介します 各番代の詳細はそれぞれのページでも紹介しています)

【車体・車内】
車体は300系に続きアルミ製で、幕板部が窓から屋根にかけ傾斜している点が特徴である。前面形状は座席配置を300系と全く同じにする必要性があったため500系のような長い前頭部にはできず、その中でも効果を得るべく「エアロストリーム」と呼ばれる形状を採用。量産先行車では8.5m、量産車では9.2mの前頭部は、その形状からファンからは「カモノハシ」と呼ばれ親しまれている。側面の行先表示機はJR東海製造車が幕であるのに対しJR西日本製造車は3色LED式、座席指定表示機もJR東海製造車の液晶式に対しJR西日本製造車はLED式としている。車内は照明を直接照明に変更して明るい車内を実現したほか、グリーン車は電球色としている。供食設備はワゴン販売主体とするため、300系の7・11号車に設けていたサービスコーナーは車販準備基地に変更、それを補う自動販売機を数か所設置している(2014年で営業終了)。デッキ部の公衆電話は仕切や扉を設けた「電話ボックス」としている。
増備途上の変更点としては先頭連結器カバーの形状変更(C19編成~・E16編成)やデッキ仕切部テーブルの大型化とコンセント設置(C25編成~)、客用扉の窓位置変更(C29編成~)などが挙げられる。2001年登場のB編成は全編成が連結器カバー変更後の形状であるほかデッキ仕切部の大型テーブルとコンセントを設置している一方、客用扉の窓位置変更はE編成共々最後まて行われなかった。

【主要機器】
4両1ユニットで主変換装置を1台搭載する[M1]、同じく2台搭載する[M2]、主変圧器を搭載する[M']、そして付随車[T]の組み合わせである。主回路システムは300系と同様VVVFインバーター制御であるが、主変換装置のスイッチング素子にはIGBTを採用して騒音低減などを図っている。主変圧装置はユニット数が減少したため1台当たりの容量を大幅に増大させているが、アルミコイルの採用で大幅な軽量化を実現しており質量は300系と同等である。なおこれら床下機器はJR東海製造車とJR西日本製造車で一部に相違があるほか、いずれも車体形状に合わせた点検蓋・カバーで覆い車体下側の気流に考慮している。集電装置はシングルアーム式パンタグラフで、パンタカバーと共に騒音の低減を強く意識した形状になっている。屋根上の特高圧引通し線はユニット間を除き直ジョイントでの接続としている。
台車はボルスタレス式で、軸箱支持方式はJR東海製造車が300系ベースのウイングバネ式、JR西日本製造車が500系ベースの軸梁式である。各車両間には乗り心地に配慮して500系に続き車体間ダンパを設置している。

 

0・3000番代
C50B15

JR東海(一部JR西日本に譲渡)C編成

JR西日本B編成

東海道・山陽新幹線用は1997年に先行量産車9000番代が、1999年にJR東海保有の0番代(C編成)が登場したほか、2001年には一部仕様を変更したJR西日本保有の3000番代(B編成)が登場した。いずれも自社保有の100系を置き換えるべく登場したが、置き換え終了後も引き続き増備が行われている。

塗装は300系に準じた白地に腰板の青帯であるが、太帯と細帯の位置を逆転させている。一部の便洗面所等窓が無い箇所にはロゴマークが貼ったほか、3000番代は先頭の乗務員室扉脇に「JR700」の表記を加えている。車内の座席配列は普通車が5列、グリーン車が4列であり、各車の座席配置が300系と全く同じになるようにした。配色や座席は普通車・グリーン車ともC編成とB編成で異なっており、特にB編成の普通車は500系・700系7000番代と同等品を用いている。

 

C編成は量産先行車が1997年に登場、2年間の試験走行を経て1999年より量産車の製造を開始。同年5月に「のぞみ」中心で運用入りするとまず0系置換用に11編成が製造、その後は100系の置き換えも兼ねて概ね月1編成ペースで製造され、2003年度には100系の置き換えが完了。その後も増備が続き、C編成は最終的に59編成が製造された。
一方B編成は2001年に製造を開始、2006年までに15編成が製造された。当初は100系の「グランドひかり」置換えの意味合いもあったためか「ひかり」運用が中心であったが、2003年のダイヤ改正以降は「のぞみ」中心の運用となった。2011年度にはJR西日本の300系3000番代の廃車に伴い、JR東海のC編成(C11〜C18)がJR西日本に譲渡された。変更点はJRマークの色と車内チャイムなど僅かで、B編成と共通で運用された。

2003年以降「のぞみ」中心のダイヤになるとC編成・B編成とも「のぞみ」を中心に活躍したが、2007年のN700系登場後はまず山陽新幹線直通「のぞみ」から撤退、次いで東海道新幹線「のぞみ」の定期列車からも撤退し東海道新幹線「ひかり」「こだま」中心の運用になった。但し臨時「のぞみ」には最後まで充当されており、時刻表にも表記がされていたことから判別が可能であった。本格的な廃車はC編成が2013年から、B編成は2017年から、N700A(1000・4000番代)に置き換えられる形で行われている(C編成は2011年廃車が1編成のみ存在)。2020年3月を以てC編成は引退、B編成は1編成のみ山陽新幹線の波動用として残存したが2020年度中に廃車されている。

 

7000番代「Rail Star」

E6

JR西日本E編成

JR西日本は0系「ウエストひかり」を置き換えるべく、2000年に8両編成のE編成を登場させた。塗装は灰色地に窓周り黒・窓下黄色帯と500系に通ずるもの、車内は自由席の1~3号車は0番代と同様5列配置(但し座席は500系と同等)であるのに対し、指定席の4~8号車は4列でシートピッチを除けばグリーン車並みの「サルーンシート」とした。更に0番代に先駆けデッキ仕切部のテーブルを大型化しコンセントを設けたほか、8号車には指定席料金で使用可能な個室も設けるなど東海道直通車との差別化を図っている。

2000年から翌年にかけ15編成が製造。0系時代に比べ大幅に向上した速達性や快適性のほか、時刻表や駅でも「ひかりRail Star」として案内されることから知名度も高まって京阪神対福岡間の輸送シェアを航空機から奪還するのに一役買っている。2006年に1編成が増備され16編成の陣容となったが、2011年の九州新幹線開通に伴い運行ダイヤの多くを新設の直通列車「さくら」に譲り渡したため本形式は尚も100系が活躍していた「こだま」運用に順次転用。2012年以降「ひかりRail Star」運用は朝晩の数列車のみとなり、「こだま」運用では個室も閉鎖扱いとなった。2018年に姫路~博多間で臨時「ひかりRail Star」が設定されたり、2020年からは一部「こだま」や博多南線列車で個室の利用が可能になるなど小さな話題もあるが、16両編成の全廃とは対照的に現在のところ廃車なく「こだま」を中心に運用されている。


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最終更新:2021/7/23

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