デ9000形は、2009年に登場した富山市内線用の車両である。富山地方鉄道では初となる超低床車で、同年開通の富山都心線用として登場した。
車両は岡山電軌9200形以降各地で導入されている、新潟トランシスがアドトランツ(後にボンバルディア)からのライセンス契約で製造した「インチェントロ」の車体とブレーメン形の足回りを組み合わせた2連接車である。特に本形式は将来的に富山ライトレールへの直通が検討されていること、また車両の購入は富山市が行ったこともあり、同線のTLR0600形と極力仕様を統一している。車体は前面が大型の曲面ガラスとFRPを用いた構成、側面には各車体片側1か所ずつ扉(プラグドア)を設置、行先表示器にはフルカラーLEDを採用している。塗装は1両ずつ異なり、デ9001は白、デ9002は銀、デ9003は黒である。車内はクロスシート主体で、扉付近にのみロングシートを設置している。なお床面高さは出入口付近が300mm、通路部は360mm、通路はもっとも狭い部分で660mmとしている。
主要機器は制御装置がIGBT素子のVVVFインバーター、主電動機は誘導電動機、ブレーキは回生・発電併用の電気指令式で、いずれも三菱電機製である。空調装置は各車体に1台搭載している。台車とパンタグラフはボンバルディア製、このうち台車はボルスタレス台車で、車輪には輪軸の無い弾性車輪を用いている。
3両が製造され、長らく南富山への入出庫を除いて環状線[3系統]で使用されている。同系統は反時計回りで10分ヘッド、通常2編成使用である。なお2015年春からは富山駅電停が新幹線駅直下に設置されたが、同電停は頭端式であるため1周するごとに向きが変わってしまう(デ9003の各写真も参照)。富山市が購入した車両と言うこともあってか、車体広告は市内で開催されるイベントなど公共性のあるものが多い。
2020年の路面電車南北直通化後は富山ライトレールから引き継いだ同系車の0600形と共通運用とされているようで、富山港線や富山大学前方面、入出庫以外での南富山方面への入線も見られるようになった。