樽見鉄道 ハイモ330形

写真: t_330-702

樽見鉄道は比較的後年まで富士重工製LE-DCスタイルの車両を投入していましたが、2010年の新造車は遂に天竜浜名湖鉄道TH2100形から始まる所謂「NDC」スタイルの車両を投入。同社は形式にエンジン出力の数字を充てるため、新形式ハイモ330形として登場しました。車番は既存車と被らないよう700番代を使用しつつ番号は開業時からの連番を止め1から順に振っています。1両目・3両目は同社標準の青地に赤と白帯を纏った一方、2両目は置き換え対象車が沿線の商業施設であるモレラ岐阜のラッピング車だったため当初からラッピングを施しデビューしています。

足回りではエンジン出力の向上もさることながら、電気指令式ブレーキの採用で既存車との併結が出来なくなった点もポイント。基本的には単行運転の同線ですから困る場面は一見少なそうですが、在籍車フル稼働となる4月の淡墨桜輸送では連結相手を選ぶ必要が出てきます。気が付けば同社所属車の半数を占めるようになった本形式、今回は2015年投入の702号の製造間もない時期の様子をご覧頂きます。


t702-車内全景

まずは車内全景から。本形式の前に入線した三木鉄道からの譲渡車ハイモ295-617号はボックスシートを装備しており、次の新車にも採用されないかと少し期待していましたが、やはり樽見鉄道の標準はオールロングシートのようです。なお他社の同スタイルの車両はボックスシート2組のみ(ほぼロングシート)からリクライニングシートまで様々ですが、それらを見回してもオールロングシートは何気に初めての例。

t702-車端部t702-車端部2

車端部です。半室運転台の構成は従来通りですがLE-DCに比べ奥行きが深くなり、扉位置が左右対称となって前面展望はしやすくなりました。

t702-LCD

運賃表示機は液晶式になりました。516号にあった「レールバス」の表現があるか見るのをすっかり忘れてしまいました。

t702-車椅子スペースt702-立席スペース

扉位置の変更で生まれた車端部右側のデッドスペースですが、大垣寄りは車椅子スペースとして固定金具や渡り板、非常通報装置などを設置。樽見方にも同様のスペースがあるものの、大垣方にある各種装備は無くただの立席スペースとしています。

t702-扉1t702-扉2

扉は幅1000mmの片開き、ステップの手前には凹凸の大きな黄色の滑り止めを設置。車椅子スペースのある大垣方の扉の窓には車椅子ステッカーを貼っています。

t702-天井

天井です。配置そのものは前回の新造車ハイモ295-516と同等かと思いますが、レール方向に貫くようにしてフィンを設けて近代的な見た目となりました。

t702-床

床はハイモ295-516と同様に光沢のある茶系の単色。

t702-窓

窓は全て固定式、カーテンはフリーストップ式と他社同型車と同等の誂え。

t702-25人掛け

座席は2種類、まずは大垣行きで進行方向左側になる25人掛けから。青系のモケットは516号よりも濃く、国鉄時代の普通車に近い色合い。背摺り・座面は3人掛けを7セット、扉横は2人掛けを2セット組み合わせましたが、仕切もスタンションポールも無くただ座席が並んでいるのはある種壮観です。板状になった袖仕切を含めて掴まる場所が無いのはどうなのかと思わないではありませんが…

t702-25人掛け2At702-25人掛け2B

進行方向右側も25人掛けですが、優先席を設けた点と樽見方の座席間に排気管が通っている点が異なります。優先席は他車と同様大垣方の扉横…と思いきや扉の真横は通常席で、その横の窓のある3人掛けを灰色のモケットとして区別しています。今時脚台の蹴込を塗装仕上げにしているのは珍しく、しかも白というのが目立ちます。
座席そのものは516号と同等のようで、背摺り・座面とも縫込みを設け着座位置を示します。1人あたり幅は450mm程度と一定水準を確保、ただバケット形状という訳ではない上に前述の通り仕切が何も無いので隣客が気になる場面も少なくないでしょう。背摺りの角度が立ち気味なのも気になります。

t702-運転台

最後に運転台、電気指令式ブレーキの採用やモニタ装置の採用で既存車とは大きく異なる配置になりました。

 

座席系

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最終更新:2023/12/24

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