阪急3300系(大規模工事車)
1967年に登場した3300系は、大阪市営地下鉄堺筋線への直通車として登場しました。阪急受け持ちの地下鉄直通列車は全部本形式が受け持つうえに、万博輸送やその後の輸送力増強もあって短期間に120両が製造されました。随分後になって中間車の追増があったため全部で126両の陣容となり、なんと2015年まで全車健在でした。
登場から36年が経過した2003年からは一部編成に対し大規模工事を開始。外観の分かり易い識別点としては扉窓が下方に拡大されたこと、クーラーキセが銀色の丸みを帯びたものになったことでしょうか。2015年に2300系が引退してからは最古参形式となった本形式ですが、更新を受けなかった編成が7連化されたり廃車されたりする一方、改造を受けた8連5編成は相変わらず115km/h運転に絡まない他の8連車に混じって活躍を続けています。
車内全景です。緑のモケットに木目調の化粧板は従来通りですが、褪色への対策として全体的に色を濃くしており、それだけで随分若返ったように見えます。
車端部です。化粧板が焦げ茶に近いかなり濃い目の色合いとされた他、新車に倣って貫通扉窓の天地寸法を大きく拡大しています。
乗務員室仕切も構成は従来通り、ワイドな前面展望が楽しめます。
こちらは運転台撤去車の様子。5000系リニューアル車では仕切の向こうにも座席を設けたかと思えば妻面ごと作り直すなどかなりの気合の入れ方でしたが、本形式はそこまでではなく従来通りの構成で残っています。また妻部では無いということなのか、化粧板の色は側面と同じです。
内部は立席スペース、乗務員室扉を埋めて固定式の小窓を設けています。
扉は窓が下方に大きく拡大された他、妻面同様化粧板が焦げ茶に近い色合いになっています。
扉横にはLED式の情報案内装置を千鳥配置で設けました。戸袋部への設置は阪急独自のような気がしますが、扉上よりは施工が簡単なのでしょうか。
日除けは鎧戸からカーテンになりました。改造時期によって仕様に差があり、左は初期改造車で何を思ったのか鎧戸同様下から上に閉じる構造。一方後期改造車は流石におかしいと気付いたか、一般的な上から下ろすタイプに変更されています。また見づらいですが荷棚も変更されており、左の編成はアクリル板を用いているのに対し右の編成は金属板にスリットを入れたタイプとしています。
天井は蛍光灯を両側に配置し所々に吹き出し口を設けたスタイル。蛍光灯はカバー付きです。
床は最近の新車やリニューアル車で用いられる、フットラインを意識したブロック柄が入ったものに変更されています。もっとも3300系では更新の有無は関係なしに車両単位で張り替えが行われていますので、大規模改造車に限ったものと言う訳でもありません。
座席を見ていきましょう、扉間は7人掛けです。座席配置は従来通りとしたため戸袋付近には引き続き座席がありませんが、8000系などと同様の袖仕切を設けたほか背摺りは傾斜があるものに、脚台も黒く塗って印象が変わっています。
車端部は5人掛け。モケットの毛足も長くなっているような気がしますが気のせいでしょうか…
乗務員室直後と車椅子スペース横は3人掛けです。優先席は2014年以降臙脂色のモケットに変更されています。
大規模改造の際、一部車両に車椅子スペースを設置しました。手摺りの増設を行った程度で本当に場所を確保した程度という印象ではあります。
運転台は引き続き2ハンドル。運転台部分は化粧板が濃くなった程度で改造の手はほとんど及んでいません。
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