阪急6300系「京とれいん」
1975年に登場した京都線の6300系は2扉の特急車、しかもその扉を車体の両端に寄せた点が特徴でした。長らく特急を中心に使用されてきましたが、度重なる停車駅の増加はその設備が仇となって乗降に手間取り、老朽化も重なり2010年までに特急運用から撤退しました。この少し前、2009年からは3編成が編成短縮・改装のうえ嵐山線で使用されるようになりましたが、これとは別に6354編成は観光客向けの車両として6連化の上ラッピングや車内設備の改装などを行いました。「京とれいん」と名付けられたこの編成は、2011年のダイヤ改正で休日ダイヤに設定された快速特急で使用されています。
■1・2号車 ■5・6号車
車内全景です。色遣いこそ随分変わりましたが、主な構成は何も変わっていません。1・2号車は赤紅色の「蘭の花散らし」柄、5・6号車は千歳緑の「麻の葉」柄です。
車端部です。いつもの阪急電車とは違う木目調の化粧板が目立ちます。補助座席は撤去し、一部はその位置にパンフレット置き場を設けています。
変な角度からになってしまいましたが乗務員室仕切です。こちらは化粧板の変更がなされたのみです。
天井です。照明の雰囲気が違うような気もしますが構造はそのまま。立客が出る場面は無いと思いますが、吊革も引き続き設置しています。
床は黒系。町屋の通り庭や土間をイメージしたとのこと…
扉です。大規模更新車などで見られる天地寸法の大きなものに取り換えられるかと思っていましたが、ここもそのままです。化粧板は車端部と同じくかなり濃い茶色です。
窓は一段下降窓、フリーストップ式です。日除けは鎧戸のままですが、後述する3・4号車と同様にフリーストップカーテンに変えても良かったのでは…と思います。なおこの写真は古めですので左端に携帯電話OFFステッカーが見えますが、現在は廃止されています。
座席に入ります。やはりメインは転換クロスシート。モケットを変更、また枕カバーが個別のものになっていますが、基本的には特急で活躍していた頃と何も変わりません。
扉横は固定式。脚台が変わった格好をしていますがこれは点検蓋との兼ね合いで、点検蓋を開ける時は座面と肘掛を外すそうです。なお、この裏側に設置されていた補助座席は撤去されました。
乗務員室直後は2人掛け。袖仕切りは6300系特有の形状、仕切側にも肘掛が設置されていましたが、これもそのまま。
■3・4号車
車内全景です。何から何まで、とても阪急電車には見えません。座席は3列、随分大きな座席です。
車端部ですが、両端の4両で行った工事に加えて扉を取り替えたほか、どう使うのかよくわかりませんが小テーブルも設置しています。
天井です。照明は間接照明とし、蛍光灯も電球色のものを使用。一方で空調吹き出し口などは今まで通りです。
窓とカーテンです。カーテンはフリーストップ式に変更されました。
座席を見てみます。言ってしまえばボックスシートなのですが、背摺りに仕切りを載せてコンパートメント然とした造りは近鉄23000系「伊勢志摩ライナー」のサロンシートにも似ています。
4人用ボックスですが、扉横は3人用としています。これは床にある点検蓋の影響でしょう。
座面ですが、畳の上に座布団を置いたような雰囲気です。肘掛は板をコの字に曲げたような形で、少しなら肘掛の下に物を置くことも出来るかもしれません。
壁には小さなテーブルを設置しています。かなり小さくて、ペットボトルを1本置ける程度です。
3・4号車の京都方には車いすスペースを設置しています。
せっかくの観光向け列車ながら、空いている印象が強い「京とれいん」。周知されていないのか、ダイヤの問題なのか、理由は幾つかあるかと思いますがどうにも勿体ない感が強いです。4か国語放送があるなら車内に情報案内装置も欲しいところですが、この様子では厳しそう。空いていて京阪間ほぼノンストップのおまけ付き、時間が合えば是非利用したい列車です。
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