阪神8000系(リニューアル車)|FTN trainseat.net

阪神8000系(リニューアル車)

写真: 8227_n

1984年に登場した急行車8000系は、阪神初の界磁チョッパ制御を採用したほか編成も初の6両固定に、またそれを理由に電気指令式ブレーキを採用した意欲的な形式です。恐らく多くの方が色は違えど写真の形状を思い起こすことと思いますが、最初の1編成は従来車とほとんど同じ車体でした。前面窓を上部に拡大、急行灯と尾灯は京阪でよく見られるケースに収めたお馴染みの格好の車両は2編成目からで、1994年まで各部の仕様を変更しつつ増備が続きました。
2002年からは前年登場の9300系に準じたリニューアルが実施されましたが、暖色系の色遣いは引き継ぎつつ車体・車内ともベースカラーがオレンジになったため一部方向からあれこれ言われているようです。

阪神大震災で2編成分が廃車になっていますが、それでも急行車最大勢力となる19編成が在籍し阪神本線の普通以外の各種別のほか山陽電鉄直通の「直通特急」にも使用されます。今回はクロスシートを装備するリニューアル車の様子を紹介します。


80-車内全景80-車内全景クロス

車内全景です。初期にリニューアルされた2編成を除いて前後2両ずつがロングシート・中間2両がクロスシートですが、随分手の込んだ改造をした結果として、どちらも8000系より9300系に近い印象を受けます。

80-車端部

車端部です。貫通扉窓の天地寸法がかなり大きくなっています。

80-乗務員室仕切

乗務員室の仕切りです。窓は側面に比べると少し小さめですが、従来車のどこか雑然とした雰囲気は一掃されています。

80-扉80-扉2

扉は標準より少し大きめの1400mm。ロングシート車は座席の取替えで幅が広がった結果、従来に比べ扉付近のスペースが少なくなってしまいました。戸袋側の黄色い縦線は撮影時期の違いによるものです。

80-LED

扉上にはLED式の情報案内装置を設置。8000系後期車以降の標準装備ですがサイズはそれより小さめ、5500系以降と同じように見えます。

80-天井80-天井2

天井は2種類あり、左が2次車~4次車の分散式で右は5次車以降の集約分散式です。カバー付きの蛍光灯を両側に配置し中央にラインデリアを設けたスタイルは共通ですが、分散式の車両はご覧の通り大きな吹き出し口が目立ちます。基本的には編成ごとに統一されていますが、阪神大震災による廃車で余った車両を組み直した際に両グループが混ざった編成が2編成登場しており、今回取材したのはこのうちの1編成だったようです。

80-床

床は灰色系、フットラインも兼ねたブロック模様が車内を貫きます。

80-窓

窓は8000系以降一般的になった一段下降窓です。カーテンは2段階にストッパーのある巻き上げ式ですが、リニューアル時に取り替えられたようで、JR西日本の車両に似た軽く操作できるものになっています。

80-8人掛け

さて、座席に入りましょう。全ての先頭車と大半の2・5号車の扉間は8人掛けです。座席は1人当たり440mmのバケット形状などないものでしたが、1人当たり470mmのバケットシートに取り替えられました。また袖仕切りも、板を用いていない点は共通するものの、湾曲のあるものに変更されています。
8000系の更新は2003年から2015年まで12年掛かった訳ですが、車両数も多く期間も長いと言うことで、編成によって細かな違いがあるようです。車内で一番目立つのはこの袖仕切りで、最初の2編成は袖板の付いた8000系後期車以降と同等のものを装備しているそうですが、コスト削減か何なのかシンプルなパイプのみの構成になってしまったようです…

80-5人掛け80-5人掛け優先

車端部は5人掛けです。右側の灰色系のモケットは優先席を示しています。

80-3人掛け80-3人掛け優先

乗務員室直後と車いすスペース横は3人掛けです。車いすスペース横の座席の袖仕切りは、窓との兼ね合いで枕木方向のパイプが若干低くなっています。

80-車いすスペース

その車いすスペースは横のパイプ1本のみの極めてシンプルな構成。

80-座席(固定)80-座席(転換)

全ての3・4号車とごく一部の編成の2・5号車の扉間にはクロスシートが設置されています。9300系と同じで扉間に4脚、扉の両脇で固定座席、中間は転換式で、シートピッチは910mm。枕カバーは個別に取り付けられていますが、登場時は座席上部を覆ってしまう格好だったようです。肘掛は肘の当たる部分にモケットを巻いており、特に通路側は独特な形状をしていますが、窓側にもしっかり設置してある点も見逃せません。

80-座席(固定)80-座席(転換)

クロスシート部は最後にクロスシートを設けた8231Fで肘掛に変更が加えられましたが、いつの間にか既存車も同様にする改造が行われています。通路側肘掛はまるごと取り替えられたようで、117系然とした形状になりました。肘を乗せる部分はクッションを灰色のレザーで巻いた形となり、特徴的だった肘の当たる部分のモケット張りは廃されました。


8000系のリニューアルは2002年から行われましたが、中断があったため全車に施工するのに13年も掛かってしまいました。これだけ掛かってしまいますと細かな差異が生じるのはよくあることですが、偶然にも初期にリニューアルを受けた8211Fに乗車する機会がありましたので、その様子をご覧いただきます。

80S-車内全景

初期の2編成は中間車4両が全てクロスシート車で、オールロングシート車なのは両先頭車のみ。その車内全景ですが、何だか後に改造された車両よりも新車然とした見た目です。

80S-8人掛け

と言う訳で座席を見てみます。扉間は8人掛け、単純に袖仕切が付いているだけと言ってしまえばそれまでですが、最初の2編成ではロングシート部も9300系並みにする努力をしていたようです。

80S-5人掛け80S-5人掛け優先

車端部は5人掛け。扉横のスペースが随分違っていますが、どうも妻面の機器の兼ね合いのようです。

80S-3人掛け優先

乗務員室直後や車椅子スペース横は3人掛け。写真は後者で、通常の箇所とはパイプの取り回しが異なっています。


80-運転台

運転台は従来通り。

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