広島電鉄650形|FTN trainseat.net

広島電鉄650形

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「被爆電車」として広く知られる650形は、1942年に登場した広電初の新製ボギー車です。輸送力の大きさから被爆からの復旧後も市内各線で広く使用され、事故廃車の1両を除いて1975年にワンマン化改造、1986年には冷房化も行われ、戦後投入の車両も廃車が相次ぐ中活躍を続けました。
しかし流石に寄る年波には勝てず、2006年には4両の内2両が営業運転から離脱。1両は平和学習などの貸切列車で用いるために残存、もう1両は廃車されたものの保存されています。偶然なのか何なのか、被爆70年を迎えた2015年には両車とも1945年当時の塗装に変更されています。残る2両はラッシュ時専用のような使われ方ではありますが、本社も所在する千田車庫を拠点に1・3・5号線で使用されています。


hiro650-車内全景

車内全景です。木製の床や内張りなどからは使い込まれた雰囲気がありますが、一方で黄色い吊革や最新のワンマン機器なども目立ちます。「被爆電車」として目立つ存在ではありますが、全国的に見ても戦前・戦中製の車両が日常的に活躍していること自体が珍しいことと言えるでしょう。2扉・前中扉車ですが、ワンマン化改造の前は後ろにも扉が設けられた3扉車でした。

hiro650-車端部

車端部です。運転台は中央部、構成としては一般的ですが、内張りに木材を使用した時代を感じる雰囲気の中で最新型の運賃箱が妙に目立ちます。

hiro650-扉出口hiro650-扉入口

扉は前扉が830mmの片開き、腰板部の木目が綺麗です。中扉は両開きで幅は1240mmと広め、同時に2人の乗車も出来そうですがワンマン関連設備の兼ね合いから現在は厳しそう。

hiro650-天井

天井です。蛍光灯が2列並んでおり、その間には風洞を設け所々に吹き出し口が見えます。吊革は縦方向の握り棒が車内にほぼ皆無なためか3列設けられており、立客に配慮しています。

hiro650-床

床は木板を敷き詰めたもので台車上は鉄板。

hiro650-窓

窓は二段式、木製の窓枠が目立ちます。窓と窓の間には降車用押しボタンが設けられています。カーテンは巻き上げ式で5段階に調整が可能です。

hiro650-7人掛けhiro650-9人掛け

座席は扉間と中扉より後ろの2種類、元からある扉間の寸法が3200mmだそうなので1人当たりにすると前者が7人掛け、後者が9人掛けといったところでしょうか。このうち中扉より後ろの座席については後扉の閉塞に伴って新たに生まれたもので、背摺り・座面ともご覧の通り元からあった部分とは分かれています。袖仕切りは板とパイプを組み合わせたものが本来のようですが、ICカード「PASPY」の読み取り機設置で改造された箇所もあるようです。モケットは緑色、優先席は背摺りに黄色いカバーを被せることで2人分程度を確保しています。


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