伊豆箱根鉄道3000系(前期型)|FTN trainseat.net

伊豆箱根鉄道3000系(前期型)

写真: izhk3003

伊豆箱根鉄道は駿豆線・大雄山線とも長らく国鉄や西武から譲渡された車両を使用していましたが、駿豆線には1963年から初の自社発注車で20m級の1000系を投入して輸送効率とサービスの向上を図りました。ただし古い譲渡車を全数置き換えるには至らず、西武からの譲渡車も適宜入れつつ徐々に大型車への統一を進めていました。それを更に進展させるべく、1979年に登場したのが今回ご紹介する3000系です。車体は幅2,900mmで裾を絞り、青と白の新たな塗装を採用していますが、最近は扉に広告を載せる編成が多いようで… 同社初の高性能車・冷房車で、古い譲渡車を駿豆線から一掃しました。後に大雄山線に投入された5000系も含め、以後の伊豆箱根鉄道の自社発注車の基本となっています。

3000系は6編成が在籍しますが、後の2本は車体をステンレス製にするなど大きな変更が加えられています。前期型の中でも微妙に差があるようですが、ここでは第2編成の車内をご覧いただきます。


izhk3000_車内全景

まずは車内全景、片側3扉でロングシートとボックスシートを組み合わせた配置は国鉄近郊形に近いものがあります。配色は白い化粧板にオレンジ色のモケットとして、全体的に明るい雰囲気。全線通しても40分程度の乗車時間の路線にしては些か過剰にも思えますが、地元の利用に加え観光輸送が強い点を忘れてはなりません。

izhk3000_車端部

貫通扉の無い貫通路に開閉可能な妻窓、何となく西武の車両を感じる車端部です。妻窓は後述するボックスシート部の窓と同様の開き方、撤去されていましたが巻き上げ式も設置できる構造です。

izhk3000_乗務員室仕切

乗務員室仕切です。扉間が長く車端が短い配置は先代の自社発注車1000系に倣ったもので、直後に座席はありません。

izhk3000_扉

扉は銀色無塗装。周辺をロングシートとして広めに取っており、ラッシュ時の通勤通学輸送にも十分に対応しています。

izhk3000_天井

天井は左右に空調吹き出し口を、その外に照明を設置しています。照明はカバーのない蛍光灯、取材時には節電の為一部を外していました。吊革はロングシート部に設置、扉やクロスシート部には設けていません。

izhk3000_床

床は灰色一色。

izhk3000_窓

側窓はボックスシート部が二段窓、ロングシート部が1枚の戸袋窓…なのですが、特筆したいのが側窓の幅が両者とも1100mmである点。二段窓の方はともかく戸袋窓をここまで大きくした設計は実に独特です。なお二段窓の方は上段が下降、下段は上昇する設計ですが現在は固定されています。カーテンは巻き上げ式で2段窓は4段階、戸袋窓は2段階で調整できます。

izhk3000_ボックスシート

座席の種類はボックスシートとロングシート2種類のみと案外少なめ、まずはボックスシートです。ご覧の通り国鉄近郊形そっくりの見た目で、ボックスピッチはシートピッチ改善車と同様の1,490mm。その他の主要箇所の寸法も全く同一。座り心地も同様で、40分足らずの乗車時間には十分です。

izhk3000_3人掛け

扉間のロングシートは3人掛けですが、定員通り座ると1人当たり430mm足らずで狭さが気になる値です。

izhk3000_4人掛けizhk3000_3人掛け優先

車端部は4人掛け、中間車の修善寺寄り以外は全て優先席とされています。計算上は1人当たり415mm足らずとなってしまいますが、バケット形状はありませんので状況に応じて座るのが良さそうです。袖仕切りは「コ」の字のパイプの上部から荷棚に向けての握り棒が伸びる格好、あまり見かけない形状ではありますが「コ」の部分に化粧板を貼れば京急800形に近いような気もします。

izhk3000_運転台

運転台は当時としては先進的なデスク式、右手ワンハンドル式です。これを可能としたのが電気指令式ブレーキの採用ですが、全体的に京急800形に似た配置でメーカーの東急車輌も関わっていそうです。


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