JR東日本 115系1000番台(高崎地区・リニューアル)
高崎線で既に活躍し、間合いで周辺の支線に顔を出すこともあった高崎エリアの115系ですが、支線区まで新性能化が進んだのは「シートピッチ改善車」1000番台が配属された1977年以降でした。高崎線からは2001年に撤退しましたが、一方で高崎地区用として今後も残る1000番台には1998年からリニューアル工事が行われました。首都圏から近くリニューアル車も含めて全て湘南色で通したので、鉄道ファンからの人気も高かったようです。
長く4連・3連が11編成ずつの陣容で推移、そのうちリニューアル車は3連9編成でしたが、211系に置き換えられる形で2016年から廃車が始まり2018年3月には全車が引退しました。今回はリニューアル車の様子をご覧いただきます。
車内全景です。リニューアルの内容としては基本的な配置はそのままにボックスシートを取り替え化粧板や床敷物の色を変更したもので、同時期にJR西日本が行っていた体質改善工事ほど大胆なものではありません。ただ最後までリニューアルを受けなかった車両と共存していたことを考えると、趣味者ならずとも手を加えた車両として認識できる仕上がりと言えるでしょう。
電動車の車端部はロングシート。これは雪切室を設けた結果ボックスシートが収まらなくなったためで、機器箱の蓋の大きさを見てもクロスシート化は難しそう。
上野方先頭車はトイレ付きの制御車、雪切室はありませんのでボックスシートを設置する余裕があります。
トイレ周辺です。基本的には旧来通りで内部も大きく弄っていないようですが、手前の座席は撤去され車椅子スペースになりました。手摺りの類いは最低限といった印象ですが、ヒーターの設置は忘れていません。
乗務員室仕切は色合いの変更以外はそのまま。
天井も従来通りですが、吊革は全て三角形に取り換えられています。
床はクリーム色、レール方向にうっすら線が入っているようです。
扉は窓押さえをゴムから金属に変更したため若干印象が変わりました。この変更は外観にも表れているので、乗車前にリニューアル車か否かを見分ける数少ないポイントでもありました。
窓周りも特に手を加えていないようで、網棚・帽子掛け等もそのまま。新潟地区では撤去された窓側のテーブルも残っています。
座席を見ていきましょう、まずは扉間のボックスシートです。高崎地区以外では豊田区の115系や房総地区の113系、変わったところでは201系「四季彩」でも見られたものですが、一から作り直したようで今までとは随分印象が異なります。まず背摺りは形状こそ従来を踏襲しているようですが、周囲をパイプで囲んだりヘッドレストが付いたりして印象が変わっています。座面は若干厚く、肘掛は少し短め、脚台も形状が変わっています。
ヘッドレストで高さを稼いだのは悪くありませんが、これが背摺りから前に張り出しているせいで背中がしっかり支えられない状態になってしまいました。
ボックスシートの両脇や運転台直後は2人掛け。こちらは座面の簡易バケット化がなされた点、袖仕切に透明な防風板が設けられた点を除けば元に近い形状です。ボックスシートの背面が窪んでいますが、肩逃しとしては(そのような意図があるのかどうかすら不明ですが)ほとんど効果がありません。
電動車の車端部は5人掛けロングシート。優先席は背・座ともJR東日本標準のモケットになっていますが、クッションが2人-3人と分離しているにも関わらず背摺りモケットの斜めストライプが綺麗に繋がっています。
車端部にボックスシートがあるのは雪切室の無い制御車のみ、更に高崎地区のリニューアル車は3連しかありませんからトイレ横だけとなります。幅が狭いのは昔からですが、背摺りより高い位置まであったはずのヘッドレストも寸足らず… これは上部に機器の蓋を設けている区画に対応するためかと思いますが、関係するのは房総地区113系くらいでしょうか。
3人掛けはトイレ横が無くなったため車掌台の直後のみになりました。