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JR東日本 E653系1100番代

写真: ニイH202

老朽化した485系の常磐線特急「ひたち」を置き換えるべく1997年に登場したE653系は7連基本編成のほか4連の増結編成も製造され、主に上野~勝田間の主要駅停車型特急「フレッシュひたち」として活躍しました。しかし2012年には後継形式のE657系が投入され、先輩格の651系共々置き換えの対象に。2013年には置き換えが済んでおり、本形式の常磐線での活躍は15年程度と案外長続きしませんでした。新車投入に合わせて常磐線特急の系統再編(いわきで分断)も検討されており、本形式はいわき以北の特急で使用するつもりだったようですが、東日本大震災に伴う常磐線の不通で白紙になってしまいました。

結局本形式は全車が耐雪耐寒工事を受け改番の上新潟に集結し、7連はグリーン車も設け「いなほ」に、4連は北陸新幹線開通に伴い新設された信越線(新井・上越妙高~新潟間)特急「しらゆき」に転用されました。今回ご紹介するのは1100番代に区分された後者で、外観は塗装を白地に紫紺と朱色の帯に一新。一部運行区間が重なるかつての特急「かがやき」用485系の色合いに何となく似ているような、そうでないような…という感はあります。折角の交直両用車でありながら運用区間は全て直流電化区間、もし本形式の転用が予定通り進んでいた場合「しらゆき」にはどんな車両が充当されていたでしょうか。
4連4本が存在し、現在は「しらゆき」全列車のほか1日1往復設定されている直江津~新潟間の指定席快速「信越」にも充当されます。


■客室■

ニイH200-車内全景

まずは車内全景から。基本的な構成は常磐線時代と変わっておらず、変わった点と言えば座席モケットを張り替えたことくらいでしょうか。もっとも常磐線時代は青や黒のモケットに黄色い枕カバーと派手な装いでしたから、それに比べると良く言えば大人しい、悪く言えば平凡になった印象です。

ニイH200-デッキ仕切ニイH200-デッキ仕切2

メタリックな青とガラス製の仕切扉が目立つデッキ仕切です。仕切扉は両開き、開口幅は900mmと乗客の入れ替わりが激しい「フレッシュひたち」運用に対応する構造。右写真は車椅子対応席を備えた1号車新潟寄りで、非常通報装置を追設した関係か広告枠も低い位置になっています。

ニイH200-車端部

こちらは車端部。デッキ仕切とは異なり扉が片開きで、開口幅は少し狭めの800mm程度とのこと。

ニイH200-LED

仕切上にはLED式の情報案内装置を設置、文字サイズは決して大きくなく同時に表示できる文字数も全角7文字程度しかありません。号車表示がLED式なのは2編成併結運用があった常磐線時代の名残と言えましょう。

ニイH200-天井

天井は所々枕木方向の梁が入っているのが特徴。照明は間接式です。

ニイH200-床

床は灰色系で模様入り。

ニイH200-窓

窓は2席で1枚の構成、カーテンはフリーストップ式ですので中間にカーテンの支柱が入ります。

ニイH200-2人掛けニイH200-2人掛け展開

座席を見て行きましょう、基本は2人掛けの回転リクライニングシートです。シートピッチは910mmと国鉄特急型と全く同一の寸法で、これは常磐線の近距離特急「フレッシュひたち」で詰込みを重視した結果でしょうか。JR化後の新造車では却って珍しい部類に入ります。脚台形状を変更して座席下まで足を伸ばせるようにしたり、背面形状を工夫して圧迫感を和らげる努力はしていますが… モケットは当地の伝統的な織物である越後上布や小千谷紬をモチーフにしたもの、赤系の色合いは上越妙高で接続する北陸新幹線E7・W7系に通じるものがあります。
右写真は最大までリクライニングしたのに加え、本形式あたりから本格採用された座面スライド機構にて座面を最大限引き出した様子。こういった機構の採用もあって掛け心地自体にそこまで悪い印象は無いのですが、狭いことはどうしようもありません。

ニイH200-座席背面

座席背面は樹脂部品で全体を覆ったスタイル、90年代を中心に流行しましたが最近は見かけなくなりました。テーブルと網ポケットが元々設けられていたほか、新潟転用に際してはライナー列車への充当もあるためかチケットホルダーが追設されています。

ニイH200-1人掛けニイH200-1人掛け展開

1号車には車椅子対応の1人掛け席を設置。転用に際し改造で新設されたもので、薄めで他の席より少し背が高く移動枕まで付いたこの座席は、本形式を常磐線から追放したE657系と同一品(モケット違い)のようです。

ニイH200-2人掛け2ニイH200-2人掛け2展開

1人掛け席の背面にはテーブルが無いため、新潟行きで車椅子対応席の直後になる席には肘掛に小テーブルを設置。通常の肘掛にテーブルの部品を追設したような見た目ですが、どうやらそういう訳では無いようです。このテーブルだけでは不足ということなのか、1人掛け席の背面には他の席には無いフックとドリンクホルダーが設けられています。


■デッキ・その他設備■

ニイH200-扉

デッキは木目調で温かみのある色合いな一方、扉は青系としています。幅は730mmと特急型では一般的な数値で、これは車椅子対応席のある1号車も同様。

ニイH200-トイレ1ニイH200-トイレ2

便所は洋式便所と男子小用を用意、前者の様子をご覧いただきます。改造で車椅子対応席を設けた経緯もあってか、1号車の便洗面所も車椅子での使用には対応していません。

ニイH200-洗面所

洗面所は黒い壁と浮かび上がる洗面台が特徴。

ニイH200-電話室1ニイH200-電話室2

以前設けられていた公衆電話は「電話ボックス」の中にありました。現在は公衆電話こそ撤去されたものの、携帯電話での通話スペースとして開放されています。ここも照明や壁のデザインが印象的です。


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