JR九州 813系0・100番代

R005R107

1989年から28編成の811系を投入したJR九州ですが、尚も老朽車が大量に残っており置き換えが必要な状況でした。そんな中1994年に登場した813系は国鉄時代の近郊型や811系も含め4両編成ばかりだった福岡都市圏の鹿児島線にあって2両編成で登場、811系を含め適宜併結することで柔軟な運用を可能にした点が特徴です。車体は415系1500番代同様のステンレス製で先頭部は鋼製と811系と同様ながら、当初2連と短編成だったこともあるのか貫通路は811系とは異なり幌付きとして編成間の行き来が出来るようになりました。デザイナーとして水戸岡鋭治氏が携わったこともありスタイルは一変、コーポレートカラーの赤を前頭部と扉に配した一方でステンレス車体の部分には裾部にロゴを入れるのみ、側面は飾りのビードが多い点が特徴です。主要機器では制御装置にVVVFインバーターを初採用しています。

1994年の0番代は2連9編成、翌年登場の100番代は2連6編成と3連13編成が製造され、以後登場する同社の近郊型電車は3連が基本になりました。半端な存在になった2両編成はまず100番代が2001年に電化された筑豊線・篠栗線(福北ゆたか線)に転用され中間にオールロングシートの500番代を挿入、鹿児島線に残った0番代は2004年にクロスシートの400番代を挿入し本形式は全て3連となりました。本項では0・100番代の様子を紹介したのち、後で追加された中間車の車内も紹介します。


■0・100番代■

まずは0・100番代をまとめて紹介します。なお100番代の写真は福北ゆたか線用の車両で撮影したものです。

R0-車内全景

車内全景、写真は0番代の様子です。コーポレートカラーの赤を座席や扉に用いており、寒色系の811系とは随分違った仕上がりになりました。

R0-車端部

車端部は青い貫通扉と従来に比べ丸みの強い窓が目立ちます。赤い広告枠も特徴的です。

R0-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。前面貫通構造になった割に仕切戸は811系に比べ幅が狭くなったほか、高運転台になったため仕切窓の大きさは811系に比べ小さくなっています。運転台側の窓はスモークフィルムのようなものを貼ったようで、運転台を見通すことは出来ません。

R100-車端部2R100-トイレ

トイレは既存車とは異なり門司港方先頭車への設置に変更され、以後の各形式も踏襲しています。内部は811系と同様和式です。

R0-扉R100-扉

扉は外側も内側も強烈な赤色、腰部の座り込み禁止ステッカーは同社共通とはいえ何となく浮いている感があります。また個人的には窓押さえの太いゴムも気になります。後述のように座席配置の関係で0番代(左)・100番代(右)で扉周りのスペースの差が段違いですが、よく見ると右写真の100番代(福北ゆたか線)は吊革も増設されているようです。

R0-LED

扉上にはLED式の情報案内装置を設置。位置は高め、文字は小さめで些か見辛いような気はしますが、真下の路線図と組み合わせて使うと良さそうです。

R0-天井

天井です。811系では当初扉付近にしか無かった吊革は扉間にも設置されており、三角形のものを採用しています。また空調吹出口は金属製になりました。

R0-床

床は濃淡灰色、この柄は何と表現すればよいでしょうか… ここだけ見ていると何だか目がおかしくなりそう。

R0-窓

側窓は一段下降式、窓寸法を415系1500番代と共通化したため811系と同様に座席配列と窓割が合いません。カーテンは巻き上げ式、3段階での調整が可能です。

R0-座席(転換)R0-座席(転換・優先)

座席は概ね2種類、まずは扉間の転換座席から。811系100番代で扉横は固定座席となったはずなのですが、何を思ったのか0番代では再び扉間は全て転換座席としています。背摺り頭部や手掛けは新たな形状ながら基本は811系を踏襲しており、比較的直線的な印象の背摺り・座面や灰皿を組み込んだ肘掛などは概ね同様です。モケットが窓側・通路側で異なるのは811系も同様でしたが、水戸岡氏の手によって独特な柄が施されています。

R0-仕切

扉横の仕切は811系0番代以来の再登場。高さを背摺りと同等まで高くした一方、扉側のモケット張りは止めており純粋な「仕切り」といった印象です。

R100-座席(固定)R100-座席(固定・優先)

扉横の座席に関しては結局811系と同じ流れを辿り、100番代では扉横が固定座席になりました。JR九州の3扉の車両は優先席が車両中央にあるのが特徴、優先席部のヘッドレストは元々他とは色を違えてあるようですが、現在は図柄入りの優先席カバーを被せています。

R100-座席(ボックス)

車端部はボックスシート、ボックスピッチは1750mm程度あるようで余裕があります。妻面側の座席が幾分狭めなのは近郊型電車のお約束です。

R0-ゴミ箱

車端部には811系に続いてゴミ箱を設置。実用本位な形状の811系に対し、水戸岡氏の手が入った本形式は角が取れスタイリッシュになりました。


■500番代(福北ゆたか線)■

写真: R017

福北ゆたか線の813系は817系に印象を近づけるべく赤い部分を銀や灰色に塗っており、鹿児島線の本形式とはまた違った見た目となりました。ここからご紹介するのは2001年の転属時中間に組み込まれた500番代で、外観では先頭車と異なり戸袋部のビードが無い点が目立ちます。福北ゆたか線の813系というと個人的には本グループを思い浮かべますが、実際には全車転換クロスシートで鹿児島線からそのままやってきた200番代や1000番代も紛れています。

R010-車内全景

車内全景です。単線で簡単に増発できない福北ゆたか線では1列車あたりの輸送量を増やすことが重要になる上、前後の車両が転換クロスシートで混雑時心許ないということもあるのか、813系では唯一となるオールロングシート車となりました。前後の車両が結構派手な色合いなのに対し、こちらは座席の黒に近いモケットを除けば外観同様割とシンプルな印象です。

R010-車端部

車端部は303系と同様に貫通扉以外の化粧板を木目調としています。

R010-扉

扉は白色、黄色い815系や赤い303系とは異なり大人しめな印象です。扉横にも立席スペースを確保しており、徹底的に詰め込みを重視しています。

R010-天井

濃い灰色が特徴の天井です。写真では写っていないラインデリアは中央に所々設けられており、照明はカバー無しです(撮影時は節電のため一部抜かれていました)。吊革の握り手は丸型に戻っています。

R010-床

床は303系と同様クリーム色(?)に黒のドットを等間隔に散りばめたデザイン。

R010-窓

窓はUVカットガラスを用いてカーテンを省略しています。近年の車両ほど極端でないにせよ背摺りは高めで、窓の下端より背摺りの方が高くなっています。

R010-10人掛けR010-10人掛け優先

座席を見て行きましょう、扉間は10人掛けです。セパレートタイプの座席は815系や筑肥線303系に準じたものですが、木を用いた大型袖仕切や座席間のスタンションポールは本番代独自の仕様です。大型袖仕切の内側やスタンションポール部に肘掛を設けているのは他社含めあまり見られない配慮と言えましょう。優先席はクロスシートと同様背摺り上部にカバーを被せて区分します。

R010-4人掛け

車端部は4人掛け。1人当たり幅は450mm程度ですが、セパレート式ですから背摺り・座面の横幅はもう少し狭め。掛け心地は硬めで、選べるなら前後の車両に乗りたいなあ、と思ってしまいます。

R010-車椅子スペース

門司港方の車端部には車椅子スペースを設けています。オールロングシートながら律義にゴミ箱を設けているのが特徴。


■400番代■

最後まで鹿児島線で2両で残った0番代も、結局は2004年に中間車を組み込み3連化されました。

R0B-車内全景

車内全景です。前年登場の300番代と同様座席に茶系のモケットを用いており、前後の車両とは異なる落ち着いた色合いです。

R0B-車端部

車端部です。側面の化粧板が白系に変更された一方、妻面の化粧板は従来通り灰色系で貫通扉は青色。車椅子スペースは門司港方に設けています。

R0B-天井

天井です。照明はカバー無しとなりました。また扉付近の吊革は817系以降JR九州の標準となった円形の配置を採用しています。

R0B-床

床は500番代と同様、817系以降標準になった感のある等間隔のドット入り。

R0B-窓

側窓は濃いUVカットガラスを用いた代わりにカーテン無しとしています。窓配置は従来と同様の扉間3枚・車端1枚で、415系1500番代と同じ窓を使うためこの配置にしたはずだったのに…と思わないでもありません。

R0B-座席(転換)R0B-座席(固定・優先)

座席はモケットを除き従来車と変わらないように見えます。全車禁煙になって久しいですが灰皿を組み込む構造の分厚い肘掛は健在です。茶色い市松模様のモケットは同社のキハ40系でも使用されている標準品、優先席は枕カバーを被せて区別します。

R0B-座席(ボックス)

車端部はボックスシート。0・100番代とは異なり妻面側の席が狭くないように見えますが…


trainseat.net>JR九州目次に戻る

最終更新:2021/2/8

inserted by FC2 system