JR九州 キハ66・67形|FTN trainseat.net

JR九州 キハ66・67形

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山陽新幹線が博多に到達した1975年、筑豊各線向けとして破格の一般形気動車が投入されました。キハ66・67形を名乗るその形式は一応普通列車用としながらも2両ユニットでの使用を前提とし当初より冷房を搭載、足回りはキハ181系並みの強馬力エンジンに空気バネ台車、極めつけは国鉄の料金不要列車での使用を前提とする形式では初となる転換クロスシートの採用…と何から何まで豪華仕様。実際に急行型キハ58系を凌ぐ設備から急行列車にも充当された一方、両開き2扉で扉脇にロングシートを配置する構成自体は国鉄一般形気動車でも近郊型電車の思想に近いキハ45系を概ね踏襲するものです。登場時の「一般形気動車の色で急行形気動車のように塗り分ける」という中途半端な塗装や、分類分けに困った鉄道雑誌の「汎用気動車」という表現も無理のないところ。優秀な装備が評価され鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。

2連15編成が製造され主に筑豊線・篠栗線で活躍していましたが、爆音な上に整備性と燃費に難のあったエンジンはJR化後に交換され、また2001年に筑豊線・篠栗線が電化されたことで全車長崎に転属しました。長崎では大村線の快速「シーサイドライナー」を中心に充当されることから塗装を九州色から変更、主力形式として活躍しました。ただ製造後40年以上が経過し老朽化が進んでいるため、2016年に初めての廃車が発生。登場から45年になる2020年からはYC1系による本格的な置き換えが開始されており、全廃も秒読みと言った状況です。今回は最晩年の車内の様子をご覧いただきます。


DC66-車内全景

まずは車内全景から。元々高品質な接客設備を誇っていたことから大きく手を加えるようなことは無く、モケットや床材こそ交換されているものの大きく印象を変えること無く2扉・転換クロスシートの車内を堅持しています。

DC66-車端部DC66-車端部2

車端部です。左はトイレ付きのキハ66、右はトイレの無いキハ67で、戸袋部にはロングシート、その先はトイレ有無を別にしてクロスシート3脚を並べます。いずれもラジエターを搭載していた関係で低屋根構造になっており、キハ67の方が機器が多かったとのことで低屋根部が長くなっています。

DC66-トイレ1DC66-トイレ2

トイレはキハ66形に設置。

DC66-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。仕切には全く窓が無く、あるのは仕切戸の小さなものだけ。この仕切戸もちょっと変わっていて、このサイズでありながら左右で分割されているように見えます。ところが別に折戸という訳でも無さそうで、どうもよく分かりません。
なお元々は4人掛けロングシートを設置していましたが、長崎地区への転用にあたって運賃箱設置を実施し車内収受式ワンマン運転に対応。現在は座席が無くヒーターを残して広場と化してしまっています。ゴミ箱を置いているのはJR九州標準、海沿いを走りますので非常用梯子も用意。

DC66-LCD

運賃表は元々LED式だったようですが、現在は液晶式です。

DC66-扉

扉はキハ45系に続き両開き1300mmとして混雑にも対応。

DC66-天井

天井です。気動車には珍しく集中冷房式のAU75を採用したため、逆台形のダクトがレール方向に走る近郊型電車のような見た目に仕上がっています。先が短いからなのか、昨今の情勢の煽りなのか、単なる交換時期だったのかは分かりませんが、吊り広告が全く見当たりません。

DC66-床

床はベージュを軸に通路部のみ柄入りのアイボリー系としています。写真を撮り忘れてしまいましたが、通路部はここまでの写真でも時折見られるようにオレンジ系の車両もあります。

DC66-窓

窓は車端部を除き座席2列で1組のユニット窓を採用、現在でも開閉可能です。カーテンは巻き上げ式でほぼ等間隔に4段階での調整が可能。荷棚は網棚です。

DC66-クロス転換BDC66-クロス転換C

座席を見て行きます、まずは転換クロスシートから。特別料金不要の国鉄在来線車両では初採用、いくら新幹線連絡輸送を意識したとはいえ当時の国鉄としては破格の設備。後年登場の転換クロスシート車117系に比べると背摺りが平面気味、また幅は幾分狭めのようです。シートピッチは標準的な910mm。
さて長く使用する間に様々手を加えられており、モケットはJR九州標準の市松模様に、肩部取っ手は813系と同様の「洋ナシ形」とでも言うべきものに交換されています。枕カバーは被せているわけでは無く縫い込んであり、車両によって黒だったり青っぽかったりします。

DC66-クロス転換A

そうかと思えばモケットが国鉄標準の青のまま残っている車両もあります。

DC66-クロス固定ADC66-クロス固定2

扉の横・車端部は固定座席で、頭部を立たせています。転換機構が無い分だけ幅が狭くなっているようで、車端部のみならず扉横まで狭幅になっているのが117系以降と異なる点でしょうか。

DC66-2人掛けBDC66-2人掛けA

戸袋部には2人掛けロングシートを設置、この辺りの配置はキハ45系や後年のキハ47形に通ずるものがあります。

DC66-2人掛けB優先DC66-2人掛けA優先

優先席は背摺りにカバーを被せて区別しています。


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