JR西日本223系2000番台|FTN trainseat.net

JR西日本 223系2000番台 

W37MA01

1995年に登場した223系1000番台は130km/h運転が可能な性能を持っていましたが、数が少なくその性能を生かし切れていませんでした。また快速には未だ113系が用いられており、老朽化が進んでいる上こちらも221系との速度差があり置き換える必要がありました。これらの解決には速く走れる223系を大量に必要、そうなるとコストダウンは必須…ということで1998年に登場したのが今回ご紹介する2000番台です。
外観は1000番台をベースにしつつも前面は前照灯と尾灯を一体化、側面はビードが無く車端の戸袋窓を廃すなど印象が変わっています。またメーカーによる車体工法の差異をある程度許容、前頭部をユニット化するなど製造工程での効率化も行われました。

1999年に営業運転に投入、翌年にはすべての新快速を223系に統一して新快速の130km/hを実施。その後も増発や従来車の置き換えのため、2008年までに8連30編成、6連14編成、4連61編成が東海道・山陽線用として投入された他、福知山線快速用として20編成が投入されています。2010年には225系が登場しましたが、数の上では圧倒的に主力の座を維持しています。
※なお本項目は撮影時期・製造年次が異なる車両の写真を組み合わせて構成しています。


20-車内全景

車内全景です。座席配置自体は1000番台と同等の3扉・転換クロスシートで、本グループの大量増備と車内設備を本形式並みにしてしまった113・115系体質改善車の存在もあって「JR西日本の近郊形」のイメージを揺るぎないものとしました。一方で車内全景だけでは、本グループで大きく謳われた「コストダウン」についてはまだはっきりと見えてきません。

20-車端部20-車端部

車端部です。天地寸法の大きな貫通扉窓に周囲より濃いブラウンの化粧板など、基本構成は1000番台を引き継いでいます。左写真は2010年撮影の一般的な車両、右写真は2016年撮影の6次車です。後者は妻部広告枠横の非常通報装置の色合いが目立ちますが、これは既存車に対しても順次展開されているようです(6次車は最初からこうだったと思いますが…)。

20-車端部床

2000番台は従来車に比べ床面を20mm低くしており、その兼ね合いか連結面の床にはスロープが設けられています。

20-車端部2

下り姫路方先頭車にはトイレを設けていますが、1000番台に比べずいぶん大きくなりました。使用状況を示すランプは非常通報装置の上にあるのですが、位置が悪く場合によっては吊り広告に隠れてしまいます。最近はそれに気付いたのか、ご覧のように2つ掲出できる吊り広告を片側しか掲出していない場合もあるようですが…

20-トイレ120-トイレ2

トイレを詳しく見てみます。まず客用扉側を枕木方向に拡大して車椅子に対応、トイレの出入り口はボタン式の大きな自動扉としました。また内部は便器を洋式に、手洗いや洗浄はセンサー式としてバリアフリー化しています。

20-車椅子スペース

向かいには車椅子スペースを設置。設備は握り棒1本と腰当、壁掛けヒーターなどと最低限。

20-乗務員室仕切

引き続き大きな窓が特徴の乗務員仕切りです。2000番台では補助席が設置されていますので、少し遠くからではありますが空いていれば座りながらの前面展望も期待できます。

20-天井

天井です。吊革は扉間や車端部にも数多く設置、混雑する場面にも対応しています。照明はカバー付き蛍光灯ですが後期製造車は火災対策で材質を変更、形状も丸みを帯びたものになっています。残念ながら写真は撮り損ねてしまったのですが、少し戻って頂き6次車の車端部の写真を見て頂くとその違いが分かるかと思います。

20-扉

扉です。写真は中扉の様子で、立席スペースと補助座席展開時のスペースを確保するため周囲を広く取っています。扉両端や床の滑り止めが黄色くなったのはいずれも後年の施工です。

20-LED20-ドア鴨居

扉上には千鳥配置でLED式の情報案内装置を設置。ここは1000番台相当ですが、高い位置にあるうえ文字が小さいのが欠点。

半自動ボタンs20-半自動ボタン2

半自動扉押しボタンです。製造年次の差なのか後年の施工なのか調べていませんが、「開」「閉」の漢字を大きく記したものとマークを用いた色付きのものがあるようです。国鉄時代は寒冷地向け装備だった半自動扉装置ですが、JR西日本では(もともと寒冷地に入るとはいえ)長時間停車時の空調効果を高めるためにも用いており、近年では後者の役割を狙って並行する阪神や山陽までこの種の装置を取り入れています。

20-床

床敷物は濃淡茶系の落ち着いた色合い。

20-窓20-窓

窓は扉間が1000番台に準じた5連窓、車端部が戸袋窓を廃し1枚窓としています。窓もコストダウンの一環として開閉可能な2・4枚目の窓を2段とし上を内折れ式にしましたが、5次車(右写真)では1000番台と同じ下降窓に戻しています。カーテンは1次車では省略(取付を想定しカーテンレールのみ設置)しましたが、これは流石に不評で2次車以降は巻き上げ式を設置しています。

20-転換クロス20-転換優先

座席を見ていきます、まずは扉間の転換座席から。左写真は2次車以降の座席(旧モケット)、右写真は1次車の座席(新モケット)です。1000番台に比べ簡素化された結果背摺り頭部が一体化、窓側は肘掛無し、2次車からは窓側の隙間埋めも省略されました。また背摺り・座面とも軽め・薄めになっているようで既存車に比べ座り心地は劣り、更に1次車と2次車以降を比較すると1次車は背摺り上部の中央に僅かな窪みがあったりバケットが強めだったりと多少手が込んでいるようです。
なおモケットの交換は編成内でも検査区分が分かれるためなのか編成単位ではない場合があり、1編成中に新旧が混在していることもあります。

20-固定クロス20-固定優先

扉横と車端部は固定座席、実は転換座席より数が多かったりします。1000番台に比べ背摺りの傾きが平面的になったほか、肘掛は転換座席と共用になっています。座面は厚めに見えますが座ってみると特段違いはありません。優先席は枕カバーで区分、各車米原方に設けられています。

20-車端ボックス20-車端ボックス

車端部はボックスシート、横幅は妻部の座席も他と変わりません。ボックスピッチは1700mm弱あるようです。

20-補助座席20-補助座席展開

補助座席です。ここも簡素化の波が押し寄せ、展開しても背摺りが無い単純な造りになってしまいました。また使用可否を示す表示灯も姿を消し、代わりに混雑時には使用できない旨を記した銘板が取り付けられています。座面を引き出すための取っ手は補助座席不使用時の腰当てに埋め込まれるような格好となりました。
なおこの補助座席、重さが掛かっていないと畳まれてしまうタイプではありますが、時折右写真のように展開状態で固まってしまうこともあるようです。

背もたれs

車端部の固定座席の背面に補助座席はありませんが、代わりに腰当てが設置されています。


20-運転台

運転台は引き続きツーハンドル式。

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