JR西日本 キハ40系(高岡地区・延命工事車)
北陸新幹線開業で北陸線が第三セクター化、JR西日本の飛び地路線となってしまった氷見線・城端線では、金沢総合車両所の高岡駅に隣接する車庫に常駐するキハ40系が活躍しています。2009年の単色化開始以前は左写真のようなワインレッドに白帯が特徴でしたが、現在は単色化で首都圏色が標準になりました。単色化が進む一方でラッピング車が増加しており、中でも氷見出身の藤子不二雄Ⓐの漫画「忍者ハットリくん」ラッピング車が観光客などから目を惹く存在となっています。
現在はキハ40形8両、キハ47形15両が氷見線・城端線の全列車のほか、日祝日を除く朝には城端線から富山まで直通する列車にも充当されています。製造から40年程度が経過しており、そろそろ後継車の話があってもおかしくない頃ではありますが…
車内全景、左はキハ40形・右はキハ47形の原形です。延命工事こそ施工されていますが構成や造りが大きく変わったわけでは無いため、一部箇所を除いて従来通りの印象。キハ40系は車内が暗い印象がありますが、鮮やかなオレンジ系モケットが映えます。
乗務員室仕切、ここも左はキハ40形・右はキハ47形です。ワンマン化で仕切戸を撤去、運転台直後に小窓を設置していますが窓のサイズはそれぞれ異なるようです。乗務員室と客用扉が近接しているキハ40形は整理券発行機も仕切に取り付けた一方、キハ47形は座席を撤去し運賃箱を中央に鎮座させる、仕方ないとはいえ無駄の多いレイアウト。立席スペースとしての利用を想定して握り棒を設けたほか、腰部には「座込禁止」のステッカーが貼られています。
運賃表は2画面構成の液晶式。
キハ47形の車端部、左はトイレ付き0番台・右はトイレ無し1000番台です。0番台は屋根上にタンクを載せているため途中から低屋根構造・平天井になっています。
キハ40形のトイレは客用扉側から出入りする構造。内部は従来と変わらず延命工事後も和式のまま。
キハ47形のトイレは0番台の車端部に設置。方向転換も多い気動車ですが、高岡区では氷見・富山向きになるようです。こちらも従来と変わらない構成ですが、下部の消火器は無いのが標準の模様。
暖地向けキハ40系は片運転台車の主力キハ47形と両運転台車キハ40形で扉周りのレイアウトが全く異なっています。登場順で行くとキハ47形(右写真)両開き1300mmが先で、当初計画では両運転台車も同様の配置のキハ41形というのを起こすつもりだったらしいのですが、諸事情で頓挫してしまい寒地向けとして作っていたキハ40形(左写真)の片開き1000mmを番台区分で暖地向けにも作ったとのこと。ステップ付きで扉が銀色無塗装なのは共通、延命工事で開閉をボタン式として半自動扱い時の乗客の負担を軽減しています。
ワンマン化改造でキハ47形は整理券発行機を設置しましたが、扉ギリギリまで座席を設けていたところに床から単独で立ち上げる形で取り付けたため扉の有効幅が大きく狭まってしまいました。
天井です。荷棚には冷房化でクーリングユニットが鎮座するようになり、その部分は荷棚が全く使えなくなっています。一方で冷房の効きが決して十分とは言い難いため、扇風機も残存しています。照明は蛍光灯でカバーなし、電車に比べ数が少なく暗めの印象。吊革はロングシート部にのみ設置しています。
床は濃い目の茶系。
窓とカーテンです。窓は外観からもお分かりの通り窓枠ごと交換されており、上段上昇・下段固定式で間の桟は従来より太くなっています。荷棚は従来通りの網棚。
ここからは座席をご覧いただきましょう、まずはボックスシートから。従来からの座席を引き続き使用しており、後ろの窓を除けば何ら延命工事前と変わりません。モケットは北陸地区標準のオレンジ色に近い茶系、個人的にはどうにも北陸線普通列車の印象が強いですが…
右写真では扉側の座席だけ優先席を示す緑色の枕カバーをしていますが、裏側のみピクトグラムがあって座席側には特に何の表記も無い少し不思議なカバーです。なお枕カバーは2017年にキハ40形を撮影したときにはありましたが、翌年キハ47形を撮影すると無くなっていました。
キハ47形には車端部にボックスシートを設置。例によって壁側の席は若干狭くなっています。
キハ40形にはボックスシートになっていないクロスシートが1両に1か所あります。そしてしっかり座ると窮屈そうな3人掛けロングシートも… 実はこれら、トイレの設計変更に伴うもので、ごく初期のキハ40形には存在しないものです。
ロングシートにもいろいろあります。まずはキハ47形の扉横にある2人掛け、優先席はピクトグラムを散りばめたものですが撮影した車両は近年広まっている緑地のものでした。
こちらは6人掛け。左はキハ40形のトイレが無い側、右はキハ47形の車端部です。後者の扉から離れた3人分を優先席としています。
キハ40形のトイレ向かいは7人掛け。扉側に設けられている箱はまだ新しいように見え、取っ手も付いたしっかりしたものです。海沿いを走る氷見線のこともありますから非常用梯子のような気がしますが、それにしては何も書いていないのが気になります。
座り心地は皆様ご想像されるとおりのキハ40系のそれなのですが、乗り心地は座席がどうこう言う以前に線路と台車の問題か大変よく揺れます。同じ状況で走ることになる両線の観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」では、このとんでもない揺れの車内で寿司職人は寿司を握り乗客は酒を飲むことになる訳で、純粋な興味のほか怖いもの見たさというのも少しあります。
運転台はワンマン対応機器などを追設済み。
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