上毛電気鉄道700形「はしる水族館」

写真: JOMO714

中央前橋から西桐生を結ぶ上毛電気鉄道、沿線は赤城山を望む長閑な風景ではありますが起終点とも人口のある街であることもあってか乗客は決して少なくない印象です。1990年に東武から3000・3050系を導入しましたが、車体こそ新しいものの非冷房なうえ足回りは吊り掛け駆動と時代錯誤の感すらあり早晩置き換えが決定。1998年から導入されたのが今回ご紹介する700形、元京王3000系です。

同社初のステンレス車体かつ冷房車で、種車の先頭車不足から一部は先頭車化改造を実施していますが、一見しただけでは本来の先頭車との差異が分からないレベルに仕上がっています。種車の特徴である前面窓回りのカラーは当初全編成ともフィヨルドグリーンとしていましたが、2005年以降は京王時代とは異なる色合いながら各編成異なるカラーに変更されています。
2連8編成が現在も同線の全列車に使用されていますが、置き換え車を路線開業時以来となる新造車として検討しているとの由。ただ条件が折り合わず延期が続いているようで、もう少し活躍が続きそうです。今回は「はしる水族館」と銘打ち海洋生物のラッピングを施した714編成の様子をご紹介します。


JOMO700S-車内全景

まずは車内全景から。事前知識無く車内に足を踏み入れた訳ですが、天井含む壁が全て濃い青ですから仰天してしまいました。

JOMO700S-車端部

車端部は1300mmと広幅の貫通路が特徴、貫通扉はありません。この構造のお陰で平日朝ラッシュ時以外持ち込み可能な自転車の通り抜けにも難なく対応しています。

JOMO700S-乗務員室仕切

乗務員室仕切はペンギンとシュモクザメが泳いでいます。直後に設けられていた座席はヒーターを残して撤去しており、運賃箱の位置に鎖を設け運転台には近づけないようになっています。また向かって右側は窓上にも大きな機器箱を設置、何が収まっているでしょうか。水生動物のイラストは乗客の入れない部分まで書かれており、特に乗務員室仕切そばの窓上に至ってはあまり見えないような気がするのですが…

JOMO700S-LED

乗務員室仕切には運賃表示機を設置。

JOMO700S-扉

扉は幅1300mmの両開き、少し暗い写真になってしまいました。有人駅では全扉が開き、無人駅では前車両の後扉から乗車します。扉付近に吊革が無いのは京王時代からのようで、現在はともかく井の頭線で大丈夫だったのでしょうか。

JOMO700S-天井

天井も青いシートで覆っており、写真の箇所では手前にシュモクザメやジンベエザメなど様々な生物の姿が描かれています。冷房は後年の改造による設置で分散式を搭載、補助送風機としてファンデリアも設置。四角いのが冷房、丸いのがファンデリアで風洞がありませんから丸い天井を保っており、冷房の枠にまでイラスト入りシートを貼っている辺りはかなりの徹底ぶりです。

しかし天井まで濃い青と言うのは日中でも暗く感じないではありません。水中からの視点のイメージであるならば、また夜間の走行を考えると、もう少し明るくても良いのでは…と思ってしまいます。

JOMO700S-床

床は薄い茶系の単色。

JOMO700S-窓

窓は2段式、カーテンは巻き上げ式で4段階の調節が可能です。戸柱には水族館よろしく描かれている魚の紹介があり、よく見ると吊革の鞘にも魚のイラストが描かれています。

JOMO700S-7人掛け

座席は扉間と車端部の2種類のみ。扉間は形式図で見ると1人辺り幅430mm強の8人掛けと言ったところでしょうか、今となっては些か窮屈な感もある数値ですが着座位置を示すものは特にありません。他編成は蘇芳色のモケットを保つ例もあるようですがこの編成は灰色のモケットを使用、ここまで来たらモケットも青系で…というのは欲張りすぎでしょうか。

JOMO700S-6人掛け

車端部は7人掛け、こちらは1人当たり幅が420mm強ということになります。度肝を抜く青いステッカーのお陰で経年云々を気にする隙がありませんでしたが、座面の劣化が少々気になるところではあります。


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