上信電鉄700形

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高崎から世界遺産の街富岡を通り下仁田に至る上信電鉄は自社発注車と西武鉄道からの譲受車が活躍していますが、いずれも製造後50年程度経過した車両もあり前者には非冷房車も存在する状況で、これらを置き換えるべく2018年に登場したのが700形です。ご覧の通り以前から高崎駅を出入りしていた107系100番代のうち戸袋窓の無い2次車で、20m級3扉の2両編成と同線の条件に丁度合致した形です。

上信電鉄への入線にあたってはワンマン対応設備の設置、連結器の交換、前面幌と渡り板の撤去、スカートの形状変更など改造が実施され、第3編成からは行先表示機のフルカラーLED化などメニューを追加しています。車体塗装は1編成ごとに異なり、JR時代の塗装をほぼ踏襲した編成や同社旧標準色を纏う編成もあります。足回りはJR時代のまま、ご存じの通り本形式は165系の機器流用車ですから、JR線でも見かける機会の減ったDT32形台車にMT54モーター、AU13クーラーがこの先も当分元気に活躍しそうです。機器単位で見たら置き換え対象とされた車両と大して経年が変わらないのでは…と思わないではありません。
2020年までに5編成が導入され、同社の主力車両になりました。


JDK700A-車内全景JDK700B-車内全景

まずは車内全景から。3扉・オールロングシートの構成は丁度高崎地区にも投入されていた211系3000番代を意識しているように見えますが、登場の経緯などからそれ以前の車両の要素や改造車ゆえの制約なども入り混じり独特の空間を作り出しています。また上信電鉄入線時に内装材を張り替えており、以前はクリーム色がかった化粧板に赤いモケットだったようです。
なお同じような写真を2枚並べたのは天井構造の相違に起因する当初からの差異に加え、上信電鉄への入線時期により工事メニューが追加されたことをご覧頂くため。なお左写真は第2編成のクモハ702号、右写真は第3編成のクハ753号です。

JDK700-車端部1

車端部は意外にも119系と同様に浅めの奥行き、自社に承継されなかった形式でも参考にするあたりにJR黎明期を感じます。通勤型の形式を名乗ってはいたものの、妻壁を厚くし機器箱とした造作は近郊型電車に近いものがあります。

JDK700-車端部2JDK700-トイレ

一方(クハ106→)クハ750は車端部に便所の装備がありますが、上信電鉄では使わないため「機器室」として閉鎖。

JDK700-乗務員室仕切2JDK700-乗務員室仕切

乗務員室仕切は天井形状の関係から2種類、断面形状の違いがよく分かります。119系並みの浅めの奥行きは将来のワンマン化を想定してのことだったそうですが、上信電鉄への譲渡でようやく実現した形です。

JDK700-LCD1JDK700-LCD2

乗務員室仕切には液晶式運賃表示機を設置、加えて車両中央部付近には運賃表示を除いた次駅案内等を表示する液晶画面を設置しています。

JDK700A-扉JDK700B-扉

扉は幅1300mmの両開き、中央扉は有人駅でのみ開閉します。第3編成以降は握り棒や床の滑り止めを黄色くしています。

JDK700-天井1JDK700-天井2

天井です。左は集中冷房を搭載する高崎方先頭車のクモハ700形、風洞を通しており平天井です。一方右側は今どき珍しくAU13型クーラーを搭載する下仁田方先頭車のクハ750形で、断面は丸く冷房搭載位置ごとに吹出口があります。吊革は丸型だったところ三角型に交換したようです。

JDK700A-床JDK700B-床

床です。早期に譲渡された編成は茶色一色、JR時代そのままでしょうか。一方第3編成以降は砂目模様の敷物に張り替えられています。

JDK700-窓

窓は一段下降式、カーテンは巻き上げ式で211系などと同様2段階での調整が可能です。荷棚の上に載っている機器は何でしょうか…

JDK700-12人掛けJDK700-12人掛け優先

座席を見て行きます。扉間は1人辺り440mm弱の12人掛け、上信電鉄入線に際しては青系のモケットに張り替えています。右写真の赤モケットは優先席で、ここだけスタンションポールも追加しました。袖仕切は211系と同様パイプと袖板を組み合わせたタイプ、袖板は上面に縁があって肘を掛けると一寸気になります。握り棒の着色は後期入線組の特徴、管理人の地元の電車みたく剥がれたり剥がされたりしないか要らぬ心配をしてしまいます。

JDK700-車椅子スペースJDK700-8人掛け

車椅子スペースは上信電鉄入線に合わせて運転台直後の扉間に各車1か所設置、非常通報装置を設けています。背摺り・座布団とも1個(4人)分取り払った格好で、袖仕切は枕木方向のパイプが窓に当たるため窓側の処理を変更しています。

JDK700-4人掛け

車端部は4人掛け、何故かここだけ袖仕切の枕木方向のパイプが低く肘を掛けるのは難しそう。

JDK700-2人掛け1JDK700-2人掛け2

トイレのあった下仁田方先頭車の車端部はトイレ横とその向かいが2人掛け、トイレの対面は座席を下仁田向きに設けています。
座席は「座面奥行きを確保した上で自然に深く座れる」との触れ込みのブリッジシートを採用していますが、座面の前後に支えが通っているようで腿裏か尾てい骨の何れかが前後の支えに当たることがしっかり伝わってきてしまいます。これを回避しようと思うと今度は不自然な体勢を強いられ、何れにせよ誉められたものではありません。


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