京阪8000系(塗装変更車)
1989年の京阪鴨東線開業と共に登場した8000系は瞬く間に京阪特急の顔となり、急遽旧3000系を全て置き換え10編成の陣容となりました。1998年には3000系に組み込み好評だった2階建て車を新造し8連化、新たな魅力を加えた一方で沿線の変化に呼応するように停車駅が徐々に増え、2003年には枚方市・樟葉に特急が停車することで「京阪間ノンストップ」の看板を下ろすことになりました。それが前提に作られている節もある8000系が捌くには厳しい混雑に見舞われるのもまた事実、難しい局面に入っています。
そんな中、2008年の中之島線開業に合わせ本線系全車の塗装を一新することとなりました。特急車8000系は従来の色合いを意識しつつもツートンカラーの上下を逆転、愛称と言ってよいのやら分かりませんが「ELEGANT SALOON」のロゴも入っています。ここでは2008年から2009年にかけ新塗装化された車両の車内と共に、少しだけ塗装変更前の様子も交えつつご覧いただきます。
【平屋建て車】
車内全景です。塗装変更に合わせ座席モケットを張り替えましたが、全体的に落ち着いた雰囲気の中にあって黒のモケットに赤い枕カバーはかなり目立ちます。
車端部です。妻部化粧板は1両ごとに異なる色を用いていますが、これは旧モケット時代の名残で左が茶系、右が赤系のモケットを用いていた車両です。広告枠は各車山側に設置されていますが、デビュー以来一貫して絵が飾られています。貫通扉は自動開閉式、取っ手を握るとセンサーが反応し開きます。
3000系では妻部の座席が固定式でしたが、本形式は全席が転換可能。車端部にはテーブルを設置しています。
乗務員室仕切です(良い写真が撮れませんでしたので一部を加工しています)。眺望性を重視し、窓を大変大きなものにしています。2階建てやテレビカーなど料金不要列車とは思えないサービスの本形式ですが、やはり前面展望は人気で始発駅でも前面展望を狙う乗客が早くから列を作ります。なお写真では運転台側と仕切戸にカーテンが下りていますが、前者は自動昇降機能があり地下区間に入ると自動でカーテンが下りてきます。
床は茶色。ここは変更されませんでした。
扉は片開き1100mmと3000系までの特急車と同様の寸法、ノンストップ特急であれば全く問題ないサイズです。
側窓は従来の特急車とは打って変わって連続窓になりました。高級感を漂わせる横引き式のカーテンもポイントですが、これもモケット張り替え前と同じものを使用しているようです。
平屋席の座席です。従来通りの転換クロスシートで、モケットを変更しただけで造りは変わっていません。そのモケットは今まで前述の通り奇数号車と偶数号車で分けていたのですが、全車共通の黒を基調に模様の入ったものに張り替えられました。3000系2次車以降廃された窓側肘掛は本形式で形状を改め復活しており、モケット張り替え後も存置されています。優先席は各車大阪方に設けられており、通常席が赤系の枕カバーのところピクトグラムが入った黄色いものにしています。
こちらは塗装変更前の茶系モケットの座席。登場時は段織りモケットだったようですが、後年には大半が通常のモケットになっていました。
シートピッチは従来の特急車より広い920mm、他では見ない前から見ると「口」の字をした脚台を用いているため足を前席まで伸ばすことが出来ます。
補助座席はロック機構付き、区間や状況に応じ車掌が使用可否を判断します。元はと言えば京橋~七条間ノンストップ時代の車両ですから、補助座席はノンストップ区間内のみ使用するものとして扉の開口部と重なる位置に設けられています。しかし停車駅が増えた現在となっては正直どうなんだろう、と言う感も無いではありません。
5号車はテレビカー。京都方にのみ画面があり、この車両だけは大阪行きであっても画面の向きに座席がセットされます。また放映時には画面付近の照明が消灯されます。テレビは地上デジタル放送対応の液晶式に交換されていますが、はるか昔1965年頃には車内のテレビに賛否があって当面受像を止めている…などと記した本を読んだこともあり、この時代までよく持ったものだと感心します。なお基本的にNHK総合が放映されていましたが、スポーツ中継など状況に応じ民放に切り替えられることもあったようです。
なお右写真はテレビ使用時の様子、旧塗装時代の撮影で後述する電話ボックスもまだ健在です。
その脇には電話ボックスが設置されていました。テレホンカード専用とはいえ新幹線でも稀な出入り口扉付きのものでしたが、2009年で使用中止となり扉を撤去したようです。簡易的な腰掛はそのまま存置されており、モケットは抜かりなく張り替えられていました。
1993年度製造の2編成(8009F・8010F)には各車大阪方に車椅子スペースを設置していました。
【2階建て車】
車内全景は階下席をご覧いただきます。メニューは他車同様にモケットを張り替えただけ、水色の妻部化粧板が不釣り合いもいいところ…
1階部分の天井は平ら。照明は窓側に寄せ半間接照明を採用しています。
こちらは2階席の天井、照明はカバー付き直接照明です。一応荷棚があるようですが、大したものでは無く「無いよりまし」程度のものです。
床は座席部分と通路部分で異なったものです。通路部分にはカーペットを敷いてあります。
座席は大半を占める転換座席から。登場時の223系0番台や京急2100形などで見られる、頭部が折れ曲がるダブルリンク機構を採用した点が特徴で、その代償という側面もあるのかシートピッチは他の号車より若干狭い910mm。画像は階下席のものですが、階上席も窓側肘掛を省略(窓框で代用)している点を除けば同様です。
右写真は旧塗装時代の様子、青系のモケットは3000系の2階建て車の階上席と同様ですが、8000系では二階建て車の全席がこのモケットです。
配置の関係で固定席がありますが、他号車は全座席が転換式のため本形式では唯一の一方向固定席です。
1階の階段を降りた通路部分にはこんな補助座席が。ここも京阪間ノンストップならともかく現在の停車駅だと使用を躊躇う位置ではありますが…
運転台はワンハンドル式。定速制御に対応するためのもので、他の形式では採用されていません。
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