京阪8000系(プレミアムカー)|FTN trainseat.net

京阪8000系(プレミアムカー)

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京阪間における京阪・阪急・国鉄→JRの競合は基本的に料金不要列車で行われてきましたが、それだけに2015年秋に京阪が発表した座席指定車「プレミアムカー」は衝撃的でした。ワンコイン程度で乗車可能な座席指定車の導入は近年各社で進んでいますが、この手の列車の実績が無い京阪が、8000系10編成すべてに、後戻りできない改造を施して導入するというのですから思い切ったものです。
かくして登場した「プレミアムカー」は8000系の6号車8550形を改造したもので、車体は大阪方の乗降扉を塞ぎ片側1か所のみに変更、塗装は「ELEGANT SALOON」の上半分の赤を全体に塗り要所にツートン境界部と同じ金色を用いる目立ちながらも浮かない絶妙なカラーリング。料金は運賃との兼ね合いもありましょうが京都市内~大阪市内が500円、それ以外400円と比較的安価で、これもあってか2017年8月のサービス開始後も高い乗車率のまま推移しています。
デビュー直後のダイヤでは早朝深夜に急行運用もありましたが、2018年からはそれが無くなり完全な特急車に。現在は特急を軸に平日の「ライナー」、休日の快速特急「洛楽」で使用されます。

なお平屋建て車2階建て車はそれぞれ別頁でご紹介していますので、併せてご覧ください。


80P-車内全景

まずは車内全景。座席は1列-2列の3列配置としており、1人あたりの幅を広く確保しています。ただもう一つ現実的な話として、本形式の車体幅は2720mm、車内有効幅は2500mm程度と狭いことも見逃せません。狭い車体で有料特急と言うと名鉄もそうですが、本形式の車内有効幅は名鉄をも下回っているようで、そうなると4列配置は「したくても出来ない」感じでしょうか。白と黒という色遣いに圧倒されてしまいますが、窓周りがごちゃごちゃしてしまっている(詳細は後述)以外は意外とシンプルに仕上げています。

80P-車端部下

車端部です。生成り色を基調とした化粧板に対し円弧を描く窓が特徴的な貫通扉は黒基調、その上の情報案内装置も周りは黒で固めておりこちらもコントラストの激しいこと… 川側の額縁は相変わらず健在で、絵画はプレミアムカー独自のもの。貫通扉と座席配置は合うはずがありませんが、通り抜け自体が基本的に皆無ですのであまり気にすることは無さそうです。

80P-車端部上

京都方車端は4席のみの小ぢんまりした空間で、山側は手前から車椅子スペース・荷物置場・アテンダント控室の順に並びます。座席のある川側も妻部が張り出しており、形式図によると「業務用スペース」とされています。

80P-デッキ仕切

乗降扉付近はガラス製パーテーションで仕切られています。雲状の模様は新3000系の前面改造車で快速特急「洛楽」に充当する際に点灯させる装飾灯と同様。上部には情報案内装置を設けてましたが、壁自体が薄いためか後付かと錯覚してしまうような出っ張り具合です。

80P-LCD

情報案内装置は液晶式、内容は扉上のそれと同様ですが縦横比は近年の標準である16:9。

80P-天井

天井は従来並みの構成、元から広告枠も吊革もありませんから変更の必要性も薄いでしょうか。照明はLED式白色の直接照明とされています。

80P-床

床は通路が黒基調で枕木方向に等間隔で金色の模様が入る床材を使用。一方座席部はカーペット敷きで生成り色を基調とし枯山水の庭園を連想させる模様が入ります。足音のことを考えると床材とカーペットの位置関係は逆でも良い、或いは通路部もカーペット敷きで良いのではないかとは思いますが…

80P-窓80P-窓2

側窓ですが配置自体は実は従来通り、シートピッチ拡大に加え大阪方の扉を埋めたこともあって窓割と座席配置は一致していません。一方日除けは何としても座席配置に合わせたかったと見え、窓柱の内側にカーテン支柱を立て金色の生地を用いたフリーストップカーテンを設けています。さて困った…と普通ならなるところですが、登録すれば座席予約も可能な公式サイトに座席と窓柱の位置関係まで記したシートマップがありますので参考にしたいところ。窓周りは窓柱にカーテン支柱と色々立っている訳ですが、全体を黒で統一し少しでも違和感を減らすよう仕上げています。
荷棚は小型のキャリーバッグに対応した板状のものを新設しており、窓側には忘れ物を防ぐため小穴を開けています。

80P-2人掛け80P-2人掛け展開

座席を見ていきましょう、まずは川側の2人掛け。黒と生成り色のモケットを用いたこれまたコントラストの強い座席ですが、着座する部分については汚れなども想定したのか黒いモケットで統一しています。シートピッチ1020mm、座面幅460mm、背摺り高さ770mmとかなり恵まれた寸法で、400円~500円の料金を考えるとかなりハイレベル。背摺り頭部はかなり大きな張り出しとしており、頭を横方向に預けることも出来ます。枕カバーは円弧状、黒のモケットに黒のカバーであまり目立ちませんが下部を赤とし「PREMIUM CAR」の文字を入れアクセントとしています。背摺り上の肩グリップは金色とし白黒基調の車内のアクセントとしています。

80P-2人掛け(中央肘掛)

中央肘掛は1人分ずつを分けた造り、前部に充電用コンセントを設けています。コンセント位置については各社各形式でそれぞれに考え方があるようですが、主に何を充電するのかという想定によっても位置が変わってくるでしょうか。この位置は携帯電話等の充電には大変便利ですが、中央肘掛が固定式でないと不可能ですね。

80P-2人掛けTB80P-2人掛けTB展開

正面が壁になる場合のある4脚(1・2・3・14の各AB席)は正面にテーブルの無い場合が想定されるため、中央肘掛部にインアームテーブルを備えます。大きさはかなり小さめ、飲み物を置くための窪みもありますがテーブル自体がペットボトル2本分くらいしかありません。当然中央肘掛の構造が異なっている訳ですが、通常席との差異は少なく言われないと気付かないレベル。

独特なのは窓側の足元灯。関西地区の優等列車だと荷棚に補助照明を設けることが多いですが、これもそういった意味合いのものでしょうか。

80P-1人掛け80P-1人掛け展開

山側は1人掛け。京都方面行きの場合着座したとき右手側にコンセント、左手側にリクライニングレバーを設けています。2人掛け席共々座席下にはヒーターを設置しているため座席下は塞がれています。やはりと言うか何と言うか、予約は1人掛け席から埋まっていく印象があります。

さてこの座席、寸法的には恵まれているのですがリクライニングすると腰から背中にかけどうにも違和感があります。リク角度を何度か変えても落ち着かず、一度目が夜行バス明けで疲れていたせいかと思い後日もう一度乗車しましたが同じ感想に至りました。そう大して長くない乗車時間でこれと言うのはちょっと… 新3000系にも組み込まれることが決まった「プレミアムカー」、この辺りは是非とも改善願いたいところです。

80P-背面

前から見るとひたすら黒いモケットを用いたのに対し、座席背面は生成り色のモケットを用いており、大きく印象が異なります。窓側への設置が難しいフック、パソコン対応のテーブル、下方にはポケットとドリンクホルダーを横並びに設置しています。

80P-背面テーブル

テーブルにはお決まり車内のご案内を貼り付け。注意書きの冒頭が「車内にトイレはありません」…まあこの車内設備ならトイレがあるものと思ってしまう乗客があっても不思議ではありません。かく言う自分は最初の発表のイラストに謎の小部屋が見え、もしやトイレ付きかと思ったものです(アテンダント控室でした)。

80P-案内(表)80P-案内(裏)

背面ポケットに入っている案内、2017年秋のものです。車内販売ではプレミアムカー関連グッズを扱っていますが、商品は随時変更されているようで写真にあるブックカバーと扇子は本項執筆時点では販売終了しています。京阪特急の車内販売と言うと2011年まで行われていた車内販売限定の「Kカード」以来でしょうか。

また無料の貸出サービスとしてブランケットと携帯電話充電器が用意されています。後者は極めて現代的かつ実用的なサービスで、先例がありそうなものですが意外と耳にしないような気がします。また車内にはWi-Fiが飛んでいます。

80P-端部テーブル80P-端部テーブル展開

2人掛け席では隅部座席をインアームテーブル付きとしましたが、1人掛け席は壁に折り畳みテーブルを設けて対応しました。壁に面する位置だけ大型テーブルを設置しているJR西日本の特急型とは逆の発想ですが、改造車ゆえテーブルと座席の位置関係が上手いこと行かないのかもしれません。サイズは背面テーブルほどではありませんがある程度を確保、ただパソコンなど重いものはいけません。


【デッキ・その他設備】

80P-扉

デッキ周辺は黒基調で統一。扉は引き続き1100mm、円弧を描く窓形状が特徴です。照明はスポットライトを使用、客席部とは違う雰囲気を醸し出します。

ちなみにこの車両のみ締切ると言うことは現状では不可能らしく、ダイヤ乱れでプレミアムカーの座席指定を行えなくなった場合に折り返し時の清掃中に用いるロープ1本で締切っている写真を見たこともあります。大阪方は寝屋川、京都方は淀にある車庫の入出庫を全て回送にしなければならないというのも大変そうではありますが、名鉄の一部特別車編成のようにこの車両だけ締切ってしまうことは出来ないものでしょうか…

80P-車椅子スペース80P-荷物置場

京都方車端山側には車椅子スペースと荷物置場を設置、ここも客席とは異なるスペースと言うことで黒基調の化粧板を使用します。車椅子スペースは通常各車大阪方の設置ですからプレミアムカー化に際しこの位置に新設したもののようで、指定席車ですから当然腰当はなく設備としては非常通報装置とパネルヒーター程度でしょうか。一応車椅子利用者がプレミアムカーを用いる場合の車椅子置場という位置づけのようで、前日までは横の2A・B席が発券ブロックされている模様。
一方荷物置場は3段式でスーツケース等に対応する大型のもの、大荷物の訪日旅行客対策も抜かりありません。


80P-鳩マーク

座席系

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