京急1500形(1700番台・車体更新後)
1985年に登場した1500形は当初鋼製車体・界磁チョッパ制御でしたが、1988年からは車体をアルミ製に、1990年からは制御装置をVVVFインバーター制御に変更しました。新旧の1000形に比べると増備期間は短く数も少なめですが、その割には目立った仕様変更が多かったのが本形式の特徴とも言えそうです。4連・6連・8連があり、複数編成を併結しても貫通できないことを除けば旧1000形同様柔軟に運用されています。
2001年からは車体更新が開始され、鋼製車の特徴だった戸袋窓は埋め込まれスカートも設置されました。VVVF車も含めて2009年までに車体更新が終了した一方、2006年からは4連と8連のチョッパ車を組替え制御装置も交換しての6連化も進行、更には車番の整理が行われており、中々ついていけない自分が…
今回は現在も浅草線直通運用に入る、製造時からのVVVF車(1700番台)の車内をご覧いただきます。
車内全景です。写真で見ただけですが、以前の1500形アルミ車は青い座席モケットに灰色の床、その中にあって木目調の袖仕切というのが妙に印象的でした。翻って車体更新後は2000形3扉化改造車に始まる暖色系の色合いが採用されており、またアルミ車体のチョッパ車とも殆ど違いの無い仕上がりになっています。冒頭で「仕様変更が多かった」と書きましたが、車内の変更点については車体更新に伴い概ね統一の方向に向かったようです。
車端部は貫通扉の有無で2種類。車体更新で妻窓を埋め込んでいますが、床から窓の高さまでの機器箱がその名残です。
乗務員室仕切です。窓の大きさは800形や2000形に比べると幾分小さくなっているようですが、地下鉄直通車という性格故でしょうか。極端に狭かった仕切戸も非常時の脱出経路になるためか一般的な幅になっています。前面窓上部の青いぼかしは本形式から採用されたもので、以後の各形式ですっかりお馴染みとなりました。
扉は2000形に続いて両開き。同形での化粧板張りをやめ銀色無塗装とした辺り格の違いを感じます。
扉上のLED式情報案内装置は更新で追設されたもの、表示可能文字数は全角7文字と少なめながら文字サイズは十分。
床は元々灰色でしたが、車体更新でクリーム色のものに張り替えられました。
天井です。中央に所々ラインデリア、その両側に空調吹き出し口、そして蛍光灯が並びます。吊革の多さ、特に枕木方向への数が多いのは流石都会の電車だなあ、と田舎者が述べております。
側窓は一段下降式で扉間・車端とも2枚ずつの構成です。カーテンは巻き上げ式でストッパーは中央から下に3箇所。荷棚が網棚なのも目立ちますが、これは流石に本形式まででした。
座席を見ていきしょう、まずは扉間の8人掛けロングシートから。元々ロングシートだった本形式も2000形同様の改造を受け片持ち式座席に…と思いましたが、普段はあまり撮ることの無いこの角度からの写真だと微妙な張り出しがあることが判ります。大型の袖仕切や蘇芳色のモケットも2000形と同様ですが、袖仕切に関しては新1000形登場後も引き続き2000形と同じ形状のものを使い続けており、寸法の問題からか座席中央部にも仕切り板は設けずスタンションポールのみの設置となっています。
車端部は5人掛け。優先席は青いモケットで、座席を2-3で分けるように設置されたスタンションポールは凹凸のある黄色いシートを巻いています。妻面側には窓の高さまでの機器箱があり、消火器が収められている箇所もあります。
乗務員室直後は3人掛け。座席・袖仕切とも周囲に合わせていますが、中にどうしても外せないものが入っているのか脚台が残っています。寸法的に些か苦しい面もあるようで、大型袖仕切と扉横の握り棒には僅かな隙間しかありません。
車体更新に際し先頭車には車椅子スペースを設置しました。位置は2000形と同じですが横の座席は新1000形同様の5人掛けとしており、その分だけ車椅子スペースが広くなりました。車椅子スペース側の袖仕切は1500形本来の袖仕切に近い形状ですが、今となってはここでしか見ることが出来ません。車椅子スペース自体はレール方向の握り棒1本と非常通報装置のみの設置です。
1人当たり幅は455mmと近年の京急標準、座り心地は2000形3扉車化や新1000形と同様、バケット式ではありますが厚みがあり過度な沈み込みも無い、しっかりしたものです。
運転台はT字型ワンハンドル、後に浅草線直通各社の標準仕様となりました。