京急800形
約20年に及んだ1000形の増備が終了した1978年、京急久々の新形式として登場したのが800形です。700形や車体を載せ替えた500形に続き片側4扉、1編成3連として閑散時には単独で、混雑時は2編成併結の6連で普通を中心に運用することを想定していました。伝統を受け継ぎつつ当初窓周りを白に塗ったり、足回りには界磁チョッパ制御を採用するなど新機軸も随所に見られ、鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。しかし運用面では3連というのが扱い辛かったらしく6両固定編成が登場、空港線用として3連で残っていた初期車は1990年代半ばに中間車化改造を行い全編成が6連化、長らく6連22編成の陣容で活躍していました。
登場後は急行運用への充当もありましたが、近年は専ら普通運用で活躍しています。2012年から廃車が始まり、ホームドアに対応できない点も問題になりそろそろ姿を消してしまいそうです。
車内全景です。基本的には1000形までの寒色系の色合いを踏襲してはいますが、袖仕切に用いられた茶系の化粧板が目新しく感じます。
車端部は貫通扉の有無で2種類。広幅貫通扉は京急の伝統でしたが、これは本形式まで。右写真は丁度編成中央に当たる3~4号車間に設けられた貫通扉です。
乗務員室仕切ですが、仕切戸の狭いこと狭いこと… 久々の前面非貫通車で、通り抜けを考慮しなくて良いにしても狭いような気がします。窓は従来形式に比べ幾分大きめになったようです。
扉は幅1200mmと広めの片開き式。戸袋窓とセットで頑なに採用を続けてきましたがそれも本形式まで、2000形移行は一般的な両開き式となりました。
床は灰色一色。
どういう訳か先頭車は分散冷房・中間車は集中冷房と使い分けた本形式、天井の見付も全く異なります…がそのことをすっかり忘れており撮影したのは分散冷房の先頭車。扇風機の奥に見えるのが空調吹き出し口で、ダクトも無い正真正銘の分散冷房です。中間車の様子は車内全景などに写り込んでいますのでそちらでご確認ください…
側窓は扉間2枚・車端1枚で、前者は戸袋窓とそうでない窓が1枚ずつの構成で窓枠はFRP製。通常の窓は当初嵌め殺しの固定式でしたが、窓が開く電車が殆どの当時流石に受け入れられなかったのか増備途上で下降式に変更されました。カーテンは巻き上げ式、戸袋窓との兼ね合いもあるのか開けるか閉めるかしか出来ません。
座席を見ていきしょう、まずは扉間の6人掛けから。内装面でも通勤用と割り切り浅く高い座席にした700形とは異なり、普通の奥行きの座席にしています。袖仕切は袖板とパイプを組み合わせた方式、その後広く普及する形態ですが名鉄100系と並び黎明期の例です。背摺りと袖板の上端が同じ高さですから肘掛としては使い辛く、あくまで従来曲げたパイプだった箇所を板にしただけと言うような印象です。なお化粧板は当初から茶系でしたが、更新工事を行った際に1500形同様の木目調のものに変更されています。
車端部は3人掛け。優先席は灰色のモケット、奇数号車の北方、偶数号車の南方に設置されています。折妻の妻側は隙間埋めのような形で機器箱を設けていますが、2枚の写真の妻側を見ると左右で形状が異なり、右側は何も入って無さそうな雰囲気です。
乗務員室直後は2人掛け。1人あたり幅は各座席とも全て430mm、この2人掛けは乗務員室側に肩逃しの類いが無いこともあって窮屈そうです。