京成3400形

写真: ks3448

波乱万丈ありつつ成田空港アクセス特急「スカイライナー」として活躍していたAE車ですが、1991年の成田空港直下乗り入れに合わせ登場したAE100形によって置き換えられました。しかし主要機器は界磁チョッパ制御に複巻電動機を用いた回生車で走行距離も少なく、状態が良好だったため通勤車に流用することになりました。こうして登場した3400形は当時増備中の通勤車3700形を鋼製車体にしたような出で立ちで、種車と同数の8連5編成が製造されました。都営浅草線やその先京急線への直通にも対応しており、特急車仕様だった足回りも可能な限り通勤車仕様に改められています。

通勤車に生まれ変わってからも30年弱となり何らか手が加わってもおかしくない時期のような気がしますが、登場経緯から元々少数派な上に3300形の引退で唯一の鋼製車、更に3600形が全廃されれば唯一の界磁チョッパ車にもなります。これからご紹介していく車内設備は決して古くは無いのですが、手放しに将来安泰とも言い切れないかなあ、と思ってしまう車系です。


ks340-車内全景

まずは車内全景から。車体が材質以外は同時期の純粋な新車である3700形と同等であるように、車内も3700形と同等の構成です。白系の化粧板やパイプと袖板を組み合わせた袖仕切など典型的な90年代の通勤車と言った印象で、今のところ大きな改造も受けずに推移しています。

ks340-車端部1ks340-車端部2

車端部です。貫通扉は片側のみの設置で背摺りと同じ高さの機器箱も設置、座席は5人掛けです。対して貫通扉の無い反対側は機器箱も無く座席は6人掛け。これは3600形辺りからの京成電車の標準のようですが、お恥ずかしい話ながらこれに気付いたのは撮影のずっと後、本項作成の途上でした。可能な限り座席を増やそうという努力の結果なのでしょうか。なお妻面に限って見ると角ばった窓に金属地肌そのままの貫通扉は3600形など従来車並みの見付、ここが変わるのは2000年まで待つことになります。

ks340-乗務員室仕切

乗務員室仕切です。高めに設けられた正方形に近い仕切窓や金属地肌の仕切戸は従来車同様で、車端部同様あまり変わり映えはしません。

ks340-扉

客用扉も金属地肌そのまま。京成は関東私鉄にしては珍しく、戸袋への引き込みを喚起する黄色テープが縦に入っています。

ks340-LED

扉上には新造時からLED式の情報案内装置を設置していましたが、後年に交換したようです。しかも当初は全扉上に設置していたのに対し現在は千鳥配置、広告枠としています。路線図は天井に張り付くようにして設けられており、じっくり見ようとすると首が痛くなりそう…

ks340-床

床はベージュ色、控えめながら中央のみ柄入りとしてフットラインを形成しています。奥に見えるトラップドアは3700形には無く、直流電動機を装備する本形式ならでは。

ks340-天井

天井です。ダクトを通した集約分散式の冷房は3700形に近い見付ではありますが、本形式はAE車から流用した冷房を載せているため幾分造りが異なります。

ks340-窓

側窓は一段下降式で扉間・車端とも2枚ずつの構成です。窓枠上部に貼られた赤いステッカーはイラスト入りで定員着席を促すもの、また横のステッカーは座席下ヒーターへの注意を喚起しています。カーテンは巻き上げ式で3段階での調整が可能。

ks340-8人掛け

座席を見ていきしょう、まずは扉間の8人掛けロングシートから。 モケットは一度張り替えられており、現在は新3000形と同様紫系のモケットを用いています。1人当たり幅は440mmと現在の感覚では狭め、それでも後年設置のスタンションポールのお陰もあるのか、或いは前述のステッカーも多少は寄与しているのか、着座痕は意図した通りの位置に付いているように見えます。

ks340-6人掛けks340-6人掛け優先

車端部は6人掛けと5人掛けがあるのですが、前述のとおり撮影時は全く気付きませんでした。写真は6人掛けで、後年スタンションポールを追設し座席同様3人ずつに分けています。5人掛けは背・座とも一体型で、扉側から2-3に分ける位置にスタンションポールを設置しています。優先席は青いモケットを使用、奇数号車の浦賀方・偶数号車の成田方に設けています。

ks340-3人掛け

乗務員室直後は3人掛け。幅は他と同じですが、仕切との兼ね合いもあって些か狭く見えてしまいます。

ks340-車椅子スペースks340-5人掛け

車椅子スペースは製造時からの設置、何気に京成では本形式が初登場です。車椅子固定金具を設ける例は決して多くない中、京成では最新の新3100形まで一貫して設置しています。横の座席は5人掛け、車椅子スペース側の袖板は枕木方向のパイプを設けられない分だけ高めにしています。


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最終更新:2020/11/30

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